短編

わん、とぅー、すりぃー、ふぉー

規則正しくなるリズム

それは僕の心の音

わん、とぅー、わん、とぅー、

これは通行人の人の心の音

みんな違う音がする

この能力に気づいたのはいつだっけ？

とぅー、ふぉー、とぅー、ふぉー

きっと彼女は僕のことが好きなんだ

音でわかる

邪魔だと思うこともあるけど

この能力は案外便利だ

だって感情が分かってくるから

わん、とぅー、とぅー、わん

悲しみの音が聞こえる

彼女の背中を見届けながら

恋ってなんだろう

疑問符が頭を飛び交う

ザワザワ

教室がざわめきを起こす

自然とみんなの心の音も早くなる

だけど僕の音は朝と変わってない

いや、1年間365日変わることは無い

感情が分からない

黄色い声が飛び交う中

僕は驚いた

わん、とぅー、すりぃー、ふぉー

彼の音は僕と一緒だった

転校先での自己紹介なんて

緊張するに決まってる

だけど彼はずっと同じリズムが

規則正しくなっている

いや、慣れているだけか？

きっとそうだ

やっぱり彼の音は変わらない

きっと彼と僕は似ている

彼は本当の自分を隠している

僕は？

答えなんて見つかるはずがない

突然の質問に驚きを隠せなかった

気づいていたんだ

でもそれならどうして？

なんで知っているの？

優しくそして暖かく

僕に笑いかけてくれた君

最初から不思議に思った

本当のリズムが分からない

僕みたいに

笑顔が取り柄

そういった時の彼は確かに

自信の感情があったはず

自然と心が暖かくなる

何を言っているの？

ドキドキを教える？

この人は何を伝えたいの？

ドキドキ

胸が騒ぎ出す

言い合いをしてる時に

ほんの一瞬だけ

💙くんの音が聞こえたんだ

とぅー、ふぉー、とぅー、ふぉー

それはよく聞く音で

君の感情を知ってから

余計に胸が騒ぐんだ

僕知ってるよ

それは『恋』のおとでしょ？