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俺と…委員長と…

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俺と…委員長と…

12 - 俺と…委員長と…12

♥

201

2019年12月10日

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放課後の委員会

ヒカル

それでは来週から始まる
風紀徹底週間の確認です

ヒカル

月曜日から金曜日までの
当番を作ったので

ヒカル

各自目を通してもらい
当日の朝は玄関に立って

ヒカル

どうのこうの
あーだこーだ

いつもの… 委員会…

とは ちょっと雰囲気が違った

ヒカルに向ける女子の目が 委員の中でも明らかに 増えた

本人様は少し明るくなった と言うか自信がついたように見えた

これを相互効果というのだろう

いや、言わない…

ヒカル

来週1週間僕と
副委員長の広坂くんは
毎日一緒にやりますので

カナタ

!?

ヒカル

困ったときは声を掛けて下さい

カナタ

!!??

その話は… 初耳ですが~~~~~~

ヒカル

ではまぁ短い時間ですので
頑張ってもらい

ヒカル

後日その時の様子をアンケートで
とりますのでよろしくお願いします

ヒカル

何か質問ありますか?

一瞬しんとなる

そして一人手を挙げる

ヒカル

はい
何ですか?

委員A

委員長~
彼女作らないんですかぁ?

ヒカル

えっ!?

全く違う方向の質問に ヒカルはたじろいだ

ヒカル

えっと
あの

ヒカル

委員の内容じゃないので…

委員A

え~でもぉ~
殆どの女子は
気になってますよぉ~

カナタ

…………………

ヒカル

そう言われても…

委員A

委員長と会長が並んで歩いてるところなんて

委員A

女子の中では
委員長派と会長派で
毎回論争ですよ~

委員A

ね~

発言した女子に 口を合わせるかのように 他の女子も「ね~」と口を揃えた

ヒカル

僕は…
今そう言うこと…

委員A

委員長と直接話すのなんて
声掛けづらいから
今日がチャンス!

委員A

って感じでーす

ヒカル

声掛けづらい…
そうなんだ…

委員A

そうですよー
何か空気感っていうかー

ヒカル

とっ!
とにかくっ!

ヒカル

ちょっと
主旨が…

勢いに任せて聞いてきた女子に ヒカルは 隣から見てても動揺しかなかった

きっとこういう状況になった経験が ないのだろう…

カナタ

はいはいはいはい!

カナタ

来週のことについての
質問がなければ

カナタ

これで委員会は
終了しまーす!

ヒカル

します…

委員A

あ~ぁ
聞くチャンスだったのにぃ~

委員A

みんなにせめられちゃ~ぅ

何人かの女子委員の子は 残念そうに会議室を後にして行った

最後の一人が 廊下に出るタイミングで ヒカルが話し掛けてきた

ヒカル

カナ…
広坂くん
ありがとう

カナタ

いや、いいよ

カナタ

なんか面倒くさいことに
なりそうだったしさ

ヒカル

う、うん
ほんとそうだね

ヒカル

僕にはやっぱ
かわすテクニックが
無いって言うか…

カナタ

うん
わかってる

カナタ

だから
俺がぶった切った(笑)

ヒカル

本当に助かったよ

ヒカル

やっぱ
僕には

ヒカル

カナタくんが
必要な気がするよ

屈託なく笑うヒカルに ドキッとした

ただ

会長とあんな事があったから 素直に喜べない

後ろめたい自分がいた…

カナタ

あっ…
あのさ…

ヒカル

ん?

カナタ

俺ら毎日玄関に
立つっていう…

ヒカル

あぁ
うん!

ヒカル

やっぱり委員長と副委員長
だからね

ヒカル

1週間だし
大したことない
と思うから

カナタ

あぁ…
う、う…
うん…

カナタ

そ、そ…
そぅ…だ…ね…

ここいう活動は 非常に面倒くさくて

風紀委員になりたくなかった 理由でもあった

以前なら ヒカルと一緒にいられるなら 両手を挙げて

喜んでいたと思う

いや、嬉しくないわけではない

ヒカル

頑張ろうね

カナタ

は、はぃ~

ヒカル

カナタくん!

