優
テスト、お疲れ~
美羽
おつ~
亜衣
おつかれ~
優
ふぅ。なんとか乗り切ったね~
亜衣
優は今回のテスト、なんか異常に疲れてたよね?
美羽
確かに
美羽
学校でも顔色悪かったし…何か、心配事でもあるの?
優
心配事っていうか、う~ん。。。
優
なんかさ、最近、変な視線みたいなのを感じるっていうか…
亜衣
それってさ。またストーカーとかじゃないよね?
亜衣
もう半年前だっけ?他校の人に狙われてたよね?もしかして……
優
たぶん違うと思う。外じゃなくて、家の中でだし
優
前の事もあるから、お父さん達にも話したんだけど、
優
お父さん達は家の中で、そういうのは全然感じないって言ってたから
優
今のところは、気のせいかなって…
美羽
テストの疲れで、嫌な記憶がぶり返しちゃったのかもね~
亜衣
まあ、あれは美羽にとっても嫌な記憶だったからね笑
美羽
うん…あの人、ちょっと良いと思ってたんだけど
美羽
それが、優にストーカーするなんて。男を見る目ないのかなぁ
美羽
半年前の自分に、がっかりだよ
亜衣
なんか、ごめん。。。
亜衣
まあ、あれだ!
亜衣
明日の打ち上げで、パ~と盛り上がれば、
亜衣
不安とか落ち込みなんて、吹っ飛ぶって!
優
そう、だね。ちょっと、過敏になってたかもね
美羽
うん。こういうのは、おおいに騒いで忘れちゃおう!
翌日。午後八時
美羽
今日はカラオケ楽しかったね~!
優
うん、楽しかったね~
美羽
で、どう?
美羽
私は、落ち込んだ気持ちとか吐き出せたけど、優はスッキリした?
優
すっきりはしたんだけど
優
実は美羽に謝らないといけない事があって…
美羽
謝るって、私に?
美羽
え、何?
優
ほんとは、カラオケの時に謝りたかったんだけどさ
美羽
うん
優
ストーカーに襲われてからさ、美羽に相談したじゃない?
優
襲われた時の事を夢で毎日見て、不眠症になったって
優
その時に美羽、枕をくれたじゃない?
優
悪夢を吸い取る、バクって動物の
美羽
あ~。バクの枕、あげたね~
美羽
私も昔、悪夢に悩まされてた時、
美羽
あれを使ったら悪夢を見なくなったんだよね
美羽
私のお古で悪いけど、優も見なくなったんでしょ?
優
うん、見なくなったんだけどね
優
あの枕、昨日、お母さんが捨てたみたいなんだよね
優
怒ってわけを聞いたら、布地とか結構いたんでたからって
優
気づいたのが寝る前で…
優
ほんとはすぐに謝りたかったんだけど、昨日は遅かったし
優
面と向かったら、なかなか言い出せなくてさ
優
ごめん、美羽
優
せっかく、美羽が心配してくれたのに
美羽
ううん、気にしなくていいよ
美羽
市販品だったら、新品を紹介できたんだけどね…
美羽
こっちこそ、余計な気を使わせてごめんね
優
こっちこそ、許してくれて、ありがとう
美羽
よしっ!じゃあ、これですっきりしたね!
優
えっとね、美羽。それだけじゃなくてさ
優
実はさっき、ちょっと怖い事があって…
美羽
怖い事?
優
うん
優
その…バクの枕なんだけど、
優
家に帰って部屋を見たら、なんでかベッドにあるんだよね
優
お母さん、昨日捨てたって言ってたのに…
美羽
昨日、優がお母さんに怒ったから、
美羽
お母さんが拾ってきたとか??
優
ううん。お母さんは知らないって言ってたし、
優
昨日気づいた時に、直ぐゴミ捨て場に行ったんだけど、
優
もう収集されてたんだ
美羽
えっと。お母さんがからかってる、とかは…ないか
優
ないと思う。だから、気持ち悪くて
優
しかもさっき、枕の布地が破れてるのに気づいて近づいてみたら
優
黒いモヤみたいなのが、はみ出してたんだよね…
美羽
黒いモヤ?
