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殲脳教室

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殲脳教室

第2話 - 殲脳教室第2話

1,066

2021年08月31日

#ホラー

#学園

#高校生

七里ハルト

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七里ハルト

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放課後

シンジ

（あれが、旧校舎か）

シンジ

（建物は古いけど）

シンジ

（入口には、最新式の電磁ロック）

シンジ

（そこらじゅうに設置された監視カメラ）

シンジ

（窓には、鉄の格子か）

シンジ

（まるで、刑務所みたいだ）

シンジ

（この施設に、”更生クラス”がある）

シンジ

（そして、そこには…）

ユウカ

こんなところで何してんの！

シンジ

ああ、なんだ君か

シンジ

急に背後から声をかけないでくれよ

シンジ

驚くだろ

ユウカ

そんな風には見えないけど？

ユウカ

てか、アンタって変わってるよね

ユウカ

なんか、冷静っていうか

ユウカ

どこか、落ち着き払っている

ユウカ

”更生クラス”へ行ってみたいなんて言うし

ユウカ

アンタはこの学校の恐ろしさを

ユウカ

全然わかってない！

シンジ

まあ、そう怒鳴らないでくれ

シンジ

気にかけてくれて、感謝するよ

ユウカ

とにかく、ここにいちゃダメ！

ユウカ

一般生徒が旧校舎に近づくことは禁止

ユウカ

見つかったら大変だよ！

シンジ

大丈夫だよ

シンジ

この木影は、監視カメラの死角になっている

シンジ

君が大声出さなきゃ、見つかることはない

ユウカ

その言い方なによ！

ユウカ

心配して来てやったのに！

シンジ

しっ！静かに！

シンジ

見ろよ

シンジ

”更生クラス”の生徒たちが、出て来たぞ

扉が開いて、生徒たちが姿を現した

どの生徒も無言で、その顔に表情はない

列を崩さず、校門のほうへと向かっていく

シンジ

彼らって

シンジ

学校が終われば、家に帰れるんだ

ユウカ

そりゃそうだよ、囚人じゃないし

ユウカ

表向きは、普通の生徒なんだから

ユウカ

でも、以前とは全く違う

ユウカ

まるで魂を抜かれたみたい

ユウカ

あいつだって…

シンジ

あいつって？

ユウカ

私の元カレだったタケル

ユウカ

今のアンタの席には、タケルがいた

ユウカ

性格はちょっと荒っぽかったけど

ユウカ

根は優しいカレだった

ユウカ

でも2ヶ月前に学校で先生を殴って

ユウカ

”更生クラス”へ連行されたの

シンジ

あの偉そうな担任を殴ったのか

シンジ

気持ちはわかる

ユウカ

そうよ、あの担任

ユウカ

前はおどおどした小心者だったくせに

ユウカ

”更生クラス”ができたとたん

ユウカ

急に態度が変わってさ

ユウカ

みんなをネチネチいじめ始めたもんだから

ユウカ

タケルがキレちゃったんだよ

ユウカ

それで即、”更生クラス”行き

ユウカ

何度か、放課後に会いに行ったんだけど

ユウカ

一言も口を聞いてくれなかった

ユウカ

まるで人格が変わってしまったの

シンジ

ふーん

シンジ

タケル君に会えるかな

シンジ

聞いてみたいことがあるんだ

ユウカ

それは…無理…

ユウカ

…ううっ

シンジ

あれ、泣いてるのか？

ユウカ

タケルは死んだよ…1ヶ月前

ユウカ

家が火事になって、お母さんといっしょに…

シンジ

そうか

シンジ

それは…悪かった

ユウカ

でも、私は単なる火事じゃないと思ってるの

シンジ

と言うと？

ユウカ

何か別の原因があった…

ユウカ

でも、それが何かはわからない

ユウカ

私の勘だけど…

ユウカ

でも、昔から私の勘って当たるんだよ

夜　シンジのアパート

シンジ

おーい、アヤ

シンジ

夕飯できたぞ

アヤ

…………

シンジ

（まったく）

シンジ

（いつもこうだ）

