一覧ページ

『君が、好きだから。』

第4話 - 『懐かしい時間。』

1,556

2021年09月19日

#さところ

#リクエスト

のの ❀

さと💗

ふぃ〜ｯ、屋上なんて久しぶりに来たなぁ…！‪w

ころ💙

…僕も。

さと💗

…前は、ここでよく昼飯食べたりしたよな。ﾆｺｯ

ころ💙

…うん。僕、さとみくんに卵焼き取られたこと、未だに怒ってるから。

さと💗

え、マジで？

ころ💙

マジ。ずっと根に持ってる。

さと💗

それ早く言えよ！！言われてたらちゃんと謝ったわ！

ころ💙

あははｯ‪w

笑いながら、ふと空を見上げた。

彼の隣で、晴れた空を見るのはいつぶりだろうか。

そう考えたのは向こうも同じだったようで、少しの沈黙が流れた。

さと💗

…なぁ、ころん。

ころ💙

ん…？

さと💗

……俺さ、夢だったんだ。

さと💗

お前と結婚して、当たり前の日常過ごして、そのまま死ぬ…ってのが。

さと💗

…まぁ、叶わない夢って言われちゃそれまでなんだけど‪。

さと💗

……それでも、まぁ…俺の大切な夢だった。

ころ💙

…うん。

さと💗

…だからさ。怖かったんだ。お前が消えたとき。

さと💗

…俺の夢も、希望も、幸せも、全部無くなった気がしてさ。

さと💗

俺…これからどうすんだろ、って思ってた。

ころ💙

……。

さと💗

自分でも馬鹿だと思ったよ。毎日既読の付かないLINEにメッセージ送って、通学路で待つ…なんて。

さと💗

…でも、そうしなきゃおかしくなりそうだった。

さと💗

いつかころんは来る、って信じ続ける事で、自分を守ってた。

さと💗

…結局は、俺のためなんだよ。

そう言って、彼は苦しそうに笑った。

少し僕を見つめたあと、再び視線を空へと戻した。

さと💗

……今日は、よく晴れてるな。

ころ💙

…そうだね。

さと💗

…久しぶりに、サボってどっか行くか！ﾆｺｯ

さと💗

その時に、お前の話も聞くよ。

ころ💙

…うん。

さと💗

どっか行きたいところある？

ころ💙

んー…あそこがいい。

さと💗

何処やねん‪w

ころ💙

へへ…‪w

さと💗

…まぁ、分かるよ。あの店だろ？‪w

ころ💙

そうそう、よく分かってんじゃん‪w

さと💗

んじゃ、行きますかー！

そう言って、走り出した時。

彼が、突然足を止めて、あ、と呟いた。

ころ💙

え？なに？何かあったの？

さと💗

…ころんさ…‪w

ころ💙

うん？

さと💗

転校初日に授業サボるとか、勇者じゃね？‪w

ころ💙

…確かに。

さと💗

やべぇだろマジで…‪w‪w

さと💗

教室帰る？‪w

ころ💙

…んーん、いいよ。行こ。ｸﾞｲｯ

さと💗

えっ、マジで言ってんの？怒られるかもよ？

ころ💙

いーいーの！こうやって、さとみくんとゆっくり話せるのも久しぶりなんだから！

ころ💙

教師に怒られるなんて、今まで何度もあったし？‪w

さと💗

ははｯ！‪wほんっと、悪いやつやなぁ‪w

彼の手を引いて、また歩き出す。

こういう事をするのも、本当にいつぶりか分からない。

でも、それはかけがえのない日々だったと、それだけは分かっていた。

さと💗

〜でさ、ヤバくね？‪w

ころ💙

あははｯ‪w‪w

さと💗

マジあれは笑ったわ‪w

ころ💙

てかさー、僕も…‪w

普通に雑談をしていた時だった。

さとみくんが、突然手を握ってきた。

ここは、結構人が通っている道なのに。

ころ💙

…ｯちょ、ダメだって…！ｺｿｯ

さと💗

え？なんで？

ころ💙

な、なんでって…変に思われるでしょ！ｺｿｯ

さと💗

