美咲
手足が悴んで、感覚がなくなる。
美咲
美咲の親は数年前に離婚。
今はお母さん側にいてお兄ちゃんとは別れてしまった。
離婚する前は優しくて温厚なお母さんだったが、離婚してからは冷たくなってしまった。
美咲が何かするごとに怒り、美咲を殴った。
お兄ちゃんの顔はあまり覚えていない。
だが前のお母さんと似て優しかったという記憶がある。
美咲がお皿を割ってしまったから家から追い出し、部屋着1枚だ。
美咲
美咲
美咲を出迎えてくれるような場所は無かった。
それでも、美咲は真っ直ぐ前を見て足を動かした。
美咲
靴も履けず、靴下1枚。
こんな極寒の場所で、部屋着、靴下だけの女の子が生きていけるわけがない。
美咲
ズゴゴゴゴ…
美咲は石につまづき、猛スピードで坂を滑っていく。
美咲
美咲の顔は涙でグチャグチャだった。
ズゴゴゴゴ!
奏太
ガッッッ!!
奏太
男の子が持っていたスキー板を地面に突き刺し、危機一髪で止めてくれた。
美咲
奏太
美咲
奏太
美咲
奏太
美咲
奏太
奏太
美咲
奏太
奏太
奏太
奏太
そう言って、私の手に自分の手袋を着けてくれた。
美咲
奏太
奏太
美咲
彼は黙って自分のパーカーを脱ぎ、私に羽織らせてくれた。
私は、彼の優しさに感謝し、自分の冒されている状況について話した。
彼はずっと真剣に聞いてくれた。
奏太
奏太
美咲
美咲
美咲
彼の名前は「奏太」
話していると分かるが優しくて面白い人だ。
奏太の親も奏太が小さい頃に離婚し今はお爺ちゃんと住んでいるそう。
奏太
奏太
奏太
爺ちゃん
奏太
奏太
奏太はお爺さんにも事情を話し、居候させてくれることになった。
美咲
美咲
美咲
奏太
爺ちゃん
爺ちゃん
美咲
爺ちゃん
奏太
美咲
美咲
奏太
美咲
美咲
奏太
美咲
奏太
美咲
私と奏太は色んな事を話し、お互いに親睦を深めた。
奏太は私より2歳年上。
将来の夢は 社長 らしい。
美咲
奏太
奏太
美咲
奏太
美咲
それからお母さんが迎えに来てくれる事はなく、時間だけが過ぎた。
私と奏太はもう本物の兄妹のようだった。
そんな時間がいつまでも続くと思っていた。
1年後のあの日までは…
美咲
爺ちゃん
爺ちゃん
爺ちゃん
爺ちゃん
美咲
ガタン!
持っていた鞄を地面に落としてしまった。
美咲
爺ちゃん
美咲
爺ちゃん
爺ちゃん
美咲
悔しい事に外は暗くなっている。
美咲
美咲は、一生懸命走った。
足元はツルツル滑るが気にしない。
何度も転けそうになるが踏ん張って、真っ直ぐ前を見て足を動かした。
美咲の頬にはいく筋もの涙があった。
流れては空気で冷え、流れては空気で冷えを繰り返し、顔はグチャグチャになっている。
1年前のあの時のように…
美咲
美咲の髪は解け、手足は真っ赤になっている。
そして、1年前のあの場所に立っている。
眼下には横転しているバス、警察、救急隊員がいる。
バスはデコボコで、もはやバスかも分からなくなるほどだった。
美咲
美咲
きっと、全員亡くなったんだろう…
美咲は直感的にそう思った。
いや、思いたくなかった。 思い出されたのだ。
出会いの場所も別れの場所も同じなんて…
ああ、なんていう『偶然』なんだろう。
いや、『偶然』じゃない、『運命』だ。
これは、私とあなたの悲しい『運命』だったんだ。
コメント
15件
フォローありがとう😊
奏太.....貴方は、凄い。俺の直感がそう言ってる!
予想でしたが私は奏太が兄だと思ってた。はずれやったわぁ…… とっても悲しいお話……(´;ω;`)センスあるっ!!神ってる〜!