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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

吸血鬼の運命の相手は何も人間だけじゃない。見たことはないけど、この世界には狼男やフランケンシュタインなんかも居るらしいし、異種族間の恋愛も珍しくない。そもそも人間と吸血鬼って時点で異種族間の恋愛だし。そしてそれは、吸血鬼同士、という可能性もある。

周りに人が居れば人気者になれると知った。無意識に使ってしまう魅了を利用して、いつも学校の人気者のフリをしていた。その方が都合がいいと思っていたから。

だから…同じ種族であろう彼が、いつも一人なのが気になっていた。案の定彼…すちは俺と同じ吸血鬼だった。特に深い意味があったわけじゃない。でも、これも何かの縁だし、すちも悪い奴じゃないってわかったから、仲良くしたかった。

最初は本当にそれだけだった。それなのに、気付いたら俺は―――。

すち

好き…。

心を読まれたのかと思った。或いは、無意識に口から出たのかと思った。

すちと二人きりの帰り道。耳に届いてしまったその言葉に、俺の心臓がドクンと音を立てた。

“今、なんて…?”そう聞き返したい衝動を抑えて、俺はいつも通りを装おうとした。…でも、今、聞かなきゃ何も変わらないままじゃ…。

暇72

…すち?

すち

なぁに?ひまちゃん。

さっきの言葉が届いてるとは思っていないのか、すちの態度はいつも通りだった。

暇72

…さっき、好きって言った…?

すち

え!?あ、いや、それは…。

暇72

自惚れじゃないなら…返事をさせてほしい。

珍しくすちの頬は赤くなっていた。多分、俺も同じような表情を浮かべているんだろう。

暇72

俺も、すちが好きだよ。

すち

…本当にいいの?ひまちゃん。

暇72

いいよ、すちのこと、好きだもん。

すち

嬉しいけど…そんなに好き好き言われると照れる…。

お互いの想いを確認しあって、俺とすちは血の交換をすることにした。お互いがお互いの血を吸うことで、お互いの血が体内に入る。それで、運命の相手になれる…。

暇72

じゃあ…いただきまーす。

平静を装ってるけど、実はかなりドキドキしてる。人の…ましてや好きな人の血を吸うなんて初めてだ。

すち

んっ…。

…すち、色っぽい声出すなぁ…。こんなの、意識しちゃうだろ…。

すち

はっ…ひま、ちゃん…終わった…?

暇72

う、うん…。すちも吸っていいよ。

ぽや〜っとした表情のすちは、かぷりと俺の首筋に噛みつく。…なるほど、血を吸われるのってこんな感覚なんだ…。数秒血を吸った後、すちはへにゃりと微笑む。

すち

これからは恋人としてよろしくね、ひまちゃん。

暇72

ああ、よろしくな、すち。

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