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アイドルデビュー

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アイドルデビュー

1 - アイドルデビュー

2020年07月19日

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面接官

はい、じゃあ次

リカ

はい!

いよいよ私達の順番になった

私はアイミとユナに目配せをして、 3人で立ち上がった

歌も ダンスも できる限りの練習をしてきた。 私達なら、きっといける

アイミ

リカ…

アイミが不安そうに手を繋いできた。 私は、大丈夫だよ。と繋ぎ返す

ユナ

アイミ!リカ!

ユナがアイミの反対の手を繋いだ。 そのまま3人で前に出る

リカ

よろしくお願いします!

アイミ

お願いします…!

ユナ

お願いしまーす!!

…数時間後…

ユナ

もーー!!
絶対あそこで失敗したぁー!
落ちたらウチのせいだよぉー!!!

アイミ

そんな…
ユナより私のほうがやばかったよ
……あんなに練習したのに…

リカ

2人とも心配しすぎだって!!
きっと大丈夫だよ!

リカ

面接官さんも『仲良しなんだね』って!

ユナ

それオーディション関係ないじゃん!

ユナ

マジで落ちてたらホントにごめん!
アイドルはずっとリカの夢なのに
ウチがチャンス台無しにしたかも…

リカ

そんな…

リカ

そりゃあ、アイドルになるのは小さい頃からの夢だったけど

リカ

私は、ユナとアイミと一緒にやるから意味があるって思ってるから

ユナ

リカ…

アイミ

リカちゃん…

リカ

今回がダメでも、その次がダメでも…
もしそうなったら自分達だけでやるのもアリじゃない?

リカ

踊った動画、SNSに投稿したりとか!

リカ

3人でやるならきっと楽しいよ

リカ

てか、そもそもまだ落ちるって決まったわけじゃないし!

アイミ

う、うん…だよね

ユナ

そーだね!ごめん!!なんか暗くさせて

リカ

いいってば!
合否がどっちだったとしても、
結果発表されたら
皆でいつもの店行こーね!

ユナ

おっけー!

アイミ

うん、たのしみ…!

リカ

えっ、電話……

部屋に着いた瞬間 私のスマホに着信が入った。 相手は……

面接官

通話終了

通話
10:00

リカ

……

リカ

ユナ、アイミ……

リカ

私、私は…

ユナ

リーカ!

ユナ

昨日どーしたん?寝てた?

ユナ

ずっと既読もつかなくて
心配しちゃったじゃん

リカ

ユナ…

アイミ

リカちゃん、
やっぱりオーディションのこと……

リカ

ち、ちがうの!
昨日は疲れてて、
部屋に着いた瞬間寝落ちしたみたい…

リカ

心配かけてごめんね

ユナ

そーなん?だったらいいけどさー

ユナ

あーあ、結果はやくこないかなー

ユナ

どっちかわかんないと
ソワソワして落ち着かなーい!

アイミ

そうだね、早く教えて欲しい…

リカ

……

アイミ

リカちゃん?

リカ

ん?なに?

アイミ

…ううん、なんでもない

リカ

…すいません、もう一度いいですか?

リカ

ちょっとよく分からなくて

リカ

あのオーディション、
2人以上のグループ限定ですよね?

面接官

そうだけど、それがなにか関係が?

リカ

えっ、だって…

リカ

だって、おかしいじゃないですか

リカ

グループで受けたのに、どうして…

リカ

どうして私だけ、合格なんですか?

面接官

グループで受けたからって

面接官

全員合格になるとは、どこにも書いてなかったはずだよ

リカ

そんな……

面接官

それで…

面接官

つまり君は、ほか2人と一緒じゃなければ
この話を断ると言いたいのかな?

リカ

そ、それは……

面接官

申し訳ないんだけどさ

面接官

早く返事欲しいんだよね

面接官

こっちもスケジュールとか決まってるし

面接官

他の子にはもう返事もらってるから

面接官

君がダメなら早く他の候補に…

リカ

待ってください!

リカ

あと1日だけ、待ってもらえますか?

リカ

お願いします……

面接官

はぁ〜

面接官

まあいいけどさ

面接官

そんなんだと、後々困るんだよね

面接官

君、本気でアイドル目指してるって言ってたでしょ?

