ぐわんぐわんと揺れるような、
これは、
電車の音
繰り返す
あの日の、記憶
フラッシュバック
…うるさい
蝉の声
うるさいうるさい
耳鳴りのように止まない電車の音も
耳をつん裂くように泣き叫ぶ蝉の声も
ぎゅっと目を瞑って、白くなった視界に映るのは
二度とは帰らぬ君
ふっと力が抜けてしゃがみ込んだ
キーホルダーが地面に当たって立てる小さな音
永遠に千切れてく
「お揃いだね」
お揃いのキーホルダー
音符がつきそうに弾んだ君の声が聞こえた気がして、思わず顔を上げた
勿論そこにあるのは熱い日差しに照らされた踏切だけで。
夏が消し去った
そこに、夏だと言うのに真っ白な、
汚れのない君の笑みを見た気がした
白い肌の少女に
「待って…」
「行かないで!」
悲しいほど
力の入らない足はもつれて歩き辛いけれど
取り憑かれてしまいたい
「もう…置いて行かないで」
伸ばした手は虚空を切り、 踏切は甲高い音を鳴らし続けた
世界が闇に包まれるその瞬間まで、
君は笑っていた…
コメント
3件
最初から最後まで圧倒されてました! パズルを見てる気分でした! パズルが完成した後にしか見れない物があり、とても良かったです! 素敵な作品、ありがとうございます!
え、あ好き