寮に戻ると、今日は若井の方が先に帰ってきていて、ソファーでくつろいでいた。
若井
おかえりー!
大森
ただいま。
若井
今日、遅かったね。
どっか行ってたのー?
どっか行ってたのー?
大森
うん、ちょっとね!
そう言うと、ぼくは若井の隣に座り、スマホの画面を開く。
涼ちゃんからLINEが来ていて、嬉しくなる。
若井
なんかいい事あったの?
大森
え?あー…まあね!
ぼくは、涼ちゃんにLINEを返してから、ふと気付く。
若井とは友達…だと思うけど、そういえば連絡先を知らない。
よく考えたら、若井ならすぐに聞いてきそうなものなのに、聞かれていない事に少し落ち込む。
若井
ん?元貴、今度は考え事?
大森
あ、うん…えっとぉ…
ぼくが連絡先教えてって言っても、若井ならきっと嫌な顔はしないと思う。
でも、聞く勇気が出なくてモジモジしてしまう。
若井
なに?なんでも言ってよ!
それでも、やっぱりこの中に若井の名前がないのがモヤモヤして、意を決して口を開いた。
大森
あの…若井のLINE!…教えて欲しいっ。
若井
え、
大森
あ!いや…嫌ならいいんだ…けど。
若井
嫌な訳ないじゃん!
めちゃくちゃ嬉しい!
めちゃくちゃ嬉しい!
大森
え?
若井
おれ、ずっと元貴の連絡先聞きたかったんだけど、元貴がLINEしてるとこ見た事なかったから、嫌かなって思っててさ。
大森
い、嫌な訳ないよ!
だって…ぼく達友達でしょ?
だって…ぼく達友達でしょ?
若井
うん!そうだよね!
おれ達、友達だもんね!
おれ達、友達だもんね!