五月
………くそっ…
五月
なんでこんな時に……
七菜
いつきさーん…?
五月
……おはよう。今日はいつもより早いんだな…。
七菜
あ、うん…!心配で…
五月
……昨日はすまん…
七菜
いや!いいんだ!
五月
…………隠し事はなし、だったよな。
七菜
………うん。
五月
俺はな、
五月
小さい頃から体が弱かったんだ。
七菜
え、そうなの……?
五月
産まれてからすぐに捨てられた。
七菜
え……
五月
この森に捨てられた俺は、
五月
周りの『妖怪』達に育てられた。
五月
でも、産まれつき体が弱かった俺はすぐに消えそうだった。
五月
本当は消えるはずだった。
五月
だが、妖怪がこの面を俺につけてくれたんだ
五月
妖力の籠っている面だ。
五月
それと同時に、
五月
『人に触れると消えてしまう』という呪いがかけられた。
七菜
………え…?
五月
まぁ俺には人なんて関係のない生き物だから
五月
関係ないと思っていた。
五月
あの日、お前と出会うまでは
七菜
………
五月
今まで黙っていてすまん。
五月
だから俺は、
五月
お前に触れることができないんだ…。
七菜
……だから昨日…
五月
……そういうわけだ…
全て話してしまった。
でも、七菜になら…
七菜
よかった!
五月
え…?
七菜
私嫌われたのかと思った…
五月
あぁ…いや違うんだ。
七菜
大丈夫!わかってる
七菜
これからは気をつけるよ!
五月
ありがたい。
五月
それにしてもこんな呪いをかけられるとはな…
五月
これならいっそ消えてしまった方がマシだったのかもしれない…
七菜
そんなこと言っちゃダメ!
七菜
私がいるじゃん!
七菜
支えるよ。いつでも。
五月
……ありがとな…
七菜は優しい。
でも、人間と関わってしまった俺は
消える日は近いだろう。