…別に良くね？カップルだと思わせとけば。

ころ💙

いや、何言って……ﾊｯ

ころ💙

そっか。そうだね、ごめん。

さと💗

ﾆｺｯ

僕は、何を言っているんだろう。

今の僕は、男の姿ではないのに。

彼の隣にいると、すっかり今の姿のことを忘れてしまう。

別に、男女が手を繋ぐことは珍しくないんだ。

ころ💙

……。

さと💗

…ころん、大丈夫？

ころ💙

…あ、うん。大丈夫だよ。ﾆｺｯ

ころ💙

店、もうすぐだね。

さと💗

そうだな。

さと💗

何ヶ月ぶりかなぁ…

ころ💙

懐かしいよねぇ。

さと💗

うん。お前と何回も行ってた店だもんな。ﾆｺｯ

ころ💙

ふふっ、あそこの店美味しかったよね。

少し前とは違う雰囲気で話していると、店に着いた。

彼との思い出が詰まった店を見て、少し胸が温かくなる。

さと💗

ほら、入るぞ。

ころ💙

うん。ﾆｺｯ

カランカランー·····

店員

いらっしゃいませー。ﾆｺｯ

店員

何名様ですか？

さと💗

2名です。

店員

では、あちらの席に……って、あら？

店員

…あなた…さとみくんじゃない？

さと💗

あ、そうです。お久しぶりです。ﾆｺｯ

店員

わぁ、本当に久しぶりね！元気にしてた？

さと💗

はい。ﾆｺｯ

店員

いっつもころんくんと来てくれてたわよねぇ。

店員

…今日は彼女さんと？ﾆﾔｯ

さと💗

何言ってるんすか。俺、いつも彼女と来てましたよ。

店員

へ？

ころ💙

あｯ、ちょ、ばか…！

ころ💙

すみません、何も無いです！気にしないでください！ﾆｺｯ

店員

……あぁ、うん、なるほど！✨

ころ💙

…？

店員

さとみくん、大丈夫。私そういうの大好きよ。ﾆｺｯ

さと💗

あ、そうなんですか？腐女子…的な？

店員

いやいや、違うんだけどね。そういう…周りの目を気にせず、自分たちの幸せを大切にする子、好きなの。

店員

だから、応援してるわ。ﾆｺｯ

さと💗

…ありがとうございます。ﾆｺｯ

店員

さて、長話しちゃったわね。席、案内するわ。

店員

こっちよ。ﾆｺｯ

彼女について行きながら、さっき聞いた言葉を頭の中で繰り返していた。

応援してる、か…

世の中には、そういう温かい言葉をくれる人もいるんだな…

店員

…どうぞ、ゆっくりしていってね。

さと💗

はい、ありがとうございます。

店員

ｽﾀｽﾀ…

ころ💙

……。

さと💗

…ころんも、話したかった？

ころ💙

え？

さと💗

さっきの店員さんだよ。俺より、お前の方が仲良かったろ？

ころ💙

あぁ…うん、そうだったね。

ころ💙

でも大丈夫。元気にしてるなら、それでいいんだ。ﾆｺｯ

さと💗

…ふーん。そんなもんかね。

ころ💙

そんなもんだよ。

さと💗

…んじゃ、なんか頼みますか。何飲む？

ころ💙

…いつもので。ｷﾘｯ

さと💗

こなれ感だしてくんなや‪w

ころ💙

んふふ‪w

ころ💙

まっ、今日はコーヒーにしとこうかな！

さと💗

…コーヒー…？‪w

さと💗

お前飲めないだろ‪w 苦いから無理〜って言ってたじゃん‪w

ころ💙

もう克服したの！ﾑｽｯ

さと💗

ほんとにぃ〜？ブラックコーヒー頼んでいいの？ﾆﾔｯ

ころ💙

ぶ、ぶらっく…

ころ💙

ぐぬぬ…ｯ、やっぱカフェオレにする…

さと💗

はははｯ‪w‪w

さと💗

…あ、すいませーん‪w

店員

はいっ？

さと💗

注文いいですか？

店員

あぁ、どうぞどうぞ！

さと💗

えっと、ブラックコーヒーとカフェオレ1つずつで！‪w

店員

ブラックコーヒーとカフェオレ、ですね！

店員

…ふふっ、なんだか懐かしいね。

