昔の私は 何にも意欲を示さない子でした
ただ、座って空を見上げるだけ
それが日常でした
そんなある日、 消しゴムをもらったんです
ラメの入った 透き通った消しゴム
太陽にかざすと キラキラ光って私を魅了しました
その日から、私の日常は 少しだけ変わりました
集めたお小遣いで 一目惚れした消しゴムを買う
ただ眺めるだけで 心が癒されたんです
1番のお気に入りは やっぱりラメの消しゴムで
ラッピングを剥がさずに 大事に毎日、学校に持って行きました
おかげで勉強も捗りました
机の消しゴムを使いたくて 何度も文字を書いては消してました
自分の落書きが 儚く消えていく姿に 憧れを感じていました
私もいつか こうやって
儚く、美しく この世を去る
机に残った消しカスが 私の脳裏から離れないように
私のことをみんなが 覚えていてくれる
そう、思っていたんです
ある日
お気に入りの消しゴムの ラッピングを引き剥がされました
乱暴にちぎられ ラメのついた消しゴムが
大事だった消しゴムが 何度も何度もちぎられて 切られました
何個も消しゴムを持ってるのが いけないんだ
気持ち悪いんだよ
彼は笑って、そう言います
泣いてはいけない 泣いてはいけない
私は必死に笑おうとしました
ぎこちない笑顔で彼を見据えました
知らない間に視界がぼやけて 目からはキラキラと ラメが零れました
ラメの消しゴムは 教室の床に散らばってました
これが私の最後になる
床に残った消しゴムは ほうきではかれて ゴミ箱に入れられました
後には何も残らない
そう、何も残らなかったんです
コメント
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文章すごく読みやすいし、 内容もおもしろくてめちゃ好きです!!