放課後の委員会
ヒカル
風紀徹底週間の確認です
ヒカル
当番を作ったので
ヒカル
当日の朝は玄関に立って
ヒカル
あーだこーだ
いつもの… 委員会…
とは ちょっと雰囲気が違った
ヒカルに向ける女子の目が 委員の中でも明らかに 増えた
本人様は少し明るくなった と言うか自信がついたように見えた
これを相互効果というのだろう
いや、言わない…
ヒカル
副委員長の広坂くんは
毎日一緒にやりますので
カナタ
ヒカル
カナタ
その話は… 初耳ですが~~~~~~
ヒカル
頑張ってもらい
ヒカル
とりますのでよろしくお願いします
ヒカル
一瞬しんとなる
そして一人手を挙げる
ヒカル
何ですか?
委員A
彼女作らないんですかぁ?
ヒカル
全く違う方向の質問に ヒカルはたじろいだ
ヒカル
あの
ヒカル
委員A
殆どの女子は
気になってますよぉ~
カナタ
ヒカル
委員A
委員A
委員長派と会長派で
毎回論争ですよ~
委員A
発言した女子に 口を合わせるかのように 他の女子も「ね~」と口を揃えた
ヒカル
今そう言うこと…
委員A
声掛けづらいから
今日がチャンス!
委員A
ヒカル
そうなんだ…
委員A
何か空気感っていうかー
ヒカル
とにかくっ!
ヒカル
主旨が…
勢いに任せて聞いてきた女子に ヒカルは 隣から見てても動揺しかなかった
きっとこういう状況になった経験が ないのだろう…
カナタ
カナタ
質問がなければ
カナタ
終了しまーす!
ヒカル
委員A
聞くチャンスだったのにぃ~
委員A
何人かの女子委員の子は 残念そうに会議室を後にして行った
最後の一人が 廊下に出るタイミングで ヒカルが話し掛けてきた
ヒカル
広坂くん
ありがとう
カナタ
カナタ
なりそうだったしさ
ヒカル
ほんとそうだね
ヒカル
かわすテクニックが
無いって言うか…
カナタ
わかってる
カナタ
俺がぶった切った(笑)
ヒカル
ヒカル
僕には
ヒカル
必要な気がするよ
屈託なく笑うヒカルに ドキッとした
ただ
会長とあんな事があったから 素直に喜べない
後ろめたい自分がいた…
カナタ
あのさ…
ヒカル
カナタ
立つっていう…
ヒカル
うん!
ヒカル
だからね
ヒカル
大したことない
と思うから
カナタ
う、う…
うん…
カナタ
そぅ…だ…ね…
ここいう活動は 非常に面倒くさくて
風紀委員になりたくなかった 理由でもあった
以前なら ヒカルと一緒にいられるなら 両手を挙げて
喜んでいたと思う
いや、嬉しくないわけではない
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタくんと同じ
カナタ
へへへ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタくんはぁ~
でもこんな会話でも
数日間遠くから見てるだけだった 日々に比べればやっぱり嬉しかった
カナタ
俺がヒカルを変えちゃったから
カナタ
ヒカル
ヒカル
と言うか
カナタ
悪いことしちゃったかな?
って思ってさ…
ヒカル
カナタ
ヒカル
本当に自分のことも
ヒカル
あってさ
ヒカル
事もあったし
カナタ
ヒカル
ちょっと違う自分になれた
ヒカル
自信が持てるように
なってきたよ
カナタ
ヒカル
ヒカル
みんなが楽しそうにしてても
ヒカル
思うこともたくさんあったけど
ヒカル
少しずつみんなと普通に
ヒカル
思えるようになったよ
カナタ
確かに ヒカルは俺のものではない
だから前の時のように 自分だけがヒカルのよさを 知っている
そう言う状況じゃなくなったし そうしたのは俺自身だし
ヒカルが自分の人生を より 楽しく過ごせるのなら
おれはイケメンじゃなくても
影のような存在でも いいかなと感じた
ヒカル
来週カナタくんは
ヒカル
腕章渡してもらって…
ヒカル
そーなって…
なぜ委員のこととなると こんなにも夢中になれるんだろう
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタ
布団が離してくれなくてさ
ヒカル
カナタ
くだらないやり取りだけど 楽しい
確かにさっき言ったことは本当
でも
ヒカル
カナタ
これから言おうとすることを 今まで人に言ったことがなく
なんて言えばいいか 言葉を探した
カナタ
ヒカル
ヒカル
人前に出ることは
そんなに気にならなかった
カナタ
ヒカル
みんなが過ごしやすく
なるなら特に気にならなかった
カナタ
それで?
ヒカル
ヒカル
女の子の注目を
集めることもなかった
ヒカル
かもしれないけど
カナタ
ヒカルが良くなった
カナタ
ヒカル
ヒカル
ヒカル
ヒカル
カナタ
ヒカル
残念なことが…
カナタ
なななな…なに…?
ヒカル
答えを待ってるカナタくんを みると余計焦ってしまう
ヒカル
ヒカル
カナタ
なん…だろ、…
ヒカル
ヒカル
思ってたのに
カナタ
ヒカル
ヒカル
カナタ
ヒカル
ちょっと寂しかった
カナタ
はぐぅぁ~~~~!!
