夏月
…おかえり
俺は平然を装って、挨拶した。
母親
ただいまぁ、夏月
男
お邪魔させてもらってるよ、夏月くん
夏月
(はぁ、またか)
俺の母親は、父親が仕事のときに、男を連れ込む癖がある。
時には、父親が家にいるときにも連れ込んでいる。
夏月
じゃあ、俺は部屋に戻るから
母親
私、ご飯作る気無いわぁ。ねぇ夏月ぃ、作ってくれなぁい?
いつも口説き落としている、猫撫で声。
夏月
チッ…自分でやれよ
息子である俺にとって、それは気持ち悪いモノでしかなかった。
男
夏月くん、口の聞き方が悪いんじゃないかな?
男
母親なんでしょ?
夏月
関係無ぇんだよ
近付いてきた男は、俺の頬を思いっ切り殴った。
夏月
っ…
じわじわと口の端から流れる血。
男
また殴るよ?早く言う事聞けよ
そう言って、再度殴ってきた。
夏月
…クソが
俺は袖で血を拭き取り、小声でボソッと呟きながらキッチンへ向かう。
母親
あら、作ってくれるのねぇ。優しいわぁ
夏月
(テメェ等、絶対に許さねぇ)
イチャイチャする二人を睨みながら、料理を作り始めた。
あーあ、早く二人のとこに戻りてぇ…
一方ゾムとショッピ。
ゾム
…なぁ、ショッピ。兄ちゃん戻って来るの遅ないか?
ショッピ
確かにそうやな…どうしたんやろ
二人は小声で会話をしていた。
ゾム
見に行きたいな…
ショッピ
兄ちゃんに言われたろ。ダメやって
ゾム
そうやけど…
「「(兄ちゃん、大丈夫かな…)」」
ショッピ
…互いに同じ事思っとるやろ
ゾム
多分な
ショッピ
俺らは兄ちゃんを信じて、待つことしか出来ひん
ゾム
…そうやな、ショッピ
見に行きたい欲を抑え、大人しく夏月を待つことにした。