さと💗

…？懐かしい？

店員

うん。さとみくん、ころんくんと来た時も同じ注文してたでしょ？

店員

だから、懐かしいなーって。

さと💗

…ころんにも会いたかったりする？

店員

まぁ、そりゃ会いたい気持ちもあるけど…

店員

あの子が笑って元気に過ごせてるなら、それでいいかなって思う。

さと💗

…そっか。

さとみくんの言葉に頷いた後、彼女はこちらを見て微笑んだ。

その笑顔も懐かしいな、と思う。

店員

……さっきから、何の話か分からないよね。ごめんね。ﾆｺｯ

ころ💙

あ、いいえ！全然気にしなくて大丈夫です！

店員

…あなた、お名前は？

ころ💙

私…ころみっていいます。今日、転校してきたんです。

店員

そうなの。じゃあ、今日は大変だったのね。

店員

ゆっくりここで休んでいってちょうだい。ﾆｺｯ

ころ💙

えへへ…ありがとうございます。

店員

じゃあ、後で飲み物を持ってくるから。

ころ💙

はい。ﾆｺｯ

店員

ｽﾀｽﾀ…

さと💗

……ここ、本当に来るの久しぶりだね。

ころ💙

ふふっ、それ言うの何回目？

さと💗

…今は、それ辞めていいよ。

ころ💙

…？それって？

さと💗

女のフリのこと。お前だって、その話し方疲れるだろ？

ころ💙

…まぁね。

さと💗

……ころんはさ、俺に気づかれたくなかった？

ころ💙

……。

さと💗

…もう…俺と関わらずに生きるつもりでいた？

そうなのかと聞かれれば、まぁ、そうなのだと思う。

僕の思いは、たださとみくんに幸せになって欲しい…それだけだったから。

男と付き合っていたことなんて忘れて。

僕のことも、忘れてしまえば。

モテる彼は、すぐに女性との幸せな道を歩めると思った。

それが、僕の一つの願いだった。

決心とも言えたかもしれない。

ころ💙

…簡単に言うなら、そうだよ。

ころ💙

僕との事なんて、全て忘れて欲しいと思った。

さと💗

…なんで？

ころ💙

…聞かなくても、分かるくせに‪w

さと💗

分かったとしても、ころんの口から聞きたいんだよ。

ころ💙

……それが、さとみくんにとっての幸せだと思ったから。

ころ💙

同性愛者が普通の幸せを手に入れるなんてこと、ほとんど不可能なんだよ。

ころ💙

だから、僕といるより、他の女性といた方が、幸せになれる。祝福される。

さと💗

……。

ころ💙

…俺の幸せを勝手に決めつけんな、とかベタなこと思ってる？‪w

さと💗

いーや、思ってないよ。

さと💗

…ころんは、俺の幸せを勝手に決めつけたんじゃない。

さと💗

長い間考えて、どうしようか散々悩んだ後に、俺の為にそうしようと思っただけだろ？

ころ💙

……ｯ

さと💗

お前のこと、責めたりしないよ。だから、今日は本当のことを話してくれ。

ころ💙

…分かった。

店員

ｽﾀｽﾀ…お待たせしました。ブラックコーヒーと、カフェオレです。

さと💗

あぁ、どうも。

店員

ﾆｺｯ…では。

店員

ｽﾀｽﾀ…

さと💗

…ｺﾞｸｯ…あ、美味しい…

ころ💙

さとみくん、毎回それ言うよね。だから、僕も今回飲んでみたかったのに…ﾑｽｯ

さと💗

あ、そうだったの‪w俺のやつ一口飲む？

ころ💙

飲む…

さと💗

ほい、一口だけだぞ。

ころ💙

ん…ｺﾞｸｯ…

ころ💙

ｯ…！？ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ

ころ💙

にっっっが！！！

さと💗

はｯはｯはｯはｯ‪w‪w

さと💗

ころちゃんにはまだ早かったでちゅね〜‪w

ころ💙

いやいやいや、何これ！？めっちゃ苦い！！

