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そんなある日叔父さんの家に遊びにいったとき

天鷲弦(粟島弦馬)

燈莉ちゃん…聞いてほしいことがある

天鷲燈莉

ん?お話?

天鷲弦(粟島弦馬)

実はな…

天鷲燈莉

??

天鷲弦(粟島弦馬)

音楽祭に出演することが決まったんだ!

天鷲燈莉

すごい!それに出たら有名になれるね!

天鷲弦(粟島弦馬)

これも全て燈莉ちゃんがあのコードを教えてくれたからだよ

天鷲弦(粟島弦馬)

色んなところに作ったデモテープを送ってそれが音楽祭の主催者の耳にも届いたみたいで

天鷲弦(粟島弦馬)

その人がぜひ出てほしいって!

天鷲燈莉

じゃあこれから叔父さんの歌う曲いっぱい作らないとだね!

天鷲弦(粟島弦馬)

あははは…燈莉ちゃんはやる気があっていいね

天鷲弦(粟島弦馬)

頼もしい作曲家さんだな~

天鷲燈莉

これからお歌の練習でしょ?

天鷲燈莉

私も聞いてていい?

天鷲弦(粟島弦馬)

もちろん!燈莉ちゃんには一番に完成したのを聞かせたかったんだ!

天鷲燈莉

やったぁ!!

天鷲燈莉

一番にお歌聞ける!!

天鷲弦(粟島弦馬)

曲名は『温かい燈の灯る場所』

天鷲燈莉

あかりって私の名前だ!

天鷲燈莉

私の名前が入ってる!

天鷲弦(粟島弦馬)

だって燈莉ちゃんのお陰でこの曲ができたから

天鷲弦(粟島弦馬)

感謝も込めてだよ

当時、俺は本当に嬉しかったと思う

俺のことをここまで褒めてくれたのは叔父さんが初めてだったから

叔父さんが有名になれるのだとそのときは疑ってなかった

音楽祭当日

天鷲燈莉

叔父さんの出番まだかな…

家族(使い回し)

この人が歌い終わったら弦の番だよ

天鷲燈莉

パパもやっぱり叔父さんの歌気になる?

家族(使い回し)

そりゃ弦と燈莉の共同作なら気になるな

家族(使い回し)

燈莉の見つけたっていうコードもママ気になるわ

家族(使い回し)

お姉ちゃんも一番に聞きたかったな…

家族(使い回し)

バーカ、姉貴に音楽なんてわかるかよw

家族(使い回し)

アンタだってわからないでしょ…音楽の成績悪いくせに

家族(使い回し)

それ関係ねぇだろ!

天鷲燈莉

これから叔父さんのお歌の時間だからケンカしちゃダメだよ

家族(使い回し)

わ、わりぃ…

家族(使い回し)

ご、ごめん

お姉ちゃんとお兄ちゃんはよくこうやってケンカをしていてそれを俺が止める

我が家の恒例行事のようなものだった

家族(使い回し)

ほら、そろそろ弦の番だよ

家族(使い回し)

ほら、アンタたち静かにしなさい

天鷲弦(粟島弦馬)

皆さん、初めまして!

天鷲弦(粟島弦馬)

粟島弦馬と申します

天鷲弦(粟島弦馬)

持ち歌はまだ今回の曲しかありませんが精一杯歌いますのでよろしくお願いします!

家族(使い回し)

あらやだ、弦くんったら声裏返ってるわ

家族(使い回し)

ははっ、アイツは昔から上がり症だからな!

天鷲弦(粟島弦馬)

曲名は『温かい燈の灯る場所』です

家族(使い回し)

燈莉の名前が入ってるのね

家族(使い回し)

燈莉、嬉しいだろ?

天鷲燈莉

うん!私と作った曲だから入れてくれたんだって!

天鷲燈莉

すっごく嬉しいし、本当にいい曲なんだよ!

そして叔父さんの曲が始まった

ギターの明るい音が響いて叔父さんの優しい声が乗っていく

天鷲弦(粟島弦馬)

深い所にある意識 日差しが届いたら前向いて~♪

天鷲弦(粟島弦馬)

進めるだけ今は進んでいこう 旅は始まったばかりさ~♪

なんか優しい声だね(女の人

うんうん、温かい気持ちになるな(男の人

叔父さんの声に皆が夢中になってた

俺も精一杯ペンライトを振って応援していた

けれどその後聞こえたのは声援じゃなくて

バキッ!

天鷲燈莉

な、なに今の…

天鷲弦(粟島弦馬)

な、なんだ?

ガシャーン!

何かが割れる音と何かが倒れる音

ひどい煙と熱で何か起きたか理解できなかった

真っ暗で体が動かせなかった

天鷲燈莉

パパ……ママ……お姉ちゃん……お兄ちゃん……

天鷲燈莉

ねぇ……みんな……どこ……?

覚えてるのは建物が揺れて色んな人の悲鳴が聞こえてきて

色んな人が我先に出ていく足音

そんな中聞こえてきたのは…

 

おい、子供が1人取り残されてるぞ(男

お嬢ちゃん!誰か…運び出すのを手伝ってください!(警備員

天鷲燈莉

(私はいいから…誰か……私の家族を探して…)

天鷲燈莉

(私も探したいけど…動けないの……)

天鷲燈莉

(みんな…もうすぐ…夢が叶う……直前なの…)

そうみんな夢が叶う直前だったのだ

両親は結婚記念日が間近だった

姉は看護師として働くはずだった

兄はずっと行きたかった大学に受かってそこに通うはずだった

叔父さんは大好きな歌で有名になるはずだった

でもそのときに悟ったんだ

俺の家族は夢を叶える直前で亡くなったんだって

あの事件から2ヵ月が経った

警察

燈莉ちゃん…ちょっとでいいんだ

警察

あの日…怪しい人を見たり聞いたりしなかったかな?

天鷲燈莉

…………

警察

また聞きに来るからね…

警察の人の足音が遠ざかる

天鷲燈莉

(どうやら叔父さんが怪しいと思って警察は動いてるらしい)

天鷲燈莉

(叔父さんは悪くないはず…ただ純粋に音楽が好きな人なのに…)

それから何も話さない俺は警察にとってはいらない子となったのか

俺は養護施設に送られることに決まったのだった

音楽が消えた世界で歌い続けるーこれが自分達の音楽ー【参加型】

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コメント

7

ユーザー

めっちゃ切ない...(´;ω;`) 家族も悲しい最後になっちゃった…(T^T)

ユーザー

かなしぃかこだなぁ

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