カナタ

なっ!なんすか!?

ヒカル

勉強したくないときの
カナタくんと同じ

カナタ

まぁ…
へへへ

ヒカル

一緒に頑張ろ!!

カナタ

は、はいぃ~~~~

ヒカル

もぉ~
カナタくんはぁ~

でもこんな会話でも

数日間遠くから見てるだけだった 日々に比べればやっぱり嬉しかった

カナタ

つーかさ
俺がヒカルを変えちゃったから

カナタ

何かすげー環境変わっちゃって

ヒカル

うん…そうだね

ヒカル

今までと全然違った景色
と言うか

カナタ

何か俺…
悪いことしちゃったかな?
って思ってさ…

ヒカル

そんなことないよ!

カナタ

そ、そう?

ヒカル

前の僕は
本当に自分のことも

ヒカル

嫌だなーって思うときも
あってさ

ヒカル

みんなが羨ましかったりって
事もあったし

カナタ

うん

ヒカル

でもカナタくんのお陰でさ
ちょっと違う自分になれた

ヒカル

って言うか…
自信が持てるように
なってきたよ

カナタ

気持ちが上を向いた?

ヒカル

うん!そうだね!

ヒカル

勉強だけしかしなかったり
みんなが楽しそうにしてても

ヒカル

僕がいたら邪魔かなって
思うこともたくさんあったけど

ヒカル

すぐには無理かも知れないけど
少しずつみんなと普通に

ヒカル

会話したり出来たら良いなって
思えるようになったよ

カナタ

そっか

確かに ヒカルは俺のものではない

だから前の時のように 自分だけがヒカルのよさを 知っている

そう言う状況じゃなくなったし そうしたのは俺自身だし

ヒカルが自分の人生を より 楽しく過ごせるのなら

おれはイケメンじゃなくても

影のような存在でも いいかなと感じた

ヒカル

とりあえず
来週カナタくんは

ヒカル

朝来たら委員に
腕章渡してもらって…

ヒカル

あーでこーで
そーなって…

なぜ委員のこととなると こんなにも夢中になれるんだろう

カナタ

りょ…了解

ヒカル

じゃあ遅れないようにね

カナタ

りょ…了解…

ヒカル

大丈夫?起きれる?

カナタ

……………

ヒカル

………………

カナタ

れない!

ヒカル

あぁん…もう…

カナタ

ほら
布団が離してくれなくてさ

ヒカル

かーなーたーくーん…

カナタ

が、頑張ります…

くだらないやり取りだけど 楽しい

確かにさっき言ったことは本当

でも

ヒカル

あ、あのさ…

カナタ

んん~?

これから言おうとすることを 今まで人に言ったことがなく

なんて言えばいいか 言葉を探した

カナタ

どうしたの?

ヒカル

僕は今まで

ヒカル

人から見られること…
人前に出ることは
そんなに気にならなかった

カナタ

うん

ヒカル

学校がよくなったり
みんなが過ごしやすく
なるなら特に気にならなかった

カナタ

ふむふむ
それで?

ヒカル

んと…ね…

ヒカル

以前は今みたいに
女の子の注目を
集めることもなかった

ヒカル

今は会長と一緒にいるから
かもしれないけど

カナタ

会長は関係ないよ
ヒカルが良くなった

カナタ

それだけだよ

ヒカル

う、うん…

ヒカル

何かそう言うのが初めてだったから僕はどうしていいかわからなかった

ヒカル

今日の委員の子みたいなことも初めてだったし

ヒカル

でもね…

カナタ

ヒカル

1つ…
残念なことが…

カナタ

なっ!
なななな…なに…?