ヒカル
カナタくんが胸を押さえて 後ろに振り向きながら 倒れそうになった
ヒカル
どうしたの!?
ヒカル
カナタ
うん
カナタ
心臓爆発して
鼻血出るかと思った
ヒカル
ヒカル
カナタ
カナタ
本当にマジで
カナタ
可愛いんだよ
ヒカル
ここ最近毎日 カッコイイとか言われてたせいか
可愛いなんて言われたことの方が よっぽど照れてしまって
ヒカル
ヒカル
ヒカル
嬉しいから恥ずかしくなってきた
学校じゃなければ もっとカナタくんと話しをしたかった
カナタ
ヒカルと全然話し出来なくて
カナタ
話しが出来るようになって
カナタ
暫く遠くから見るだけだったから
カナタ
カナタ
ヒカル
現に僕はカナタくんのこと
好きだし
カナタ
ヒカル
カナタ
マジ
カナタ
ヒカル
カナタ
俺は…ヒカルに
カナタ
ヒカル
こっ困るよ!
ヒカル
カナタ
死ぬわけじゃ無いけど
比喩的な
ヒカル
よかった
ヒカル
死んじゃうかと思っちゃった…
カナタ
やっぱりカナタくんは 楽しいし優しい
こういう日が毎日続けば
自分の人生がもっと 明るくなるんじゃないかと
期待を抱いた
ヒカル
カナタくんが死なないって
わかったし帰ろ
カナタ
ヒカル
一緒に帰れる?
カナタ
会長じゃないしなー
ヒカル
いつも近くに居るんだよね💦
カナタ
お供します
カナタ
カナタくんは片腕を前に出して 深々とお辞儀してきて
まるで執事のようだった
ヒカル
久々に一緒の時間を過ごせる
こんな小さな事だけど ぼくの胸は弾んでいた
ヒカル
カナタ
カナタ
ヒカル
なぜかわからない けど カナタくんといるとき
自分が今まで以上に 自然体でいられる
ヒカル
僕にそう言うのは
性に合わないというか
ヒカル
カナタ
カナタ
どっちもないものねだりだね~
ヒカル
久しぶりのカナタくんの横顔
ぼくとの会話の時の声のトーン
ヒカル
カナタ
カナタ
そして笑顔
何でカナタくんにぼくは惹かれるのかよくわかってない
また帰り道の分岐点に着いた
気持ちは もう少し もう少し
でも帰らないと そんなせめぎ合い
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
カナタ
ヒカル
なんだかお互いしんみりした空気
ヒカル
ヒカル
カナタ
う、うん~え~
はぃ~
ヒカル
またそれ!
カナタ
頑張りますぅ~
ヒカル
カナタ
またね
ヒカル
カナタ
こうしてカナタくんとの今日の時間は終わった
はずだった
街の喧騒の中に
明らかに違う音が耳をつんざく
うわぁっ!
キャァァアア!
助けて!
ヒカル
人が刺されたぞ!
男の子と女の子が倒れてるぞ!
誰か!救急車! 警察!
何だか騒がしい
誰かあいつを捕まえろ!
ヒカル
ぼくは振り返って騒ぎの方を見た
人が集まり始めて よく見えない
ヒカル
カナタくんが行った方だし…
ぼくは近付いた
人が…二人…倒れてる…
明らかに片方は知っている姿
ヒカル
目を凝らして 見ても どう見ても
ヒカル
ヒカル
ヒカル
ぼくはその姿を見て夢中になって駆け寄った
そして彼を抱きかかえた
カナタ
ヒカル
カナタくんっ!
カナタ
ヒカル
女の子がどうしたの!?
カナタ
腹があっちぃくらいだぜ
ヒカル
どうしよう!
おい、あの男の子血がやべーな
救急車まだか!?
周りの声が洪水のように 耳に入ってきたり
目の前の状況に気が遠くなりそうなのを我慢したり
混乱し始めていた
ヒカル
カナタ
そこの女の子……
大丈…夫…か…?
ヒカル
ヒカル
周りをみて一緒に倒れていた女の子を見た
服に血が滲んでいたが その子は少し切られた程度に見えた
女子高生
私を助けてくれて
女子高生
泣きながら痛いであろう切られた腕を押さえながら カナタくんに向かって
女の子はカナタくんが自分を助けたのだと言った
ヒカル
少し腕は切れてるみたいだけどっ!
ヒカル
カナタ
そうか…
よかったよ
カナタくんの血はぼくにまで流れてきた
カナタ
ヒカル
やだよ!
カナタ
だ…よ…
薄い笑顔で強がっていた彼を ぼくはどうすることもできない
ピーポー ピーポー
遠くから救急車の音が聞こえた
早くして欲しい 神様助けて下さい
そんなことを繰り返し心で叫んだ
救急隊です! 負傷者はどこですか!
ヒカル
こっち!!!
ヒカル
救急隊員が来て ぼくはカナタくんから離されて
ただただその様子を茫然と立ち尽くし見ていることしか出来なかった






