コメント
1件
すごいです!
心の中で呟いても意味は無いことを
あたしは知っていた。
無感情を装って言葉を紡いでも
虚しさが残るだけ。
それでも
周りの視線
声
全てが
怖くてたまらないから
本音を隠し続けた。
___________________
あたしの家の前に男が立っていた。
吉田椿樹
あたしは驚いて声が出なかった。
なんで彼がここにいるんだろう?
吉田椿樹
吉田椿樹
あたしが驚くのを見てクスクス嬉しそうに近づいてきた。
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
あたしの反応を見て少し慌てて謝る彼。
本気で謝られると責めようがなくて困るわね……
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
心底安心した様子の彼……
吉田椿樹は柔く笑った。
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
椿樹はいつも楽しそうだ。
椿樹の笑顔は眩しくてたまらない。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
彼女の迎えって恋人なら当然なのかな……
そんなことが頭を駆け巡る。
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
ご飯一緒に食べない?って聞かずに
あたしの予定を聞くあたり……
そうゆう気遣いとか優しさがきっと椿樹がモテる理由なのね。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
少なくともあたしはそう感じてる。
吉田椿樹
そんなことより聞きたいことがあるのよ。
本当は……どんな気持ちで
あたしの隣にいるの?って
吉田椿樹
吉田椿樹
そう……あたしの気持ちを遮るのはいつも椿樹だった。
鈴木和雪
平井花凜
鈴木和雪
あたしと同じ中学出身の、バレー部の男。
鈴木和雪
鈴木和雪
吉田椿樹
吉田椿樹
鈴木和雪
鈴木和雪
鈴木和雪
鈴木和雪
吉田椿樹
椿樹は楽しそうに鈴木を見送った。
平井花凜
ねえ
どうしてあたしを選んだのよ。
そんなあたしも椿樹を選んだんだけど。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
あたしはわかってて選択したわけだし何も聞かないけどね。
それに本当はわかってるわ。
相川純恋
相川純恋
現れたのは同中出身のバレー部で
親友の相川純恋。
胸の鼓動が早くなるのを感じた。
さらに赤くなってしまった頬を
必死に隠してあたしは冷静を装う。
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
相川純恋はあたしの想い人。
片想いの相手だ。
平井花凜
吉田椿樹
相川純恋
相川純恋
わかってるわ。
叶わぬ恋だってこと。
吉田椿樹
相川純恋
平井花凜
平井花凜
だから、必死で何ともないふりを続ける。
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
精一杯の笑顔であたしは今日も嘘をつく。
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
そして、本音を隠し通した。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
そう、椿樹に言うことしか
あたしにはできなかった。
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
~2週間前 入学式~
4月10日
___________________
あたしはクラス分けの表を見てた。
平井花凜
平井花凜
すみれは2組か……
平井花凜
あたしは3組
相川純恋
平井花凜
鈴木は1組……全員別れたわね。
相川純恋
平井花凜
平井花凜
すみれ、朝からテンション高いわね。
相川純恋
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
相川純恋
相川純恋
それでいて可愛い。
平井花凜
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
でもごめんねすみれ。
平井花凜
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
ほんとは少し安心してる。
これ以上好きになったら困るから。
平井花凜
鈴木和雪
平井花凜
鈴木和雪
相川純恋
鈴木和雪
常に眠そうで何考えてるかわからない鈴木もまた
あたしと同じですみれが好きらしい。
相川純恋
鈴木和雪
鈴木和雪
鈴木和雪
平井花凜
あたしと同じで中学からの片想い。
相川純恋
相川純恋
鈴木和雪
相川純恋
鈴木和雪
正直羨ましい。
あんなに堂々と想いを伝えられたら……
平井花凜
平井花凜
鈴木和雪
鈴木和雪
眠そうに立ち去った鈴木の後ろ姿は少し寂しげだった。
本気で好きなんだろうな、すみれのこと。
平井花凜
相川純恋
平井花凜
中学の頃からいつもあんな感じだった。
だけど、2人は付き合ってない。
すみれは1度鈴木をふっている。
でも彼氏や好きな人がいるわけじゃない。
だからいつも少しずつすみれのこと振り向かせようと必死なんだろう。
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
平井花凜
それももう終わりを告げるらしい。
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
好きだからこそ知っている。
わかっている。
すみれは……
もう、ずっと前から鈴木のことが好き。
また、嘘を重ねる日が近づいていた。
~入学式から2日後~
4月12日
___________________
平井花凜
あたしはひとり教室にいた。
部活の推薦でこの学校を受けたすみれは
既に今日から部活が始まっている。
待ってなくていいよと言われたけど……
色々聞きたいことがあるので待っていた。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
ボーッとしてたら誰かに話しかけられた。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
どうしたんだろ……
気がついたら涙が溢れてたらしい。
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
まだ残ってる人いたのね。
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
見られちゃった……
泣いてるとこ、どうしよう……
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
新入生代表挨拶は成績トップの人がやるらしいけど……
なんだか天然ね、彼……
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
このまま帰るとなんだか気まずいわ……
泣いてるとこ見られたし。
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
鈴木……部活以外の友達いたのね。
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
同じ中学の同級生ってくらいしか接点ないけれど……
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
鈴木のそうゆうとこ憎めないのよね。
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
まさかの展開。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
彼と話してると何も考えずに済みそう。
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
そう思ったのが間違いだったかな。
吉田椿樹
吉田椿樹
この選択は間違いだったのでしょうか。
平井花凜
吉田椿樹
~2人を待つ教室で~
___________________
吉田椿樹
平井花凜
変な声出た。
吉田椿樹
彼は一切悪気などないと思う。
いや、策士か?もはや策士なんじゃ……
吉田椿樹
吉田椿樹
いきなりにも程があるでしょ。
出会って何分経ったのよ。
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
何なのよもう……
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
さっきより変な声出たわ。
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
平井花凜
混乱して思ってること全部言った。
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
告白なら何度もされたことあるけど
こんな変な告白されたことないわよ。
吉田椿樹
平井花凜
何言ってるの……
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
何なの……
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
あたしのこと言ってるの?
それとも彼自身の話?
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
何なのよ!
何考えてるかわからない……!
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
平井花凜
あなたと一緒にしないでよ。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
あたしは告白しないんじゃなくて
平井花凜
平井花凜
できないのよ……!
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
平井花凜
女の子。
吉田椿樹
相川純恋なの。
平井花凜
吉田椿樹
思わず息を飲んでしまった。
平井花凜
平井花凜
ふざけてない、真剣な目。
吉田椿樹
吉田椿樹
この人本気で言ってるんだ。
本気であたしと……
恋人のふりなんて。
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
初めて会った。
同じ……
似た境遇の人。
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
平井花凜
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
嘘はついてない。
わかる。
吉田椿樹
吉田椿樹
吉田椿樹
何度もされてきた告白で1番意味不明。
吉田椿樹
吉田椿樹
めちゃくちゃなこと言ってる。
会ったばかりだし、名前しか知らない。
平井花凜
平井花凜
だけど、気づくとあたし……
平井花凜
受け入れていた。
平井花凜
見て見ぬふりしてきた叶わぬ初恋に
片想いに蓋をして……
また嘘を重ねる瞬間が訪れてしまった。