ころ💙

さとみくん、本当は我慢してるだけなんじゃ…ｼﾞﾄｰ

さと💗

んなわけねぇだろ‪w俺の方が精神年齢が上なんだよ‪w

ころ💙

チッ…

さと💗

そんなキレんなって！‪w

さと💗

じゃ、ころんのカフェオレも飲ませてよ。めっちゃ甘そうだけど‪w

ころ💙

えぇ…まぁ、いいよ…？

さと💗

ん、ありがと〜‪w

さと💗

ｺﾞｸｯ…ｺﾞｸｯ……あ"ー、あっっま！

さと💗

逆にすげぇなお前…これ、生クリーム一気飲みしてるようなもんじゃね？

ころ💙

そんなことないでしょ…って、飲みすぎじゃない！？

さと💗

はぁ…ｯ‪w‪wはｯはｯ‪w‪w

ころ💙

おまっ、なんて事してくれてんだよ！

さと💗

いいじゃーん、別に‪w

ころ💙

許さねぇ…

さと💗

まぁまぁ‪w帰りになんか奢ってやるから！

ころ💙

……まぁ、それなら…

さと💗

500円以内な！ﾆｺｯ

ころ💙

ﾁｯ、クソが。

さと💗

あらっ、ダメですよ？女の子がそんなこと言っちゃ！

ころ💙

へ？……あ、あぁ…そっか。

ころ💙

女…だね、うん。

危ない…流石にあんな事大声で言ってたら、おかしく思われちゃうよね。

でも…なんかなぁ。

さとみくんと居ると、自分が女の姿ってこと忘れちゃう。

さと💗

…ころん、どした？

ころ💙

あ、ううん、何も。

ころ💙

それより、そろそろ聞いてくれる？

さと💗

…！うん。

ころ💙

…僕が、学校を休み始めた最初の日。あの日が、女の姿に変わった日だった。

さと💗

…俺と、LINEした日だよね。

ころ💙

うん。正直、明日学校に行けるのか分からなかったけど…一時的なものって信じてたの。

ころ💙

だから、さとみくんにも『また明日』って言えた。

さと💗

俺も、明日になったら会えると思ってたよ。

ころ💙

…でも、治らなかった。数週間経っても、自分の体は女のままだった。

ころ💙

だから、ちゃんと考えることにしたの。さとみくんと、自分のこれからについて。

さと💗

…うん。

ころ💙

そして出た結果が、転校生のフリをして、さとみくんに会いに行くこと。

ころ💙

もちろん、自分がころんだって言うつもりは一切なかった。

さと💗

…あくまでも他人のフリをして、遠くから俺を見ていよう、って事？

ころ💙

そうだよ。その理由は、さっき話した通り。

ころ💙

僕と関わらず生きることが、さとみくんの幸せに繋がると考えたから。

さと💗

……そっか。

ころ💙

…ころんが死んだ、って嘘をついた理由も、知りたがってたよね？

さと💗

あぁ、うん。でも、それも同じような理由なんだろ？

ころ💙

んー、ちょっと違うかな。

ころ💙

さとみくん、今の自分の姿分かってる？

さと💗

自分の姿…？特に気にしてねぇけど…

ころ💙

…僕が知ってたさとみくんとは、結構違うんだよ。

ころ💙

くまは酷いし、少し痩せたし、今はもう普通だけど…少し前まで元気もなかった。

ころ💙

…多分、僕がいきなり消えたからだよね。

そう問いかけると、さとみくんは少し視線をずらして頭を搔いた。

図星だから、反応に困っているように見えた。

さと💗

…別に‪、お前のせいって訳じゃない。

さと💗

俺が勝手に不安になって、色々してただけだ。

ころ💙

…でもね、原因は僕なんだよ。だから、もう僕の心配をしないで欲しかったの。

ころ💙

死んでしまったことにすれば、もう不安になることも、心配になることも無くなるでしょ？

ころ💙

ただ、ころんが死んだっていう事実が残るだけ。

さと💗

…お前が死ぬってことは、俺にとってそんなに軽い出来事じゃないよ。