ヒカル

えっと…

答えを待ってるカナタくんを みると余計焦ってしまう

ヒカル

あっあのね…

ヒカル

なんて言うのかな…

カナタ

う、うん………
なん…だろ、…

ヒカル

カナタくん…が

ヒカル

僕の近い存在って
思ってたのに

カナタ

うん…

ヒカル

女子がたくさん集まるようになって遠くなっちゃった感じがして

ヒカル

………………

カナタ

………………

ヒカル

僕…
ちょっと寂しかった

カナタ

!!!!!!!
はぐぅぁ~~~~!!

ヒカル

!?

カナタくんが胸を押さえて 後ろに振り向きながら 倒れそうになった

ヒカル

かっ!カナタくんっ!
どうしたの!?

ヒカル

大丈夫!?

カナタ

あっ
うん

カナタ

可愛すぎて
心臓爆発して
鼻血出るかと思った

ヒカル

えぇー!?

ヒカル

鼻血でてない…よね…?

カナタ

出てないよ(笑)

カナタ

もうさ
本当にマジで

カナタ

ヒカル
可愛いんだよ

ヒカル

そっそうかなぁ…

ここ最近毎日 カッコイイとか言われてたせいか

可愛いなんて言われたことの方が よっぽど照れてしまって

ヒカル

男が可愛いとか変かも知れないけど

ヒカル

カナタくんに言って貰うと

ヒカル

嬉しい……

嬉しいから恥ずかしくなってきた

学校じゃなければ もっとカナタくんと話しをしたかった

カナタ

まぁ俺も
ヒカルと全然話し出来なくて

カナタ

やっと…?
話しが出来るようになって

カナタ

遊んだりしたのに
暫く遠くから見るだけだったから

カナタ

何か遠い存在に感じちゃってた

カナタ

俺はイケメンじゃないしさ

ヒカル

見た目じゃないよ!
現に僕はカナタくんのこと
好きだし

カナタ

にゃうっ!

ヒカル

あぇ?

カナタ

もうやめて
マジ

カナタ

可愛すぎる

ヒカル

そ、そうなの??

カナタ

今日もう帰らないと
俺は…ヒカルに

カナタ

キュン死する

ヒカル

ええーーー!!
こっ困るよ!

ヒカル

死んじゃいやだよ!

カナタ

いやいや
死ぬわけじゃ無いけど
比喩的な

ヒカル

そっ、そっか
よかった

ヒカル

よくわかんないけど
死んじゃうかと思っちゃった…

カナタ

死なないよ(笑)

やっぱりカナタくんは 楽しいし優しい

こういう日が毎日続けば

自分の人生がもっと 明るくなるんじゃないかと

期待を抱いた

ヒカル

じゃあ
カナタくんが死なないって
わかったし帰ろ

カナタ

う、うん(笑)

ヒカル

今日は途中までだけど
一緒に帰れる?

カナタ

俺は良いけど
会長じゃないしなー

ヒカル

会長はいつの間にか
いつも近くに居るんだよね💦

カナタ

まぁ代わりにはなれないけど
お供します

カナタ

王子様

カナタくんは片腕を前に出して 深々とお辞儀してきて

まるで執事のようだった

ヒカル

大袈裟だよー💦

久々に一緒の時間を過ごせる

こんな小さな事だけど ぼくの胸は弾んでいた

ヒカル

遅くなっちゃったね

カナタ

そうだね

カナタ

でも久々に喋れて嬉しかった

ヒカル

うん!ぼくもだよ!

なぜかわからない けど カナタくんといるとき

自分が今まで以上に 自然体でいられる

ヒカル

女子に好き勝手言われてるけど
僕にそう言うのは
性に合わないというか

ヒカル

嬉しくないわけじゃないけど

カナタ

まーそうかな~?

