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一生目覚めない…はずだった

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一生目覚めない…はずだった

1 - 一生目覚めない…はずだった

♥

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2018年05月25日

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髙橋悠

はぁ…

二条あかり

こいつは俺の幼馴染の二条あかり。

あかりは、生まれた時から、生命維持装置につながれているそうだ。

もしかしたら、一生、目を覚まさないかもしれない。

そう言う医者がほとんどだ。

俺は、あかりが絶対に目を覚ましてくれると信じている。

そうじゃないと、俺の長年の片思いが無駄になってしまうから。

髙橋悠

あかり…

髙橋悠

お前は、俺の気持ちなんて知らないよな…

髙橋悠

まあ、無理もないか

二条あかり

髙橋悠

俺は、お前が好きなのに…

髙橋悠

お前の答えを聞けない

髙橋悠

それが1番悲しいな

二条あかり

俺はあかりの声も、どんな表情をするのかも知らない。

生まれてきてからずっと目を覚ましてないから当たり前だけど。

髙橋悠

また、来るな

髙橋悠

あかり

二条あかり

ん…?

誰かの声がする。

その声は、いつも、闇の中から聞こえて来る。

私の目の前にはどこまで続いているのかわからない闇。

私は死んでしまったのだろうか?

二条あかり

やだ…私、生きたい…!

二条あかり

生きたいのに…

二条あかり

どうして…

二条あかり

どうして目覚めないの!!

私はいつもこのことばかり考える。

目が覚めたら、私の目の前には、どんな光景が広がっているんだろう?

私は、一刻も早く、目を覚ましたい

そう願った。

俺はあかりが生まれてから毎日、この病院に来ている。

小さかった頃は親に連れて来てもらった。

小学6年から、自分1人で行くようになった。

それを続けて5年

俺とあかりは14歳になった。

眠っているとはいえ、成長が止まることはなく、身長も伸び、顔立ちも美しくなり、まるで今にも目覚めそうな予感を感じさせた。

あかりの母

悠君!

髙橋悠

あ、お母様!

あかりの母

あなたはいつも、来てくれるのね

髙橋悠

当たり前ですよ

髙橋悠

話したことはないとはいえ、幼馴染なんですから

あかりの母

…ねえ

髙橋悠

はい?

あかりの母

あかりは、目を覚ましてくれるかしら?

髙橋悠

ええ

髙橋悠

きっと

あかりの母

そうね

あかりの母

あかりを信じましょう

あかりの母

あと、これ

髙橋悠

これは…?

あかりの母

あなた、いつも病室に閉じこもってるから、何も食べていないでしょう?

あかりの母

これ、少ししかないけど、よかったら食べてね

中に入っていたのは、饅頭。

俺の大好物だ。

髙橋悠

ありがとうございます…!

あかりの母

いいのよ

あかりの母

髙橋悠

どうしました?

あかりの母

今、あかりが…

あかりの母

笑った気がするの

髙橋悠

あかりの母

確かに笑ってたわ…

あかりの母

あかりが目覚める日も、近づいて来ているんじゃないかしら

髙橋悠

そうだといいですね

二条あかり

あ…

二条あかり

聞こえる…

毎日聞くおとぎ話というものが聞こえて来る。

声の主は、毎日毎日、同じ話ばかり読んでいる。

「桃太郎」というお話らしい。

二条あかり

この話聞くの…

二条あかり

何回目かな…?

二条あかり

ずっと、聞いていたいな…

髙橋悠

ふぅ…

髙橋悠

中2に桃太郎なんて読み聞かせるなんて、俺も変だな

髙橋悠

こいつにはどうせ、俺の声なんて聞こえてないわけだし…

ピーッ!ピーッ!

髙橋悠

髙橋悠

あかりの心臓が…

髙橋悠

止まった…?

看護師

先生、もうダメなのでは…?

医師

諦めが早いぞ!

医師

まだ動いている…

医師

ほら、さっさと続けるんだ!

看護師

は、はい!

あかりの母

ううっ…

髙橋悠

お母様…

あかりの父

お前…

あかりの母

あかり…お願い…

あかりの母

目を覚まして!!

髙橋悠

(そうだ)

髙橋悠

(俺も、同じ気持ちだ…)

髙橋悠

あかり!

髙橋悠

頼むから…

髙橋悠

死ぬな…!

二条あかり

はぁ…

二条あかり

もう終わりか…

二条あかり

私、本当に死ぬんだ…

…り、あかり!

二条あかり

二条あかり

この声、いつもの…!

目を覚ましてくれ…

あかり!

二条あかり

二条あかり

私、まだ生きていられるの?

二条あかり

だったら

二条あかり

生きたい!!

医師

看護師

先生、容態が安定しました!

医師

ああ

二条あかり

ん…?

あかりの母

あかりの父

あかり…?

二条あかり

???

二条あかり

誰ですか?

あかりの母

無理もないわね

あかりの母

私はあなたの母よ

あかりの父

俺はお前の父親だ

あかりの母

あなたは生まれてすぐに眠ってしまったの

二条あかり

そうなんだ…

二条あかり

私は、いつまで眠ってたんですか?

髙橋悠

14年、だな

二条あかり

長い、ですね…

二条あかり

ところで、あなたは?

髙橋悠

俺は髙橋悠だ

髙橋悠

よろしく

二条あかり

…!

二条あかり

この声!

二条あかり

桃太郎の人!

あかりの母

桃太郎?

髙橋悠

あかりの父

悠君、あかりに何をしたんだい?

髙橋悠

…大変お恥ずかしいのですが

髙橋悠

俺は毎日、ここで桃太郎の読み聞かせをしていたんです

髙橋悠

小6の頃からずっと…

髙橋悠

きっと、そのことなのではないかと

二条あかり

…あなただ

二条あかり

私、桃太郎の話、全部覚えてるよ!

