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何時もの日課で 彼女の顔を眺めてしまう

僕より遅く登校した卯恭が

教室に入る音でぶるり 、と 肩が震え黒板に視線を戻した 。

朝の挨拶を僕にも欠かさず 、

荷物を置く也 駆け足で直ぐ様寄ってきた 。

 

友人と思う人物にこんな言い方は

あまり控えたいが 、虫のようだ

美味しい蜜の在り処を知り 寄ってくる蜜蜂のように見える

僕は狙われた地味な花

美味しくなるように 、

不味い所を全力で隠す花だ 。

卯恭 ウキョウ

朝から皐さんキレーだよな

そんなことは君よりも

数十分以上早くから知っている 。

けれど飽く迄今は ‘ 卯恭の恋愛相談相手 ’

として肯定も否定もしない

慧 ケイ

良かったな

卯恭 ウキョウ

其れ思ってないだろ!

思う理由なんて見つかる筈が無い 。

恋敵の応援なんて 彼女に言われてもNoと答える

慧 ケイ

さぁ何方でしょう

巫山戯ては誤魔化す

そうすれば 心臓も少しは持つだろう

君を想う気持ちも爆発しない 。

 

 

皐 サツキ

あれ 、御免

背中辺りから青空のように 澄んだ声が聞こえた

其れは僕の動きをも止めた

後ろを速度を落として振り返れば 、

花の香りが漂う 絶世の美少女が立っていた 。

皐 サツキ

私も日直だったのに

皐 サツキ

長月くんに
任せちゃってたね

人の目を見つめて 言ってくれているのに

僕はどうにも目を逸らしてしまう 。

ほんの少し 、微弱でも つり上がった口角から

僕の苗字が紡がれた

決して有り触れた人が

持っている苗字じゃないから

カンチガイが 起こってしまうじゃないか 。

慧 ケイ

べ 、つに大丈夫ですよ

皐 サツキ

敬語だと堅い感じだね

ふふ 、と弧を描かれた口から洩れる

そして重そうに椅子を抱えて 黒板の前迄やってきた

皐 サツキ

長月くんはもう座ってて

皐 サツキ

あとは私がやるよ

可愛いのに美しくて

柔らかい空気を 纏わせている筈なのに

君は只管に ‘ 華 ’ だった 。

慧 ケイ

じゃあ御言葉に甘えて

一言だけ放った後

全力で動揺を隠し乍 、 席に着く

そして新鮮な場所に立つ横顔を

また見つめてしまう 。

僕の体内時間は約5秒

次の授業の予鈴が鳴った 。

彼女はもう席に着き 準備を終えているのに

僕は5秒を君に費やしてしまった

 

皐月に枯れた花の横顔

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コメント

2

ユーザー

寄ってくる蜜蜂 とか 不味い所を全力で隠す花 とか 植物系の使い方ほんと綺麗で尊敬 😖 ♡ 体感5秒

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