シンジはアヤの部屋のドアを開ける

そこは真っ暗で、パソコンのモニタだけが光を放っていた

シンジ

おいアヤ、メシだって！

アヤ

うーす、兄貴

アヤ

ちょっと今、手を放せないんだ

アヤ

裏サイト覗いてたら、面白い情報見っけてね

アヤ

ハッキングして遊んでるところ

シンジ

おまえな…

アヤ

心配しないで

アヤ

身元がバレることはないから

シンジ

ハッカーとしてのお前の腕前は、認めてるさ

シンジ

言いたいことは、それじゃない

シンジ

その様子じゃ、中学校に行ってないだろ

シンジ

この町でも、引きこもりを続けるのか？

アヤ

だって、授業なんてつまんないし

アヤ

全ての知識は、ネット上で得られるんだよ

シンジ

はあ～

シンジ

もう、勝手にしろ

アヤ

それよりさ

アヤ

新生高校行って、どうだった？

アヤ

何か情報は得られた？

シンジ

いや、今のところ目新しいネタはない

シンジ

もうちょっと、調べてみる

アヤ

そうか…

アヤ

でも気をつけてね、兄貴

アヤ

兄貴がいなくなったら、アタシ…

シンジ

なんだ、心配してくれるのか？

アヤ

そりゃ心配だよ

アヤ

だって…

アヤ

ゴハン作ってくれる人がいなくなっちゃう

シンジ

おまえな…

担任

…じゃあ次の問題

担任

過酸化水素水の化学式はなんだ？

担任

誰か答えてみろ

生徒たち

…………

担任

なんだ、てめえら

担任

やる気あるのかよ！

担任

中学で習う簡単な問題だぞ！！

担任

こんな問題も解けないバカは

担任

”更生クラス”へ送ってやろうか！！

ユウカ

（ちくしょう、あいつ…）

ユウカ

（偉そうにしやがって…）

担任

おい、森川サトル！

担任

前に出て来て、答えを黒板に書け

サトル

え…ぼく…？

担任

さっさと来いっていうんだ！

サトル

（どうしよう…）

サトル

（さっぱりわからないよ…）

サトル

（体が震える…）

サトル

（あっ、足がもつれて…！！）

ドン！

担任

てめえ！

担任

わざと俺にぶつかったな！

サトル

い、いえ…そんなつもりじゃ…

担任

なにをしたか、わかってるか？

担任

先生に対して、暴力をふるったんだ！

担任

ということは

担任

おまえは”更生クラス”行きだ！！

サトル

そ、そんな…

シンジ

あの、先生

担任

なんだ、香月！！

シンジ

H2O2、です

担任

ああっ！？

シンジ

過酸化水素水の化学式ですよ

シンジ

もう、いいじゃないですか

シンジ

誰が見たって、わざとじゃない

シンジ

先生が言っていることは理不尽だ

担任

なんだと

担任

てめえ、俺をディスってんのか！？

シンジ

おかしいと思ったことを言ったまでです

ユウカ

ねえ、もうやめなよ

ユウカ

気持ちはわかるけど

ユウカ

先生に口答えなんかしたら…

担任

おい！

担任

気持ちはわかるって、どういうことだ

担任

俺が間違ってるって言いたいのか！

ユウカ

いえ…そんな…

シンジ

ユウカは俺をかばってくれたんです

シンジ

彼女に当たるのはやめてください

担任

…わかった

担任

おまえたちが、そんな態度を取るならば

担任

残念だが、こうするしかない

シンジ

（スマホを取り出した…）

シンジ

（どうするんだ？）

担任

もしもし！

担任

2年C組に、”掃除屋”の手配をお願いします！

ユウカ

ああ…なんてこと

ユウカ

私たち、もうおしまいだよ…

教室に、3人の”掃除屋”たちが入って来た

担任

対象者は、そこの3名！！

担任

”更生クラス”への送致理由は

担任

教師への暴行と暴言です！！

掃除屋

…わかりました

ガシッ！

ユウカ

ちょっと、離して！

ユウカ

痛いじゃない！

シンジ

おい！やめろよ！

掃除屋

…黙れ

掃除屋は持っていた警棒を容赦なくシンジの腹に叩きつけた

シンジ

ぐっ！！

シンジ

…いい大人が

シンジ

無抵抗の生徒に暴力ふるうのかよ

シンジ

最低だな

掃除屋たちが一斉に警棒を振り上げる

そしてシンジが気を失うまで、殴り続けた