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藤原丈一郎
小学六年生にしては、少し小柄な体。 一時保護所の職員さんに手を引かれて来たその子は、 俺の顔を見て不安の表情を浮かべる。
「ほしのいえ」に来る子供は... 課程裁判所が家庭復帰が難しいと判断した子供。
今日からうちに来る長尾謙杜も、その一人。
藤原丈一郎
屈んで同じ目線になったら、少し、固い表情が 少し和らぐ。
長尾謙杜
藤原丈一郎
小さな手を握り、車に。
助手席から外を眺める謙杜は、何処か寂しげな顔で 車窓に流れる長閑な街並みを見とった。
日用品や服を買って、のんびり走る。
謙杜の荷物は、親戚の人が勝手に処分してしまっとって、 ほとんど残っとらんかったから... 新しいものをたくさん買ってきた。
施設やから、って他の子より我慢させたくない。
これも、親父のモットーやった。
「ほしのいえ」は、海沿いの街にある。 田舎過ぎず、都会過ぎず、子供がのびのびと 育てるようにと、親父の願いを込めて建てた。
藤原丈一郎
長尾謙杜
藤原丈一郎
藤原丈一郎
寂しい思いなんか、子供にして欲しくない。 子供は、のびのびとすくすく育ってくれたら、 それ以上の幸せはない。
面倒見きれへん数の子供は、うちでは無理や。
藤原丈一郎
緊張が解けてきて、口角が上がる。 自分と同じ歳の子がおるって、きっと心強いんやろな。
藤原丈一郎
玄関を開けたら、おかえりの声と共に、足音が聞こえる。
道枝駿佑
恭平に結ってもらったちょんまげ前髪の駿佑は、 謙杜が来るんを人一倍楽しみにしとった。
キラキラと瞳を輝かせて、謙杜を見る。
道枝駿佑
謙杜の前に差し出された手を、謙杜がゆっくりと 握り返す。
高橋恭平
中庭から玄関に現れた恭平が、ワシャワシャと 謙杜の頭を撫でる。
新しく染めた髪が、光に照らされて綺麗やった。
大西流星
中性的なその顔立ちを見て、謙杜が顔を赤くする。
流星は自然と人を惹き付ける。 その綺麗な笑顔に、みんなが絆されてしまう。
西畑大吾
大橋和也
幼馴染の大吾と大橋には、ホンマに いつも助けられてばっかりで...二人ともおれるんが、 俺にとっても幸せ。
長尾謙杜
ぺこり、と一礼する謙杜の手を引いて、駿佑が早く、と 声をかける。
「ほしのいえ」は、今日も元気です。