優
うん。私、驚いて金縛りみたいに固まっちゃってさ
優
そのモヤはすぐに、フッと消えたんだけど、
優
なんか気持ち悪くて…
優
私の見間違いだとは思うんだけどね。。。
優
美羽は、あの枕を買った場所とか覚えてないんだよね?
美羽
う~ん。ごめん…
美羽
かなり幼い時に、いつの間にか買ってたみたいで、
美羽
私も親も覚えてないみたいなんだよね
優
そっか。お店の人に、話を聞いてみたかったんだけど
優
ほら、悪夢を吸い取る枕って事は、
優
枕の中身って、もしかして、って思ったら、
優
ちょっと怖くなっちゃってさ
美羽
枕の中に悪夢が詰まってるかも、って?
美羽
それはちょっと考えすぎだよ
美羽
昨日ストーカーの話が出たから、神経が過敏になってるんだと思うな
美羽
まあ、そんなに心配ならさ、
美羽
いっそ、枕を燃やしてみたら?それなら安心できるでしょ?
美羽
お寺とかでも、人形の供養?とか、そうするみたいだし
優
……いいの?美羽も愛着あるんじゃない?
美羽
いいよ~。私はもう悪夢に悩んでないし
美羽
それで優の不安が晴れるなら、安いもんだよ
美羽
それよりストーカーの方が私は心配かな
美羽
今のところ考えすぎかもしれないけど、
美羽
ストーカーの方が現実味はあるしね
美羽
もしかしたら、その枕だってストーカーの悪戯って可能性もあるし
優
あっ、そうか
美羽
うん。ちょっと飛躍してるかもしれないけどね
美羽
枕を燃やす、ってのもそういう事
美羽
ないと思うけど、もしも枕に悪戯されてたら嫌だし
美羽
万が一呪いだったとしても枕の供養ができるでしょ?
美羽
まあ、用心に越した事はないから、防犯ブザーとか持ち歩いて、
美羽
何かあったら親とか警察に直ぐに相談しなよ?
優
うん、分かった。色々とありがとうね、美羽
六時間後。深夜二時……
優
ねぇ、起きてる…?
美羽
なにー?
亜衣
もう寝るとこ
優
なんか、ヤバイ
優
部屋になんか、黒い影みたいなのがいる
美羽
黒い影って、何それ?
優
わかんない
優
カリカリって、爪で引っかくような音が廊下から聞こえて、
優
目が覚めたら、部屋の扉がゆっくり開きそうだったから、
優
怖くなってクローゼットに隠れた
優
その扉の隙間から、黒い影みたいなのが見えるの
優
それが私を探すみたいに部屋を徘徊してる
美羽
まさか、ストーカー?
亜衣
親は?親はいるんでしょ?
亜衣
助けを求めな、早く!
優
部屋が遠いし、喉が引きつって声でない
優
こわいたすけて
優
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通話
00:01
優
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優
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通話
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優
優
なんで電話切るの!?
美羽
切ってないよ!
美羽
とったら勝手に切れた!
亜衣
落ち着きな!
亜衣
声が出せないなら、電話しても気付かれるだけでしょ!
優
亜衣が切ったの!?
亜衣
いや、私も取ろうとしたら勝手に切れた
亜衣
それより落ち着きなって!
優
優
やだ、なんか音が大きくなってきた
亜衣
すぐ警察に連絡するから、見つからないよう静かにしてて!
優
ねえ、これってあの枕を燃やしたからじゃないの!?
優
呪いとか、祟りとかじゃないの!?
美羽
落ち着いて、そんなのあるわけないって!
優
だってあの黒い影、どう見ても人間じゃない!
優
枕からはみ出してた黒いモヤと同じに見え
美羽
優?
優
優
音がクローゼットの前で止まった
優
やだ
優
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優
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優
なんできれるの!