ころ💙

…分かってる。ごめんね、言い方が悪かった。

さと💗

……。

ころ💙

…さとみくんは、莉犬くんから本当のことを聞いたって言ってたよね。

さと💗

…おー、言ったな。

ころ💙

てことは、莉犬くんから僕の正体を聞かされた、ってこと？

さと💗

…それは違う。莉犬は、『ころんは死んでいない』としか言わなかった。

ころ💙

…ふぅん。で、さとみくんはそれをそのまま信じたんだ。

さと💗

信じたって言うと、少し違うと思う。

さと💗

ころんもあの時言ってただろ？信じたいと思ってるだけで、本当は分かってるんじゃないか、って。

さと💗

…その通りだった。心のどっかでは、ころんは死んでしまったんだって絶望してた。

ころ💙

…そっか。でも、証拠があったって言ってたのは？

さと💗

え？証拠？

ころ💙

うん。言ってたでしょ。『証拠があるって言ったら？』ってさ。

さと💗

んー…？

少し悩んでから、ブラックコーヒーを口に入れた。

それでも、彼の顔はまだスッキリしていなかった。

どうやら、思い出せないようだ。

さと💗

多分…適当なこと言っただけじゃないかな。

ころ💙

えっ、そうだったの？

さと💗

うん…お前をどうにかして引き止めないと、って思ってたし。

ころ💙

なんだ、適当かぁ…

ころ💙

…ってか、何で僕って気づいたの？その様子じゃ、自分で気づいたんでしょ？

さと💗

あー…それについては、また別のところで話そう。

さと💗

店も混んできたみたいだし…いつまでも席取っとく訳にはいかねーだろ。

ころ💙

あ、そうだね。

急いでカップを手に持って、飲み始める。

懐かしくて、優しい味がした。

さと💗

…なぁ、ころん。

ころ💙

ん？

さと💗

…美味しいね。ﾆｺｯ

ころ💙

…うん。ﾆｺｯ

お互い飲み終わったことを確認すると、彼は、奢るよ、とだけ言った。

いつもの様に割り勘しよう、と言っても、苦笑いするだけだった。

さと💗

…ｽﾀｽﾀ

ころ💙

…ｽﾀｽﾀ

店を出てから、僕等は一言も口を聞かなかった。

ただ、何となく喋る気にならなかった。

さと💗

……ころん。

ころ💙

んー？

さと💗

俺の家来る？

ころ💙

…一応サボり中だけど？

さと💗

いいじゃん、別に。お前だって、今更学校に戻る気ねぇだろ？

ころ💙

…まぁ、それもそっか。

それだけ言って、再び黙った。

彼とこうして隣を歩くのは、昔から好きだった。

何となく落ち着いて、好きだな、と思える時間。

周りからは、単なる友達同士にしか見られないって分かってた。

二人で歩いていて、カップルかな、なんて囁かれることなどないと。

それでも、隣で歩くという行為が、唯一他の人がいる前で出来ることだった。

弱い僕は、人前で手を繋ぐことも、キスすることも出来ないから。

この時間だけは、誰にも否定されず、堂々とできるのだった。

さと💗

家、散らかってるかもだけど。

ころ💙

平気だよ。でも、珍しいね。さとみくんの家って常に綺麗じゃなかった？

さと💗

んー…最近は掃除もなんもしてないからさ。する気力がないっていうか。

ころ💙

…僕が片付け手伝おうか？

さと💗

いいよ。女子にそんなことさせられねーし。

ころ💙

……別に、家の前でくらい良くない？女子扱いされても、違和感しかない。

さと💗

…俺からしたら、お前は女子に見えるんだよ。

それだけ言って、彼は家の中へ入っていった。

僕もそれに続きながら、さっきの言葉の意味を考える。

しかし、それにはあまり時間がかからなかった。

ころ💙

(そりゃそうだ。僕は、ずっと女の見た目なんだから。)

