加乃
澄香
加乃
加乃
澄香
澄香
加乃
加乃
澄香
加乃
澄香
用事があるなんて
そんなの嘘
誘ってくれたのは嬉しい
けど私は雨が苦手
嫌い、と言った方が正しいだろうか
澄香
昨日の天気予報は大ハズレ
曇り時々晴れのはずだったのに
外はどしゃ降りの大雨
澄香
ポタポタと垂れる水の音と
地面に叩きつけられる雨の音
その音を聞くだけで
胸が苦しくなる
澄香
澄香
数年前_
?
?
澄香
澄香
澄香
澄香
澄香
天斗
彼と私は同棲していた
彼は朝に天気予報を見るのが日課
出掛ける前によくその日の天気を言ってくれる
澄香
天斗
天斗
澄香
天斗
澄香
明日は私の誕生日
彼は私の誕生日プレゼントを買うと言って
今日、デートをする約束をしてくれた
澄香
天斗
天斗
澄香
ガチャ…
澄香
天斗
天斗
澄香
この時はまだ晴れていた
美しい青色の空が広がっていた
天斗
澄香
澄香
天斗
澄香
澄香
澄香
天斗
天斗
澄香
澄香
澄香
澄香
天斗
天斗
澄香
その時
空が光った
遠くの方で雷が鳴ったのだ
澄香
天斗
天斗
澄香
澄香
澄香
天斗
そう言って彼は得意気に笑った
ザーッ…
ザ──…
澄香
澄香
天斗
澄香
澄香
澄香
天斗
澄香
澄香
天斗
天斗
澄香
天斗
澄香
澄香
天斗
天斗
天斗
澄香
澄香
澄香
天斗
澄香
天斗
天斗
澄香
澄香
澄香
天斗
天斗
天斗
澄香
天斗
天斗
玄関で彼の後ろ姿を見送った時
「大丈夫、帰ってくる」って
そう自分に言い聞かせた
嫌な予感を振り払うかのように
その後
嫌な予感を必死に振り払っても
彼は帰ってこなかった
あの日の晩は
数十年に1度の大雨だったらしい
私が住んでいる地域は洪水になり
彼と同棲していた家には暮らせなくなった
澄香
澄香
澄香
澄香
もう二度と帰ってくることはない
そんなことは分かってる
澄香
そっと窓を開ける
澄香
澄香
澄香
ふわっとくるその匂い
雨の匂いがすると
君の「ただいま」が聞きたくなる
コメント
2件
泣ける。 『ただいま』って言ってあげたい。(´;ω;`)