『白尾夜』
そう書かれた店の前で僕は残り2人を待った
名残惜しくないわけない
名残惜しいに決まっている
『また来るから』
さっきそう言って、彼の言葉も聞かずに出てきたくせに
もう会いたい、話したい、触れたい
彼の声と温もりを感じたい
気持ち悪いぐらいに
そう思っている自分がいる
一目で惚れた彼のこと
昨日重ね合った体のこと
初めてが僕で彼なこと
思い出せば勝手に口が綻ぶし
きりやんやシャークんに話したい、自慢したい
Broooock
次、いつ来れるかわからない
仕事が暇なわけでもないから
公安局情報取引課の仕事は
会議の時間設定、書類の作成、プレゼンの準備
暴力団の拘束、金融機関調査、国会警備
日本の都市回りと公共調査、大都市の治安検査
時には毒味役や指名手配犯の追手
その仕事に加え、公安局との会談
長い報告書の読み合わせや改善案の出し合い
そのためにわざわざ海外に飛ぶ時もある
何日そこにとどまるかもわからないし、帰って来れる保証はない
もちろん日本では持ち歩かないけど…
マフィアとぶつかる事もあるから、護身用拳銃は持ち歩く
危ない仕事、である
そんな仕事の合間をぬって
また来る、それはいつだろう?
明日?明後日?明々後日?
1週間後?1ヶ月後?1年後?
そんなの耐えられなくなるだろう
今の時点でもう会いたいと思っているのに
1分1秒でも彼のそばにいたいと思うのに
僕は店に引き返してある事だけすることにした
いつ来れるかわからないから
それまでは………ッ
帰ってしまった
『また来るから』
そう言い残して
俺の額にキスをして
俺の前からいつ来るか分からないまで消えたのだ
俺は痛む全身を起こしながら、額を撫でる
知ってる
忙しい、んだよね
会社の愚痴、沢山言ってたし
他の日常的なことも聞いた
仕事では海外に飛ぶことも少なくないこと
ぶるっくさんは中国語、英語、日本語が話せて
翻訳家みたいに通訳させられてること
たまにめんどくさい仕事押し付けられて危ないこと
色んな国に行くけどやっぱり日本が1番好きなこと
上司に強制で連れていかれ色んな店に行ったこと
お酒は飲むけど別に強いわけでも弱いわけでもないこと
休日は好きなゲームしたり、ゲームの大会に出たりすること
洋食系の料理は得意だけど和食系はあまり作らないこと
元々は中国に住んでいて引っ越しでここにいること
女子が苦手で関係を持たないから、親がうるさいこと
歳は24歳で、会社で女性と関係を持ってる人は少ないこと
優しくてちゃんと話を聞いてくれる、可愛い子がタイプなこと
俺にだけ教えてくれたことがあった
内緒ねって言いながら小さい声で、
『僕は男の子が好きなの』
そう言って、俺の方を見てニコッと笑ったこと
綺麗で可愛らしい、でもどこかかっこよさのある顔立ち
会社でもモテるんだろうな、この人は
そう思った
また来る、それはさよならの挨拶かもしれない
次来るまでに
『身請け』
されれば、俺はもう会うことはない
会いたいけど、会いたくない
そう思っている自分がいる
こんな華街という汚れた世界に、あの人を引きずりたくない
あの人には綺麗な世界で生きてほしい
俺は自分の服を取り、痛む腰を抑えつつ服を着る
今日はどんな客が来るだろう
酒の付き合い、話し相手、時には踊り舞う
客を楽しませるのが俺らの仕事
たとえ、1人の客が名残惜しくても
俺は部屋を出て、遊男の揚屋へと向かった
※揚屋→遊男を客が選ぶ場所のこと
next_♡600
次の話は nkshk か krsm
どちらがいいか教えてください
コメント
6件
krsmがいいです!!
nksyaでお願いできますか?
結局、どっちもやるんですよね?