僕にはその事を忘れられる時間があっても、姿を見続ける彼はずっと違和感を感じていたはず。

だから、少し女扱いしてしまうのも、仕方ないのかな。

ころ💙

…おじゃましまーす。

カフェで笑っていた時、彼はどんな気持ちだったのだろう。

心の底から笑えていたのか。

緊張させたりしなかったか。

考えれば考えるほど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

そして、僕は久しぶりに彼の家へと入っていった。

ころ💙

……変わってないね…

さと💗

そう？

ころ💙

…うん、あの時のまま…

そこまで言った時、視界にあるものが映った。

それは、とある写真だった。

ころ💙

ｽﾀｽﾀ

さと💗

…？どうし…

ころ💙

これ…

さと💗

…あぁ、写真のこと？

ころ💙

…これ、前二人で撮ったやつだよね。こんなの飾ってたっけ？

さと💗

いや、飾ってなかった。でも、ころんがいなくなってから寂しくてさ‪w

ころ💙

……そ、か…

さと💗

…別に、気にすんなよ？この写真に写ってるころんが可愛すぎただけだから。

ころ💙

か、可愛いって…//

さと💗

可愛いだろ？どう見ても。

ころ💙

いや、知らないよ…//

さと💗

はぁ？分かんねぇの！？おま、そこのソファ座れ！！

ころ💙

えっ？はい。(座る)

さと💗

まずな？可愛い子を見る時には、ポイントがあるんだ。1番大事なのは、表情。

ころ💙

(え、なんか始まった…)

さと💗

ころん、よく見ろ。写真のころんは、どんな表情してる？

ころ💙

え、あー…笑って…ます。

さと💗

だよな。笑ってるんだよ。これが何を意味するか分かるか？

ころ💙

い、意味…？あ、楽しそうに見えるとか？

さと💗

不正解。でもそんな所も可愛いね。

ころ💙

は？

さと💗

ま、正解を言うとな？とてつもなく可愛い、だ。

ころ💙

…え、何言ってんの？

さと💗

写真の中のころんは、俺の隣で可愛らしく笑っている。それが可愛い。

ころ💙

……え、何言ってんの…？(2回目)

さと💗

次。次に重要とされるポイントはなんだと思う？

ころ💙

えー…普通に顔面偏差値とか。

さと💗

違う。まぁ、ころんじゃない別の誰かだったら、それも重要かもしれない。

さと💗

でも、今話しているのはころんについてだ！！つまり！！ころんはそもそもが可愛すぎるため、ポイントにすらならない！！！

ころ💙

え、うるっさ…

さと💗

次に重要とされるのは、ポーズだ。

ころ💙

いきなり冷静になるのね。

さと💗

さぁ、答えてみろ。ころんはどんなポーズをしている？

ころ💙

普通にピースだけど…

さと💗

だよな！？それが可愛いんだよ！！！

ころ💙

え、怖い怖い怖い…

さと💗

しかもよぉく見てくれ。ちょっっと曲がってるんだ。指が。

ころ💙

え…？あ、ホントダネ…

さと💗

ピース出来ないの！？苦手なの！？でもそんなところも可愛いねｯ！！！

ころ💙

……(引き)

