あなたも WEST. の一員！？

「 note 」

第1話「好きだった。」

休み時間の教室は騒々しい

声が好きだった

声をずっと聴いていたかった

その笑顔が好きだった

電気が消された暗い教室

教室には風の音だけが鳴り響いている

黒板には「卒業おめでとう」の字

最後まで言えなかった「好き」の言葉

返せなかった1冊のノート

そして俺は

そのまま大人になった

社会に揉まれ

新しい道を歩み出したんだ

ｶﾞﾁｬｯｶﾞﾁｬｯｶﾞﾁｬｯ

郵便受けには1枚の手紙が

ﾍﾟﾗｯ

高校の同窓会の手紙

そういえば約束したな

かつての自分が約束した事

懐かしい気持ちになりながら家に入る

ベッドにダイブする

朱音にずっと恋をしていた

まだ忘れられない

会えるかもと期待を持ち目を閉じた

久しぶりに友達に会えて心踊らせるが…

騒々しい街の中

目に入ってきたのは

自分の好きな人だった

高校からあまり変わらない背丈と 愛してやまない顔立ち

自分は呆然と立っているだけだった

朱音はこっちに気付かず歩いていった

翌朝

賑わう駅前

俺は友達との約束の為に来ていた

ﾋﾟｺﾝ

帰ろうとした時、

そこには1人佇む朱音の姿が

声を出さず戸惑う朱音

首を横に振る

朱音はジェスチャーで伝え始めた

無言の時間が続いた

俺は朱音の腕を掴んだ

朱音は静かに首を縦に振った

そうジェスチャーをすると スマホに何かを書き出した

朱音はメモのアプリに 自分の事を綴り始めた

朱音は口を開いた

朱音は歩き出した

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