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瑠々@カオス生みの親((ha?
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ナビゲーターとしての仕事を終えた後、私は楽屋で大きく息を吐いた
アリス
アリス
セリーナ
背後から優しい声が聞こえた
振り返ると、そこにはセリーナが立っていた
セリーナ
セリーナ
アリス
いつも通りの優しい声だった
しかし、いつのよりかは硬く感じたのは、果たして、気のせいなのだろうか
時は遡り、過去へ
後ろからはガラスが触れ合うような、微かな音がした
セリーナ
振り返ると、そこにはセリーナが立っていた
月明かりを受けて、彼女の身体は本当に透き通っていた
腕も、指先も、髪の一部さえも、光を反射してきらきらと揺れている
アリス
セリーナ
セリーナ
彼女はそっと自分の腕に触れると、コツン、と軽い音がした
あまりにも無機質な音が響いたため、私の胸はざわついた
アリス
セリーナ
セリーナ
セリーナはそう言って、ゆっくりと歩み寄る
セリーナ
セリーナ
アリス
セリーナは、私の手をそっと、取った
ひんやりとした感触で、今にでも壊れそうなくらい、繊細な手だった
その優しさはとても自然なもので、私にとっても心地よかった
それから、セリーナはよく私の傍にいるようになった
着替えを手伝ってくれたり、舞台の流れを教えてくれたり
失敗をすれば、「大丈夫よ」と微笑んでくれる
セリーナ
セリーナ
アリス
アリス
外の世界には、私の居場所なんてなかった
学校も家も、「いい子」でいないといけない場所だったからだ
セリーナ
セリーナ
その言葉は甘くて、どこか酷く歪んでいた
初めてフリークショーへやってきた日
それは、初めてセリーナの演目を、間近でみた日だった
セリーナは長い剣を躊躇いもなく、口へ入れた
ゴリ、とありえない音が聞こえ、観客はそれに目を輝かせながら、熱狂していた
アリス
もちろん、初めてみた時はすごく怖かった
それでも、なぜか目は離せなかった
アリス
不意に隣から声がした
振り向くと、舞台裏に戻ったセリーナが、こちらを向いていた
口元にはまだ微かに血が滲んでおり、私は言葉を詰まらせた
でも、
アリス
私は思わず、そう答えてしまった
セリーナ
その声は、どこか安心したようで、どこか寂しそうだった
観客の目線が変わり始めたのは、その頃からだった
私は初めてナビゲーターをした、数分前のことだった
観客
観客
観客
観客
観客席から聞こえるざわめきと、私への視線
どうやら、セリーナはそれに気づいていたらしく、舞台裏からじっと見つめていた
アリス
素人である私のぎこちない案内でも、拍手は起こった
ナビゲーターが終わり、今に至る
アリス
セリーナ
セリーナ
セリーナは少し、ぎこちない笑みを浮かべる
セリーナ
セリーナは逃げ帰るように、控え室から出ていった
アリス
自分自身にそれを問いかけたが、何も答えは見つからなかった
ある日の夜
アリス
私が立つと、静かな控え室で、パキン、という乾いた音が響いた
アリス
嫌な予感がした私が振り向くと、そこにはセリーナが立っていた
彼女の足元には、小さなガラスの破片が落ちていた
アリス
セリーナ
私は震えた手で、落ちている破片を片付けようとした
セリーナ
その手を取ると、鋭くヒビが入っていた
セリーナ
アリス
セリーナ
セリーナは微笑んでいたが、その笑顔は少し歪んでいた
セリーナ
セリーナ
セリーナのその問いに私は答えられなかった
セリーナ
セリーナ
セリーナ
誰もいない控え室で、セリーナは小さく呟いた
その言葉はあまりにも静かで、あまりにも重かった
その日の夜
舞台の上で、セリーナはいつもより多くの刃を飲み込んだ
狂ったように歓声が聞こえる中、セリーナの口からは血がわずかに溢れる
舞台袖で、私はそれを見ていた
アリス
アリス
アリス
「普通でいること」と「壊れることで愛されること」
その境界が、少しだけ曖昧になった