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ついに手に入れたんだ

誰も入る事の出来ない 二人だけの空間

俺と 愛する杏佳の二人きり

このまま死ぬのを待つだけ

最期に見るのが杏佳の姿

杏佳の最期も俺の姿

こんなにも喜ばしい事は無い

遥斗

杏佳、一緒に死のう

杏佳

...嫌

遥斗

嫌だと言っても仕方がない

遥斗

無線は繋がらないし、
シェルターの扉は開かない

遥斗

もう食料も水も底を尽きる

遥斗

杏佳はもう、俺と死ぬしかないんだよ

俯く杏佳に言い放つ

目を背けても変わらない

これは事実で、 俺にだってどうする事も出来ないのだから

しばらく杏佳を見詰めていると 杏佳の体が震えているのに気が付いた

遥斗

?どうしたの、杏佳

遥斗

寒い?

遥斗

それとも、俺が怖い?

俺の言葉には反応を示さず、 杏佳は黙って自分の体を抱いている

流石に俺も心配になり、 杏佳に手を伸ばしたその時

杏佳

ッ、ふっ、ふふっ

遥斗

杏佳?

杏佳

んふふふっ、あはっ

杏佳

あははははっ!

遥斗

ど...したんだ、突然...

気でも狂ったのか、 杏佳は大声で笑いだした

今までにこんな杏佳は見た事がない

新たな一面を見れて嬉しい半面 やはり心配になる

杏佳

あははっ、だって!

杏佳

おかしくって、おかしくって!

遥斗

何がそんなに可笑しいんだ

杏佳は笑い声を止め、 氷の様に冷たい視線を俺に向けた

それはまるで軽蔑するような 殺人鬼のような瞳だった

杏佳

私、知ってたのよ?

遥斗

な、何をだよ?

杏佳

遥斗が私の事好きだってこと

そんな、嘘だろ?

俺は確かにずっと昔から杏佳が好きだった

けれど、それを他人に言ったことは無い

悟られるような行動を取った覚えもない

なら、どーして杏佳は知っていたんだ?

俺の頭はグルグルと回り、 相応しい答えなど出せなかった

杏佳

何で?って表情してるね?

杏佳

教えて欲しい?

遥斗

...何でなんだ

杏佳

それはねぇ

杏佳

私も遥斗をずぅっと見てきたからよ?

遥斗

どっ、どーゆー事...

杏佳

そのままの意味よ

杏佳

小さい頃から、私の事を見ていた遥斗を

杏佳

私もずっと見ていたの

遥斗

そんな...じゃあ!

杏佳

でも勘違いしないで

遥斗

え?

杏佳

私は遥斗を好きなんじゃない...

杏佳

私は、遥斗が大嫌いなの!

遥斗

え、は、ははっ

遥斗

何言って

杏佳

私はアンタが大ッ嫌いなの!

聞き間違えが無いように 聞きそびれが無いように

杏佳はハッキリと俺に言った

杏佳が俺の事を嫌っている?

そんな、そんな事は有り得ないだろ

じゃあ今までの二人は何だったんだ

小さい頃から一緒に遊んで

何度もお互いの家にお泊まりして

真剣な相談もお互いにした

何かといつも一緒に居たし

例え杏佳に恋愛感情が無くても

嫌われていたなんて信じられない

俺は、俺は今、何を聞かされているんだ

杏佳

もう、ずっと苦しかったわ

杏佳

屈辱で惨めでならなかった

杏佳

何で私がアンタと仲良くしなくちゃいけないのよ

杏佳

思い返すだけでも気持ち悪い

杏佳

本当に嫌で、嫌で仕方なかったッ

杏佳は唇を噛み締め、 鋭い眼差しを俺に向ける

その表情には確かに、 怒り、嫌悪、 そういった物が含まれていた

杏佳

だけど、アンタをただ振るだけじゃ

杏佳

仕返しに何をされるか分からない

杏佳

それに、そんな事じゃ私のこの憎しみは拭えない!

杏佳

だから、私決めたの

杏佳

アンタの目の前で

杏佳

アンタが苦しむ死に方をしてやるって

遥斗

なっ、何を...

杏佳

そうしたら私が死んだ後も

杏佳

ずっと、ずっとずっとずっと!

杏佳

アンタは私で苦しむでしょう?

そう言って微笑む杏佳

その姿はとても綺麗だった

俺の目からは涙が溢れる

大粒の涙がボロボロと溢れて止まらない

杏佳

あはっ、イイ気味

杏佳

アンタは私を殺すのよ

杏佳

そしてアンタも死ぬの

杏佳

ふっ、ふふっ

遥斗

でも、それじゃあ

遥斗

俺が望んだ事と変わらないじゃないかッ

杏佳

そうね

杏佳

だから私は最悪の死に方をするの

杏佳はパチンとポケットからある物を取り出した

それは悠祐さんが杏佳に贈った

緊急用の果物ナイフだった

杏佳

アンタは助けられたかもしれない私の命を失って後悔するの

杏佳

アンタのせいで死ぬんだから

遥斗

杏佳...何を...

杏佳

アンタを...

杏佳

遥斗を好きな私を、遥斗は自分で殺めるのだから

遥斗

杏、佳?

杏佳

遥斗、愛してるわ

遥斗

やめっ

ーブシュウゥゥゥッー

遥斗

杏佳...杏...

遥斗

うわあああああぁぁあっ!!!!

杏佳は自ら首を切り裂き

シェルターの床を真っ赤に染めて

それきり動かなくなった

〜fin〜

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1,062

コメント

2

ユーザー

まさかの杏佳が黒…!? 杏佳の遥斗に対する気持ちが強くて、すごかったです✨

ユーザー

さ、最終日に結局全ての本にコーヒーを零して...... うん、もうね、手が震えてるんじゃないですか???() (訳:凄いですお疲れ様でしたー!)

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