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生き残った二人

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生き残った二人

3 - 図書室の秘密(最終話)

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2020年11月03日

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先生

今日も頼むな

先生は返却本の山を指差して言うと、図書室を出て行った。

聡介

今日もこんなにあるのかぁ

聡介は溜息をついた。

奈々美

私はここで作業するね

聡介

じゃあ、僕はあっちでやるよ

そう言って、本を運び始めた。

聡介

(……ちょっと、トイレ行きたいなぁ)

聡介

(作業を始める前に、行って来よう)

聡介は奈々美に声をかけるために、彼女の作業している場所へ行った。

見ると、彼女は本を棚に戻さず、ただボーっと立っている。

聡介

(何してるんだろう……?)

聡介はなぜか本棚の影に隠れて、奈々美の様子を眺めた。

奈々美は、おもむろに本の山を指差した。

すると、突然指先が光った。

聡介

次の瞬間、聡介は目を疑った。

奈々美が指先を上に向けると、本の山が宙に浮いたのだ。

聡介

(何が起こってるんだ……!?)

奈々美はすばやく本棚の方を指差す。

宙に浮いた本は、次々とその棚に収まっていった。

バサッ。

驚いた聡介は、思わず持っていた本を落とした。

その音に気付いた奈々美が、こっちを見る。

聡介は彼女と目が合った。

奈々美

……見ちゃったんだね

奈々美の目は、いつもと違って冷たかった。

奈々美に誘われて、屋上へ行った。

彼女はこっちをじっと見て、口を開いた。

奈々美

実は私、超能力が使えるの

聡介

……超能力?

奈々美

どんなものでも、自由自在に動かせるの

聡介

ど、どうやって?

奈々美

簡単だよ

奈々美

動かしたいものを指差して

奈々美

動かしたい方向に指先を向けるだけ

聡介

そうやって、本を動かしたの?

奈々美

そう

奈々美

昨日も色んなものを動かしたよ

聡介

昨日のデート?

奈々美

うん

奈々美

カフェの行列を移動させたり

奈々美

隣のテーブルにあるナイフを浮かせて取ったり

奈々美

落ちてきた鉄骨を横にそらせたり

聡介

(……不思議な出来事は、全て彼女がやっていたんだ)

奈々美

そして、あの日も

聡介

あの日……?

奈々美

社会科見学の日

聡介

……まさか

奈々美

そう

奈々美

バスを横転させたのは、私なの

聡介

奈々美

あの日、私は風邪だと嘘をついて、社会科見学を休んだ

奈々美

そして、バスが通るのを先回りして、道路で待ち伏せた

奈々美

バスが通り過ぎるタイミングで、超能力を使って横転させたの

聡介

ど、どうしてそんなことを?

奈々美

私が超能力者であることを知られたから

聡介

……どういうこと?

奈々美

ある日の授業中

奈々美

私は先生に頼まれて、クラスメイトにプリントを配っていた

奈々美

その時、段差に躓いてプリントの束を床に落としそうになった

奈々美

私は反射的に超能力を使って、それを阻止した

奈々美

その光景を、みんなに見られたの

聡介

(僕はずっと学校に行っていなかったから、それを知らなかったんだ)

聡介

(だから、この二人だけ生き残ったんだ)

聡介

……そんな理由で、事故を起こしたっていうの?

奈々美

私の家は代々超能力者の家系なんだけど

奈々美

能力者であることを、他人に知られてはいけない掟なの

聡介

……知られたら?

奈々美

その人を消さないといけない

聡介

……消す?

奈々美

殺すってこと

そう言うと、奈々美は聡介を見つめた。

聡介

(……僕もさっき、彼女の秘密を知ってしまった)

聡介は後ずさりをした。

奈々美

ごめんね

奈々美は聡介を指差した。

聡介

や、やめて

指先が光る。

奈々美は指を上に向けた。

すると、聡介の体が宙に浮いた。

聡介

うわっ

聡介

降ろして!

奈々美は指をフェンスの外に向けた。

聡介の体はフェンスを越え、屋上の外に移動した。

聡介

怖いよ!

聡介

どうするつもりだよ!

奈々美

君は屋上から転落するの

聡介

やめて

聡介

お願いだから

奈々美

一緒に遊べて楽しかった

聡介

……やめて

奈々美

せっかく良い友達になれると思ったのに

聡介は覚悟して、奈々美を見つめた。

聡介

……わかったよ

聡介

これで、お別れなんだね

聡介

でも、最後に伝えたいことがある

奈々美

……何?

聡介

……好き

奈々美

えっ?

聡介

好きだ!

そう叫んで、聡介は涙を流した。

奈々美

……

奈々美はおもむろに指を動かした。

すると、聡介の体はフェンスの内側に移動して、ゆっくりと屋上の床に降りた。

聡介

……どうして?

奈々美は指先の光を消した。

聡介

許してくれたの?

奈々美

今回だけ特別だよ

奈々美

もし、他の誰かに超能力のことを喋ったら、どうなるかわかるよね?

聡介

だ、誰にも言わない……!

聡介

約束するよ……!

聡介

(助かった……!)

聡介はホッと息をついた。

聡介

でも、何で許してくれたの?

奈々美

私、あんなふうに告白されるの初めてなの

奈々美

それに、私も君のこと、ちょっと好きだったから

聡介

ほんとに!?

聡介

じゃあ、付き合ってくれるの?

奈々美

いいよ

奈々美

……その代わり

聡介

その代わり、何?

奈々美

今日から君は、私のいいなりだから

そう言って、奈々美は不気味に微笑んだ。

終わり

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