コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私の隣の席の統真くんは 耳が不自由だ。
涼音
統真くん
涼音
統真くん
涼音
統真くんと話すには 筆談を使う。
そして、今日の音を伝える。
雨が降っていたらザーザー、 炎天下だとジリジリ、 と言った具合に。
私が、統真くんの 耳の代わりをする。
音を想像しているのか、 統真くんは優しい表情をする。
その顔が、とても綺麗で
私は惹かれていった。
涼音
統真くん
涼音
だって私は…
統真くん
その時、後ろから手が伸びてきて 私たちのノートを奪われた。
女子1
涼音
女子1
女子1
涼音
私たちの口論がヒートアップ していくにつれ、 人集りが出来てしまった。
男子1
女子1
涼音
男子1
女子1
涼音
なにかを察したのか、 統真くんの顔から優しさが消えていた。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、 私は目に涙を貯めて訴えた。
涼音
女子1
女子1
男子1
涼音
一筋の涙が零れて、 私が俯いたその時。
ガシッ
涼音
統真くん
統真くんに腕を引かれ、 屋上への階段を駆け上がった。
ガチャ
涼しい風が優しく体に当たる。
涼音
統真くん
統真くんの声だけが、 私の耳に響いた。
統真くん
統真くん
統真くん
統真くん
涼音
耳まで真っ赤な顔で、 いつもの優しい表情をする統真くん。
片言で、聞き取りずらかったけど、 確かに聴こえた。
涼音
涼音
涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔で 何とかはにかんだ。
統真くんに聞こえるように ゆっくり、はっきり、大きな声で話した。
その声が聞こえたのか、 統真くんは顔をりんごのように赤くして笑った。
私も、つられて笑った。
まだ耳に木霊している声を 聞きながら
この愛おしい時間を噛み締めながら
いつまでもいつまでも
笑った。
〜fin〜