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苦しくも愛しい季節が 今年もまたやってきた

yan

あれから....もう3年になるんだな

波打ち際にしゃがみ込んで 抱えていた花束を海に浮かべる

雲ひとつない青空の下、それが波に さらわれていくのを眺めながら

隣に立つurが声を漏らした

今日は中学の同級生である 夕日etの誕生日であり、命日だ

ur

今年はなんの花にしたの?

ur

etさんへのラブレター

yan

......茶化してんじゃねぇよ

ur

はは、ごめんごめん

ur

でも、気になるのは本当だよ

ur

毎年、違う花を選んでるだろ?

urが言っているのは俺が毎年この日に etさんと訪れた海に流してる花のことだ

yan

カーネーション

ur

へぇ、ちなみに花言葉は?

yan

誰が教えるか

"あなたに会いたい"

沖に流されていく赤に込めた 想いを受け取るのは1人でいい

ur

それにしても似合わないよね、yanくんと花って

おかしそうに言われるのは悔しいけど それは自分でも思うことなので無視する

ただの願望なんだ

どれだけ頑張っても俺は水平線の 向こうに行くことはできない

だからこそ、願いを込めた花束なら 空にいるetさんに届くんじゃないかって

yan

ねぇ、ur

ur

ん?

yan

俺はあの頃.....

yan

ちゃんと最善を選べてたのかな......

彼女と過ごした時間に想いを馳せ 俺は真上に広がる真っ青な空を見上げた

etさんと出会ったのは高校2年生の夏

初めて言葉を交わした時の印象は 多分お互い最悪だった

それがまさかあんなにもかけがえのない 存在になるだなんて想像していなかった

普段は難しい顔をしてるくせに 本当は表情豊かだったり

1人でいようとするくせに 俺が困ってると助けてくれたり

新しい一面を知るたびにetさんのことが 気になって気づいた時には好きだった

初恋だった

etさんと過ごす時間は いつも愛おしかった

幸せだった

幸せすぎて気づけなかった

etさんが砂浜に倒れ込むまで

etさんが必死に隠し続けていたことに 俺は気づくことができなかった

しゃがみ込んだまま 打ち寄せる波に視線を移した

波と波の間で砂や貝殻が踊っている

yan

時々、不安になるんだ

yan

俺が、etさんにしたことは本当に間違ってなかったのかって

etさんが抱えてる事情なんて知らずに のうのうと過ごしていた俺は....

etさんの重荷になっていなかったか?

あの日々に俺は後悔していない

でもetさんはどうだったんだろう

etさんの死を少しづつ受け止めて来た けどそれだけはずっと気がかりだった

ur

.....ったく

ur

正反対のようで似てるよな、2人って

呆れたように笑うurに なんだそれと言葉を返す

そのときびゅうっと 巻き上げるような風が吹いた

hr

yanくーん!urー!

風に乗って聞き覚えの ある声に名前を呼ばれる

振り返ると遊歩道から砂浜に向かって 手を振るhrくんの姿が見えた

ur

hrくん?

こちらに向かって走ってくる

yan

なんでここに....

hr

お墓参りの後、毎年ここによるって聞いてたから来て見たんだ

hr

ここ、家から近いからno兄に送ってもらって.....

hr

no兄は車で待ってるよ

いなかったら後で連絡するつもりだった と言いながらhrくんが爽やかに笑う

hr

これをyanくんに渡したくて

目を伏せてhrくんがカバンから 取り出したのはオレンジ色の封筒だった

表面には【yanくんへ】と書かれている

yan

これ.....!

hr

この間引っ越しの時、etの遺品を整理してて見つけたんだ

hr

入院の差し入れに渡した本の間に挟まってた

震える手を伸ばして 差し出された封筒を受け取る

手元に来て確信した

筆圧が弱くて頼らないけどわかる

これは間違いなくetさんの字だ

hr

辛くてなかなか遺品整理できなくて

hr

そのせいで、届けるのが遅くなっちゃった、ごめん

yan

い、いや

hr

よかったら読んであげて

hr

etからのラブレターだと思うから

そう言ってhrくんは 手を大きく振って去って行った

3年前の今日、窓の外は 土砂降りの雨だった

放課後、松葉杖をついて病室を訪れた 俺を出迎えたのは弱ったetさんだった

虚ろな目で俺を見て

"17歳になったよ"

と言って笑った彼女は その数時間後に息を引き取った

ur

びっくりしたな.....

ur

まさか今頃、そんなものが出てくるなんて

yan

あ、あぁ.....

