吸血鬼の運命の相手は何も人間だけじゃない。見たことはないけど、この世界には狼男やフランケンシュタインなんかも居るらしいし、異種族間の恋愛も珍しくない。そもそも人間と吸血鬼って時点で異種族間の恋愛だし。そしてそれは、吸血鬼同士、という可能性もある。
周りに人が居れば人気者になれると知った。無意識に使ってしまう魅了を利用して、いつも学校の人気者のフリをしていた。その方が都合がいいと思っていたから。
だから…同じ種族であろう彼が、いつも一人なのが気になっていた。案の定彼…すちは俺と同じ吸血鬼だった。特に深い意味があったわけじゃない。でも、これも何かの縁だし、すちも悪い奴じゃないってわかったから、仲良くしたかった。
最初は本当にそれだけだった。それなのに、気付いたら俺は―――。
すち
心を読まれたのかと思った。或いは、無意識に口から出たのかと思った。
すちと二人きりの帰り道。耳に届いてしまったその言葉に、俺の心臓がドクンと音を立てた。
“今、なんて…?”そう聞き返したい衝動を抑えて、俺はいつも通りを装おうとした。…でも、今、聞かなきゃ何も変わらないままじゃ…。
暇72
すち
さっきの言葉が届いてるとは思っていないのか、すちの態度はいつも通りだった。
暇72
すち
暇72
珍しくすちの頬は赤くなっていた。多分、俺も同じような表情を浮かべているんだろう。
暇72
すち
暇72
すち
お互いの想いを確認しあって、俺とすちは血の交換をすることにした。お互いがお互いの血を吸うことで、お互いの血が体内に入る。それで、運命の相手になれる…。
暇72
平静を装ってるけど、実はかなりドキドキしてる。人の…ましてや好きな人の血を吸うなんて初めてだ。
すち
…すち、色っぽい声出すなぁ…。こんなの、意識しちゃうだろ…。
すち
暇72
ぽや〜っとした表情のすちは、かぷりと俺の首筋に噛みつく。…なるほど、血を吸われるのってこんな感覚なんだ…。数秒血を吸った後、すちはへにゃりと微笑む。
すち
暇72