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恋愛のすゝめ

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恋愛のすゝめ

8 - 恋愛のすゝめ 捌

♥

221

2019年10月03日

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まふまふside

96猫

って感じで……

まふまふ

それで、匿ったと。

僕は腕を組む。

96猫

はぃ……
そぅですぅ………

96ちゃんは明らかに怯えた様子で、 肩をすくめる。

僕は、つっきーとやらに目を向けた。

まふまふ

袴に、北の大名の紋様が 刺繍されている。

まふまふ

………そらるさん

………思い出してしまう。

やっぱり、忘れられないよ…

まふまふ

この人、名前は?

96猫

……天月。

天月……僕とあまり歳変わらなそう。

そらるさんと、 どういう関係なんだろう……

お腹の奥に、 どす黒いものが沸き上がる。

まふまふ

……そう。

まふまふ

僕、夕方頃に戻るから、
絶対に逃がさないでね。

96猫

はい……

僕は武器倉庫を出る。

行先は、もちろん……

北の大名の城だ。

まふまふside

現在地・北の大名の城

さらに細かく・屋根裏

さらにさらに細かく・そらるさんの 部屋の屋根裏

僕は、そらるさんの部屋の様子を 覗いていた。

まるで変質者だな……

そらるさんは、居眠りをしている。

手紙を書く途中で 眠ってしまったのか、

和紙と墨、筆が散らばっている。

あーあ、 そらるさんの綺麗な白い肌に墨が………

僕は堪らず、静かに部屋に降りた。

まふまふ

すみませーん……

まふまふ

ちょっと
どかしますね〜……

そらるさんが起きないように、 そっと和紙や墨などを片付ける。

そらるさん、何書いてたんだろ……?

悪いことって分かってたけど、 こっそり和紙の文を読んだ。

まふまふ

え……?

その手紙は、

僕にあてられたものだった。

_______________

拝啓

この前の忍びの方へ。

俺は、そらるというものです。

折り入ってお願いがあるのですが、

俺の友人を、 探して頂けないでしょうか。

彼は、東の大名の城へ 攻め込んだきり、 帰ってこないのです。

向こうで殺されたとは、 俺は思っていません。

彼の名前は、天月と言います。

俺は、あいつを信じてます。

どうか、天月を見つけてください。

お願い致します。

敬具

天月が見つかった時は、 どうかもう一度

俺の前に現れてくれませんか。

待っています。

俺は、

________________

手紙は、ここで終わっていた。

天月って…… 96ちゃんが匿った、あの天月?

へぇ……友人だったんだぁ………

僕は、知り合いですらないのに。

また、お腹の奥に どす黒いものが沸き上がる。

なんか……嫌だなぁ…… なんだろう、これ。

って言うか、 もう見つかってんじゃん。

だったら……………

僕は、もうそらるさんの前に 現れていいの……?

起こしちゃって、いいのかな……

そらるさんに、そっと近づく。

本当に、綺麗なお顔だなぁ……

………もうちょっと、 このまま眺めていよう。

透き通った白い肌、

サラサラふわふわの黒い髪、

桃色の唇に、長い睫毛。

綺麗………

やっぱり僕は……

そらるさんが、

好きだなぁ………

ずっと、見惚れたい。

僕の存在が そらるさんに忘れられてしまっても。

このままで、いたい………

まふまふ

そらる、さん……

思わず、口に出してしまった。

そらる

ん………

まふまふ

?!

やばい!そらるさん、起きた?!

水晶玉のような瞳が、 僕を反射させる。

そらるさんは、 寝ぼけ眼のまま、言った。

そらる

あ………

そらる

来てくれた……

そらる

俺、まだ手紙
出してないのに…

そらる

さすが、
日本一の忍び……

そらる

ふふ、ありがとう…

そらるさんは、 柔らかい笑みを浮かべた。

まふまふ

っ………!

あああ〜〜〜だめだ………

好き………!!

そらる

あ、そうだ、天月は?!

そらるさんは意識が覚醒したらしく、飛び起きて僕の肩を揺さぶった。

まふまふ

えっ!?

そ、そらるさんが、 僕に触ってる!?

夢?! 夢かなっ?!

まふまふ

あ、天月…さんは、
見つかりましたっ……

そらる

ほ、本当に…?

僕が頷くと、 そらるさんから力が抜けた。

そらる

はぁっ……
良かった……

僕の肩に置いたそらるさんの腕が、 するりと僕の首元に回る。

そらる

ありがとうっ………

まふまふ

?!!

そらるさんが、僕を抱きしめた。

えっ!?え??

近い!!近いよそらるさん!!!?

し、心臓がっ……ばくばくしすぎて、 口からとび出そうっ……

ゆ、夢だな! そうだよ僕は疲れてるんだ、

夢だよね?!

まふまふ

そ、そらるさっ……?

そらる

ん?

そらるさんは、僕を抱きしめたまま、 顔だけこっちに向けた。

あ、死んだ。

近すぎるっ…… 緊張しすぎて、息が苦しいっ……

顔を血が上って行くのが、 はっきりと分かる。

まふまふ

そ、そらるさん…
お、お願いですから………

まふまふ

ちょっと、
離れてくださいっ………

そらる

……あ、ごめん。

そらるさんが、僕から離れる。

心臓の動きは、まだ激しい。

そらる

安心した……

そらる

もうずーっと
心配してたから……

そらる

本当に、ありがとう。

そらるさんが、満開の笑みを 僕に向けてくれたことが、 すごく嬉しかった。

でも……だからこそ。

もし、天月が ご主人様の部屋に来ていたら…?

僕は彼を殺していた。

その事実が、余計に痛かった。

そらるさんがこんなに心配するほど 大切な友人を、

僕は殺すかもしれなかったんだ。

僕は、目を細めて、 笑ったふりをするしかなかった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

9

ユーザー

どうも凄いー

ユーザー

菜月さん ありがとうございます!!!

ユーザー

うわぁぁぁ……すごく切ないけど面白くて、なんとも言えない気持ちが広がる… このシリーズ大好きです!

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