ur

読んでみなよ

ur

お前が知りたいことも、書いてあるかもよ

urに背中を押されて 微かに震える指で封を開ける

二つ折りの便箋を開くと目に飛び込んで きたのは懐かしいetさんの字だった

yanくんへ こんにちは、夕日etです。 いきなり手紙なんてびっくりしたかな。 私は今、病院のベッドにいます。 yanくんに病気が知られてしまった時、まだ伝えられてないことがあったような気がしたんだけど、面と向かってははっきり言えないから、手紙を書くことにしました。 脳腫瘍が見つかったのは高校一年生の時でした。 なんで私なんだろうってたくさん泣いたし、関係のないことに無理やり原因を見出そうとしたりもした。 毎日が真っ暗だった。 転校して学校に通うと決めた時も、本当は希望なんてどこにもなくて、なんてことない学校生活を送って、誰にも気づかれずに死んでいくんだと思ってた。 でも、そんな私の世界に光が射しました。 yanくん、あなたです。 あまりに突然だったから眩しくて眩しくて、初めは背を向けてしまっていたけれど、本当はとても嬉しかった。 ダメだってわかっていても、手を伸ばすことをやめられなかった。 urがいて、rnがいて、クラスメイトがいて、何よりyanくんがいるその場所が、私が本当に欲しかったものだったのだと思います。 そんな場所をくれたyanくんに、私はたくさんの嘘をつきました。 守れない約束もしました。 そのせいで、いっぱい傷つけたよね。ごめんなさい。 バイクの免許を取ったら一番に後ろに乗せてって約束は、忘れてください。 ちゃんと言っておかないとね。 yanくんのことだから、律儀に守ってくれそうだもん。 yanくんに出会えてよかったって、心から思う。 毎日がこんなにも楽しかったのは、yanくんのおかげです。ありがとう。 どれだけ言っても伝えきれないけど、本当に本当にありがとう。 一緒にいられて、私は幸せでした。 またいつか、どこかで会おうね。 バイバイ。 夕日etより

頬を伝った涙が、砂浜に ポロポロと落ちる

嗚咽を漏らす俺の肩に手を置いて urが穏やかな声色で言った

ur

心配しなくても、お前は間違ってなかったと思うよ

ur

その手紙でetさん本人が教えてくれただろ?

返事の代わりに、何度も何度も頷いた

俺はetさんの重荷にはなっていなかった

光とさえ言ってくれた

ur

yanくんがetさんを好きだったように、etさんもお前のことが好きだったよ

ur

気持ちを自覚して泣いちゃうくらいにはさ

海に流した花はもう見えない

いや見えなくなったんじゃない

届いたんだ

時間がかかったけど、お互いの想いが

それぞれの元へ

yan

俺、もうすぐバイクの免許を取るつもりなんだ

目元をゴシゴシと擦りながら ゆっくりと立ち上がる

yan

一番に後ろに乗せるのが大きくなったjppとttnなら、etさんも許してくれるかな

俺が言うと、urがくしゃっと笑う

ur

いいんじゃない?

ur

etさんのことだから、jpたちを乗せるなんてyanくんずるい!とかって言いそうだけど

yan

はは、ありえる

また風が吹いた

宝物みたいな日々を思い出すような 柔らかく優しい風だった

上書きされた

でも、忘れてなんかやるもんか

流れていく時間の中で 何度だって思い出すよ

かけがえのない日々を 精一杯紡いだ天使のことを

〜余命半年の私が最後に紡いだ物語〜

〜完結〜

流月

みなさまこんにちは、流月です。

流月

このたびは、『余命半年の私が最後に紡いだ物語』を読んでいただきありがとうございます。

流月

読んでくださったみなさまの心に、少しでも残るものがあれば嬉しいです。

流月

最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

流月

また次のお話でお会いできますように。

〜余命半年の私が最後に紡いだ物語〜

〜完結〜

この作品はいかがでしたか?

1,551

コメント

40

ユーザー

この作品でしぬほど泣きました😭😭😭バッドエンドのようなハッピーエンド。すごく読んでいて感動しました✨素敵な作品を作って下さりありがとうございました🙇🏻‍♀️✨️

ユーザー

初コメです!一日で全て拝見させていただきましたが、泣きかけました!えとさん……あっちで幸せになってくれることを願います( ; ; )

ユーザー

なんでこんな神作品をもっと早く見つけられてなかったんだろう…… 最後泣きました……これからも、頑張ってください!!

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