カナタ

殆どの男は女子にモテたいって思うんだけど
どっちもないものねだりだね~

ヒカル

そ、そうだね

久しぶりのカナタくんの横顔

ぼくとの会話の時の声のトーン

ヒカル

僕は今のところそういうのはいいや

カナタ

俺も…

カナタ

今はヒカルとこうやって話しできれば俺は満足

そして笑顔

何でカナタくんにぼくは惹かれるのかよくわかってない

また帰り道の分岐点に着いた

気持ちは もう少し もう少し

でも帰らないと そんなせめぎ合い

カナタ

はぁ…

ヒカル

どう…したの…?

カナタ

もう、分かれなきゃいけないじゃん

ヒカル

う…ん…

カナタ

まぁしょうがないか…

ヒカル

うん…

なんだかお互いしんみりした空気

ヒカル

また、来週!

ヒカル

頑張ろうね!

カナタ

あ~
う、うん~え~
はぃ~

ヒカル

あ!もう!
またそれ!

カナタ

ひぃ~
頑張りますぅ~

ヒカル

じゃあぼく行くね

カナタ

うん
またね

ヒカル

ばいばい

カナタ

じゃーなー!

こうしてカナタくんとの今日の時間は終わった

はずだった

街の喧騒の中に

明らかに違う音が耳をつんざく

うわぁっ!

キャァァアア!

助けて!

ヒカル

ん?

人が刺されたぞ!

男の子と女の子が倒れてるぞ!

誰か!救急車! 警察!

何だか騒がしい

誰かあいつを捕まえろ!

ヒカル

何だろう?

ぼくは振り返って騒ぎの方を見た

人が集まり始めて よく見えない

ヒカル

あっちは今
カナタくんが行った方だし…

ぼくは近付いた

人が…二人…倒れてる…

明らかに片方は知っている姿

ヒカル

ま…まさか…

目を凝らして 見ても どう見ても

ヒカル

カナタくん!!!

ヒカル

カナタくん!!

ヒカル

血がっ!

ぼくはその姿を見て夢中になって駆け寄った

そして彼を抱きかかえた

カナタ

ヒ、ヒカ…ル…

ヒカル

カナタくん!
カナタくんっ!

カナタ

そこの…女の子…

ヒカル

なに!?
女の子がどうしたの!?

カナタ

いっ…いってぇ…
腹があっちぃくらいだぜ

ヒカル

カナタくんの血が凄いよ!
どうしよう!

おい、あの男の子血がやべーな

救急車まだか!?

周りの声が洪水のように 耳に入ってきたり

目の前の状況に気が遠くなりそうなのを我慢したり

混乱し始めていた

ヒカル

カナタくん!

カナタ

ヒカル…
そこの女の子……
大丈…夫…か…?

ヒカル

おっ、女の子…

ヒカル

女の子って!

周りをみて一緒に倒れていた女の子を見た

服に血が滲んでいたが その子は少し切られた程度に見えた

女子高生

こ、この人がっ
私を助けてくれて

女子高生

私の代わりにっ…

泣きながら痛いであろう切られた腕を押さえながら カナタくんに向かって

女の子はカナタくんが自分を助けたのだと言った

ヒカル

大丈夫みたいだよ!
少し腕は切れてるみたいだけどっ!

ヒカル

でも!カナタくんのほうが大変だから!喋らないでよっ!

カナタ

うん
そうか…
よかったよ

カナタくんの血はぼくにまで流れてきた

カナタ

ヒ…カ…

ヒカル

カナタくんっ!
やだよ!

カナタ

だい…じょ…うぶ…
だ…よ…

薄い笑顔で強がっていた彼を ぼくはどうすることもできない

ピーポー ピーポー

遠くから救急車の音が聞こえた

早くして欲しい 神様助けて下さい

そんなことを繰り返し心で叫んだ

救急隊です! 負傷者はどこですか!

ヒカル

はやくっ!
こっち!!!

ヒカル

カナタくんを助けて!

救急隊員が来て ぼくはカナタくんから離されて

ただただその様子を茫然と立ち尽くし見ていることしか出来なかった

俺と…委員長と…

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