春。
桜が咲く。
春風が吹く。
あたたかい日が降り注ぐ。
そんな日に
君と出会ったんだ。
私
誰…?
桜並木を歩いていた。
1人の男の子がいた。
いつもここには私しかいないのに。
君
やぁ、こんにちは。
君は笑った。
綺麗で、儚くて、そして
あたたかい笑い方だった。
私
君は__
君
ねぇ、僕さ、暇してたんだ
君
一緒に遊ぼう?
私
…うん、いいよ
名前は、聞けなかった。
それが心残りだったけど、
でも少しすると、そんなこと忘れていた。
2人で、ぶらんこをこいだ。
風で、桜が舞った。
私
綺麗だね。
君
うん、綺麗だ。
そんなことしか話せなかったけど、
すごく楽しかった。
しばらく遊んだ。
桜は舞い続けた。
ずっと、ずっと、
このままがいいと思った。
私
ねぇ、綺麗だね。
私
__?
返事は、返ってこなかった。
そこにはもう君はいなくて。
いつの間にか、桜の雨はやんでいた。
また会えるかもしれないのに
何故か。
何故か、涙が溢れた。
私
さよなら。
やっぱり、
返事は返ってこなかった。