優
やだ、かげがくろーぜっとのなかに
美羽
大声で助けを呼んで優!早く!
優
やだ
優
はいってきた
優
こわいたすけて
優
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優
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優
美羽
優?
美羽
ねぇ、優ってば!無事なら返事して!
亜衣
警察に通報したよ!優、大丈夫!?
美羽
優ってば、ねえ!
二日後……
美羽
ありがとう、店長さん。上手くいったよ
霧影館
いつもうちの店をご贔屓にしてくれて、ありがとう美羽ちゃん
霧影館
当店の商品、『獏の枕』が役に立ったようで何よりだよ
美羽
うん。一諭吉を払った甲斐があったよ笑
霧影館
人の悪夢を吸い続ける獏の枕。悪夢を見る悩みは解決するけれど、
霧影館
生地が破れれば、今まで枕の中に詰まった悪夢が、
霧影館
今の持ち主に一気に襲い掛かり、不幸な結果が起こる
美羽
だから、枕を燃やすなんて、もってのほか
美羽
正しく対処するには、詰まった悪夢が生地を破る前に持ち主をかえる、
美羽
つまり誰かに押し付けるしかない、でしょ?
美羽
店長さんの商品説明で、聞いたよ笑
美羽
今回も、ちゃんと扱えたでしょ?
霧影館
問題ないよ
霧影館
でも半年も時間をかけての復讐なんて、根深い憎悪だね
霧影館
その間も、憎悪の対象の傍にずっといるなんて……
霧影館
美羽ちゃんは、本当に怖い子だよ
美羽
店長さん的に、それって褒めてるつもりなんだろうけど、
美羽
普通に聞いたら、煽ってるようにしか聞こえないから、
美羽
気をつけたほうがいいよ?
霧影館
気を悪くしたならごめんね
霧影館
その強い意志に感服しただけだよ
美羽
まっ、私はもう慣れたからいいけどね~
美羽
ほんと、むかつく女だったわ
美羽
あの女は、いつもそうだった
美羽
私の欲しい物をいつも手に入れて、
美羽
そのくせ、そんなもの興味ないって切り捨てて
霧影館
でも、友達だったんだろう?
美羽
ええ。友達『だった』よ
美羽
でも、我慢にも限界がある。彼まで優が奪った
美羽
なのに、優は
美羽
霧影館
後悔しているのかい?
美羽
まさか!むしろ、あれで吹っ切れたわ!
美羽
私の言う事を信じて、枕を燃やしたなんて笑いが止まらなかったしさ
美羽
最大級の恐怖と苦しみを与えて、この世から優を消してやって、
美羽
今は、いい気分よ
霧影館
そっか。美羽ちゃんはうちの商品を、よく理解しているからね
霧影館
確かに、その気になってたら、もっと早く仕掛けてたか
霧影館
ただ、美羽ちゃん。これはお得意様に対する、忠告なんだけど
美羽
うん?
霧影館
美羽ちゃんは今まで、何度もうちの商品を使ったけど、
霧影館
相手を死まで追い詰めたのは、初めてでしょ?
美羽
そう言えば、そうだね
美羽
あ、人殺しが悪いとか説教は止めてよ?
霧影館
そんな事は言わないよ。これは、ただの忠告
美羽
……わかった。聞くよ
霧影館
今までうちを贔屓にしてくれた美羽ちゃんは、気づいてるかもしれないけど
霧影館
今回のような呪具で殺された、死者の怨みの念は、
霧影館
その対象に、強く惹きつけられるんだよね
霧影館
だから、美羽ちゃん
霧影館
優ちゃんの怨念には、くれぐれも気をつけてね
霧影館
きっと優ちゃんの怨念が、美羽ちゃんに迫ってると思うから
美羽
ちょっと待って
美羽
今、私を呼ぶ優の声がした
美羽
これどうすればいいの?ねぇ!?
霧影館
獏の枕と同じく、対処方法を間違えないようにね?
美羽
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通話
00:01
美羽
やだ。店長さん、たすけて
美羽
たすけ
美羽