髙橋悠

二条あかり

毎日、あなたの声が聞こえてたから!

髙橋悠

本当?

二条あかり

うん

二条あかり

眠っていたけど、耳だけは聞こえてたみたい

二条あかり

あなたの読み聞かせ、いつも楽しみにしてた

二条あかり

これからも聞かせて?

髙橋悠

…おう

髙橋悠

望むなら、いくらでも

あかりが目覚めてから1年。

ようやく勉強にも慣れてきたようだ。

そして、俺たちにも恋人ができた。

本当はあかりが好きなのに、違う女と付き合ってる。

あかりと女を重ね合わせて、気分を紛らわす。

こんな日々が、いつまで続くのだろうか?

私はあなたじゃない人と付き合った。

本当は、あなたが好きなのに。

それを伝えたら、もう、話しかけてくれないかもしれないと思うと、言えなくなる。

もう、嫌だ。

吉田凛音

あの、悠先輩

髙橋悠

なんだ?

吉田凛音

1つ、聞きたいことがあります

髙橋悠

…言ってみろ

吉田凛音

先輩って

吉田凛音

私のこと、好きじゃないですよね…?

髙橋悠

吉田凛音

ずっと前からわかってました

吉田凛音

私が先輩に告白した時から知ってました

吉田凛音

先輩は、他の人が好きなんだって

吉田凛音

でも、嘘の返事でも、私は嬉しかったです

吉田凛音

でも、もう終わりにしましょう

吉田凛音

私のせいで、先輩を縛るわけにはいかないから

髙橋悠

そんな

髙橋悠

縛るだなんて…

吉田凛音

先輩

吉田凛音

先輩は、先輩の本当の好きな人に

吉田凛音

好きって言ってあげてください

髙橋悠

吉田凛音

いままで、私なんかと付き合ってくれてありがとうございました

吉田凛音

失礼します

髙橋悠

髙橋悠

ありがとう

髙橋悠

凛音

寺久保大和

あかり

二条あかり

どうしたの、大和?

寺久保大和

お前さ、俺のこと好きじゃねえだろ?

二条あかり

え、そんなこと…

寺久保大和

そんなことあるだろ

寺久保大和

お前、優しいから

寺久保大和

断らないでいてくれたんだろ?

寺久保大和

でも

寺久保大和

そんな暗い顔されてる方が

寺久保大和

余計に辛いんだよ

二条あかり

そ、そんな顔してた?

寺久保大和

ああ

寺久保大和

十分してるさ

寺久保大和

髙橋が好きなんだろ?

寺久保大和

さっさと告白してこい

二条あかり

でも…

寺久保大和

今日で

寺久保大和

別れよう

寺久保大和

お前には、本当に好きな奴と付き合って欲しいからよ

寺久保大和

今までありがとう

二条あかり

…うん

二条あかり

告白してくる…!

寺久保大和

おう

寺久保大和

行ってこい

髙橋悠

あかり!

二条あかり

悠!

髙橋悠

よく聞けよ…

髙橋悠

好きだ!

二条あかり

ごめんなさい!

同時にお互いの声が重なった。

髙橋悠

えっ…!

二条あかり

二条あかり

(告白された?)

髙橋悠

(断られた…?)

髙橋悠

お前、なんで泣いて…

二条あかり

二条あかり

聞いて?

髙橋悠

おう

あかりは深呼吸をする。

そして…

二条あかり

大好き!!

と大声で叫んだ。

ザワザワ…

女子

え、今の、あかりの声?

男子

悠の声も聞こえたような…

髙橋悠

やば…

二条あかり

聞こえちゃった…

髙橋悠

あかり

髙橋悠

来い…!

二条あかり

えっ!

二条あかり

待って…!

二条あかり

はぁ、はぁ

二条あかり

なんで屋上まで!

髙橋悠

あかり

髙橋悠

場所を考えてくれ…

二条あかり

知らないもん!

髙橋悠

まあ

髙橋悠

両思いだったわけだし?

髙橋悠

いいか

二条あかり

うん!

二条あかり

じゃあ、帰ろ!

グイッ

二条あかり

???

髙橋悠

あの告白の後にそそくさと帰るのは禁止

二条あかり

え、じゃあどうするの?

髙橋悠

帰りのホームルームサボるぞ

二条あかり

だ、だめだって!

キーンコーンカーンコーン

髙橋悠

はい

髙橋悠

遅刻確定

髙橋悠

行っても意味なしだな笑

二条あかり

…今日だけだよ?

髙橋悠

無理

二条あかり

もう…

二条あかり

でも

二条あかり

たまには、いいかもね

後日

髙橋悠

お前らくっついたのか?

吉田凛音

そうなんです!

寺久保大和

まあ、一応振られた組ということで笑

二条あかり

え、そういうこと?

二条あかり

サイテー

寺久保大和

お、おい!

寺久保大和

言い出したのは吉田だぞ!

吉田凛音

そうですよ笑

髙橋悠

お前、何考えてんだよ…

吉田凛音

まあ、偽物の彼氏ということで?

寺久保大和

俺は偽物とは思ってねえぞ

吉田凛音

はい?

吉田凛音

冗談はよしてくださいよー

寺久保大和

冗談なんかじゃねえぞ

寺久保大和

無理やりでも付き合ってもらうからな

吉田凛音

やだー!!!!

二条あかり

凛音ちゃん

二条あかり

連れていかれちゃったね…

髙橋悠

まあ…あいつならやることだ

髙橋悠

気にすんな

二条あかり

あはは笑
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