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#一次創作
#鳴海弦
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このすき
25
静かな病院。医師から告げられた言葉。泣き崩れる母親と、悲しみに暮れる父と、呆然とする私。 告げられたのは「ニグレイス」という病名と、一週間の余命宣告。
父親
母親
ニグレイスは別名黒結病とも呼ばれ、原因不明の遺伝子突然変異で血が黒く変色し固まっていく病気。現在その変異した遺伝子を元に戻す方法はなく、致死率は100%とされている。 かつて吸血鬼に攻撃された一部の女性がニグレイスを患い、またニグレイスの頃に出産された子供やその子孫は極めて稀な遺伝子突然変異でニグレイスにかかる可能性があった。 進行スピードも極めて早く、足から順に血が固まり全身が腐りながら死んでいくとされている。
父親
妹とはものすごく仲がよかった。いつも私の好きな漫画やゲーム、流行り物を教えては妹もそれにハマり、仲良く過ごしていた。喋らない日はないくらい仲が良くて、妹も私のことを大好きだと言ってくれていた。 家族仲もよくて、休日はいつも遊びに出掛けていた。 そんな平穏で幸せな日々が、医師の言葉を聞いた瞬間から音を立てて崩れた。
私はしばらく何も言わなかった。言葉を発するうちに狂って自殺してしまうような気がしたから。 静かに、何も思い出さないように。思い出さないように。 悪い夢を見ているような感覚がした。
帆晴
母親
父親
しばらくして、病室へ向かう。そこには小学四年生の少女が横たわっていた。 私はそれが妹に見えた。信じたくなかった。目の前にいるのはどうか、見知らぬ女の子で、妹は家で遊んでいる。そう信じたかった。
しかし現実というものは残酷で、見れば見るほど思い出が蘇ってくる。 家族で旅行に出かけたあの日。一緒にスキーに行ったあの日。くだらないことで笑い合った日々。 優しくて温かいそのどれもが私の心臓を抉るように突き刺した。
妹は眠っていた。血が変色し止まっていく痛みを感じないために。奇跡が起こって、病気が治ることがなければ、眠りながら安らかに死ねるように。
みき(妹)
最後に聞いた妹の声は、痛い痛いと泣き叫び緊急手術室へ運ばれる時のあの苦しそうな叫び声だった。
私は我慢できずその場で泣き叫んだ。父や母が妹を呼ぶ声すら聞こえない。
そんな悲しみに暮れた日々が続き、時はあっという間に過ぎた。 今日も病室で妹を眺める。今日で一週間。もう、妹の姿を拝める日はないのかもしれない。 5分だけ二人にさせて欲しいと頼んで、妹と二人きりになっていた。 いくら語りかけても妹が目を覚ますことはなかった。
帆晴
どれくらい時が経っただろうか。あるいは経っていなかったのか。私は目が覚めると自分の部屋にいた。 そして、部屋にいたのは私だけではなかった。素顔は見えないが、緑色の長髪を持った女性。魔女のような格好をしている。
帆晴
魔女
その女性は自らを「魔女」と名乗り、私に手を差し伸べる。趣味の悪い夢なのだろうか。
魔女
私は中学は不登校で高校も通信校に入ったばかり。歴史なんてわからなかった。唯一わかるのは理科の生物くらい。生物は簡単で、思春期の私にとって理解のしやすい内容だったからだ。
帆晴
魔女
こんなファンタジーのような話があるのだろうか。だが、今は半信半疑になっている場合じゃない。 一刻も早く妹を助けてやりたい。魔女との契約内容がなんであれ、私は妹を助ける必要があるのだ。
帆晴
魔女
魔女がそう言い終わった途端、突然画面のような、雲のような何かが出てきて妹が映し出される。 そして魔女が眠っている妹に語りかける。
魔女
すると妹はいきなり目を覚まし、キラキラとした衣装を身にまとった姿へ変身した。 そして隣には水色の髪をもつ男が立っていた。いかいも妹が好きそうな男だった。案の定、妹は男に見惚れている。
魔女
そう言い残した後、画面のようなものが消え、気がつくと森の中にいた。
コメント
3件
みぅです🤍🥀 第一話、読ませていただきました。 妹の病気と余命宣告から始まる重さ、その中で主人公が魔女と契約を結ぶ覚悟…すごく胸にきました。 「誓いを破れば妹と同じ病気」っていう条件、めっちゃ怖いけどそれでも妹を救うために一歩を踏み出したのがかっこよかったです。 続きが気になります…!