さと💗

さぁ、そして最後！！3番目のポイントはなんだと思う！？

ころ💙

いや、知らないけど…スタイルとか…？

さと💗

まぁ…確かに、ころんじゃない他の誰かについて話しているのであれば…

ころ💙

あー、分かった分かった、違うのね。間違ってるのね。

さと💗

ふふっ…ふふふっ…

ころ💙

情緒不安定かよ。

さと💗

そう…3つ目のポイントは…オーラｯｯ！！

ころ💙

は？

さと💗

このころんがまとっている空気…分かるか？可愛いよな…ｯ！！

ころ💙

いや分かんないし怖いよ。

さと💗

なん…だと…ｯ！？分からない…！？そんなことがあるなんて…！！

さと💗

じゃあ分かった、言葉を置き換えよう。雰囲気だ、雰囲気。

ころ💙

最初からそう言ってくれ。

さと💗

ほぉぉら見てちょうだい！？このころんをｯ！！！

ころ💙

び…ｯくりしたわぁ…

さと💗

なぁんかホワホワしてるよねｯ！？ころんの周りの空気だけ美味しそうだよねぇぇぇ…ｯ！！！

ころ💙

…え、ガチの変態…？

さと💗

いや、でも俺さ、ガチで思ってたんよね。ころんの空気美味しそう、って。

ころ💙

何だよころんの空気って。

さと💗

だからさ、１回食ってみたんよ。

ころ💙

え、あなた何言ってるの？

さと💗

そしたらさ…どんな味したと思う？

ころ💙

え、待って、ちょっと説明して？話進めないで？

さと💗

ふふっ…不正解♡

ころ💙

いやなんも答えてねーよ。

さと💗

正解は…ほのかな甘みと共に酸味のある…そう、例えるならばレモンのような…それでもって梅干しのような味だった…

ころ💙

ほのかな甘みどこいったんだよ。

さと💗

ははっ、面白い♡

ころ💙

は？

さと💗

……さーて、そろそろ話を本題に戻そっか。

突然、彼の目付きが真剣なものに変わり、僕を見た。

そして、ころんはね、と口を開く。

さと💗

さっきも言ったとおり、可愛いんだよ。

ころ💙

…はぁ？

ころ💙

本題に戻すって、そっち？

さと💗

ははっ、違う違う、写真の話じゃないよ‪w

さと💗

俺が、ころんだって気づいた理由の話。ﾆｺｯ

ころ💙

……。

さと💗

俺さ、自分で言うのもだけど、結構モテるんだよね。

ころ💙

それは認める。

さと💗

…でも、まぁ…付き合ったこと、なくてさ。

ころ💙

……えっ？そうだったの？

さと💗

うん。ころんと付き合ったのが、初めてだった。

ころ💙

なんで…

さと💗

なんでって、そんなの簡単だよ。

さと💗

俺が初めて好きになったのが、ころんだったから。

ころ💙

…ｯ

さと💗

…初めて、誰かをそういう意味で可愛いと思えた。大事にしたいと思ったんだ。

さと💗

だから、分かるんだよ。二人で話してると、この雰囲気、ころんだな、って。

ころ💙

そ、そんな理由…？

さと💗

そんな理由だよ‪wもっと凄いの期待してた？

ころ💙

…そりゃ、まぁ…自信満々だったし…

さと💗

自信はあったからね。ﾆｺｯ

ころ💙

ふーん…

さと💗

…あ、分かるよ。今実は喜んでるでしょ。ﾆﾔｯ

ころ💙

は、はぁｯ！？//

さと💗

ほーら照れた。図星だったんだな〜♪

ころ💙

なｯ、も、うるさい…///

さと💗

かわい〜‪w

少しだけ、戻れたと思った。

恋人同士として、過ごしていた時に。

でも、それは僕だけだったということを知るのは、まだ先の話。

のの ❀

もし良かったら、いいね＆コメントお願いします！

のの ❀

では、またねー\( •ω•´ )/

この作品はいかがでしたか？

1,556

33件

後フォローも失礼します!!

連載ブクマ失礼します!!

ブクマ失礼します！

のの ❀

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

『君が、好きだから。』

第4話 - 『懐かしい時間。』

作者の他の作品すべて見る

#さところの新着小説
一覧

関連するタグ

『君が、好きだから。』

第4話 - 『懐かしい時間。』

作者の他の作品すべて見る

#さところの新着小説一覧

関連するタグ

#さところの新着小説
一覧