コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
こんばんはです! 久しぶりの2連休! 昨日は仕事めっちゃ忙しかったから この休みは有意義に使います!笑 今回は最近ハマってる曲を道長に当てはめた物語です! なんの曲か分かるかな?笑笑 この作品は、吹き出し式ではありません。 スクロール設定してからお読みください
夜風が少し肌寒い夏祭りの夜、長尾の姿を目に焼き付けていた 浴衣姿の長尾がふわふわと揺れるわたがしを持って、無邪気にその甘い白いかたまりにかぶりつく姿。 そんな長尾を見ているだけで、俺の心はくすぐられたり、寂しくなったりして、複雑な気持ちでいっぱいだった。 いつもみたいに、近くにいるのに手を伸ばすことはできない距離。 俺のこの気持ちは、いつも空気のようにすり抜けていってしまうようで、なんだか虚しい。 でも、それでもいいと思える自分がどこかにいる。長尾が幸せそうにしている姿を見ていられたら、それでいい、なんて。 💛「みっちー、見て!わたがし、こんなにでかい!」 長尾がこちらを振り返り、大きなわたがしを持って無邪気に笑う。 その笑顔がまぶしすぎて、胸が締めつけられる。俺も手を振り返しながら、ぎこちなく笑ってみせるけど、きっと長尾には見えないように俺の顔は少し引きつっていたかもしれない。 🩷「ほんまや、めっちゃでかいな。どんな味するん?」 💛「あんま味せえへんけど、甘いしうまいで!」 そう言って、わたがしを口に運ぶ長尾の姿に目を奪われた。口元で溶けていくわたがし、長尾の小さな舌でふわふわの甘さを味わうその様子が、妙に色っぽく見えてしまうのは、俺の気持ちがそうさせているんやろな、と思った。 🩷「俺も、そのわたがしになりたい…」 胸の奥で静かにつぶやいたその声は、当然、長尾には届かない。ただの空気のように消えてしまうだけだった。 💛「ん?なんか言うた?」 🩷「いや、なんもないわ」 苦笑いしながらそっぽを向く。 何気なく見上げた夜空には、打ち上がる花火が一瞬光っては消えていく。 俺の気持ちも、まるでこの花火みたいに一瞬で消えてしまいそうで、ほんまに言葉にならんままだ。 それでも、長尾は嬉しそうに俺を見つめる。 その無邪気さが、俺にはもどかしい。 こんなに好きやのに、どうしてその気持ちに気づいてくれないんやろなって思ってしまう。 俺はまた、長尾の背中を見つめる。 近くにいるのに、遠い。 どんなに近づいても手が届かへん。そう思うと、心の奥に広がる切なさが、俺の胸を締めつけてくる。 💛「なあ、みっちー、次どこ行く?」 🩷「うーん、どこ行きたいん?」 💛「なんやろ…あっ、あそこ、金魚すくいとか楽しそうやん!行こ!」 長尾が俺の腕を引っ張り、金魚すくいの屋台に向かう。 長尾の手の温もりが、一瞬だけ俺のものになった気がして、少しだけ嬉しい気持ちになった。 でも、それはすぐに消えてしまう温もりで、まるで掴めない砂のように手の中からこぼれ落ちていった。 金魚すくいを楽しむ長尾の姿を、俺は黙って見守っているだけだった。 長尾の笑顔、長尾の楽しそうな声。 全部俺のものにはならない、ただの風景として目に映るだけ。 💛「見て、みっちー!俺、これ一匹すくえた!」 🩷「おお、すごいやん。長尾、意外に器用なんやな」 少し誇らしげな長尾の顔に、俺はまた胸を締めつけられる。なんでこんなにも、彼の何気ない仕草や言葉に心を乱されるんやろう。 祭りが終わりに近づくにつれて、人々の波が引いていく。 その静けさが、俺の胸に寂しさをじわりと染み込ませる。 俺は、長尾の隣を歩きながら、もう一度思う。 長尾が俺の隣にいてくれるだけで、今はそれでいい、と。 最後の花火が打ち上がる頃、俺はふと、長尾に言えないままの言葉を心の中でそっと呟いた。 🩷「…長尾、好きやで」 その声もまた、夜の空気に溶け込んでいく。長尾には決して届かない、俺だけの想い。