面接官

お遊びなら自分達でやって欲しいんだよね

面接官

こっちは仕事だから

リカ

はい…すみません

リカ

明日には、必ずお返事します

リカ

どうしたらいいんだろう…

リカ

アイドルはずっと私の夢、だけど…

私の夢に、アイミとユナも加わって いつしか3人の夢になっていた

3人で一緒の夢を目指してるのが楽しくて 夜遅くまで練習しても、全然つらくなくて

リカ

お遊び…か

私、本気じゃなかったのかな このまま3人で楽しくやっていけたらって そんな風に思ってたのかも

リカ

やっぱり、断ろう

このまま私だけ合格するなんて 2人に合わせる顔がないよ なにより、3人じゃないと意味ないよ

アイミ

何を断るの?

リカ

リカ

アイミ!

アイミ

ごめんね、
リカちゃんの様子おかしかったから

アイミ

こっそり着いてきちゃった

リカ

アイミ…私ね

アイミ

リカちゃん、私達のことなら気にしないで

リカ

えっ…

アイミ

何となくわかるよ

アイミ

リカちゃん、
オーディション合格したんでしょ

リカ

……!

アイミ

わかるよ、リカちゃん嘘下手だもん

アイミ

リカちゃんがどうしようとしてるかも
私、わかるよ

アイミ

でも、そんなことしたって
私もユナも喜ばないよ

リカ

でも、2人は…

アイミ

そりゃ、リカちゃんだけ選ばれて辛いよ

アイミ

私も、
自分なりに頑張ったつもりだったから……

アイミ

だからって、リカちゃんが私達に遠慮して
夢を叶えるチャンスを断るなら

アイミ

私、その方がきっと辛いもん…

アイミ

ユナちゃんだって、同じ気持ちだと思う

ユナ

そのとーり!

リカ

ユナ!

アイミ

ユナちゃん…

ユナ

いやー2人が神妙な顔してるからさぁ

ユナ

リカをストーカーしてるアイミをストーカーしちゃった!

ユナ

そしたらこんな話はじめるんだもん

ユナ

出てくるタイミング迷った迷った!

リカ

ユナ…

ユナ

うん

ユナ

わかってる

ユナ

私もアイミも、リカのこと応援する

ユナ

いやー当然ちゃあ当然だよね!

ユナ

リカはウチらよりずっと前から、
アイドルになる為に色々やってたんだし

ユナ

むしろ世間がリカ見つけるの遅すぎじゃん?

アイミ

うん…そうだね

リカ

ユナ、アイミ…ありがとう…

ユナ

ってわけだからさ!

ユナ

約束通り打ち上げいこーよ!今から!

ユナ

そうと決まったら急がなきゃ!

アイミ

おー!

リカ

2人とも、ありがとう

リカ

今日は私おごってあげちゃう!

ユナ

あっ、なんだぁー
勝者の余裕かあー?

リカ

ち、ちがうよー

アイミ

あはは!

リカ

…あのね、ユナ、アイミ

アイミ

なに?

ユナ

なーに改まって

リカ

私、やっぱり断る

3人でデザートのパフェを食べ終わった後 私はこう言った

ユナ

は!?

アイミ

えっ……

ユナ

いやいやいや!

ユナ

さっきの話なんだったわけ!?

リカ

私わかったんだ

リカ

やっぱりこの3人だから、私頑張れた

リカ

さっきの2人の気持ちきいて、私…

リカ

もうユナとアイミ以外と組めないって
そう思った

アイミ

リカちゃん…

ユナ

でもでも、いいの!?

ユナ

せっかくのアイドルデビューの
チャンスだよ!?

リカ

うん、わかってる

リカ

それでも私、3人がいいの

ユナ

はぁ〜

ユナ

リカはこうなったら聞かないもんな

アイミ

うん、そうだね

ユナ

あとで後悔したって、知らないかんね!

リカ

うん

ユナ

あーあ

ユナ

ウチ、リカがデビューしてからの脳内シュミレーションしてたのに

リカ

なにそれ(笑)

ユナ

デビューしたときの
自己紹介とか考えたり?

アイミ

それ、ユナが考えるんだ…

ユナ

まぁ、リカのプロデューサーですから

リカ

いや、いつからよ!

アイミ

あはは!

アイミ

じゃあ私はスタイリストかな

リカ

アイミまで!

そう、これが私たち ずっと3人でいれば いつも笑顔でいられる これから先も、ずっと…

アイドル事務所

リカ

……あの、そういう事なので

リカ

本当に、申し訳ないです

面接官

あーそう

面接官

まあーいいけどね

面接官

あ、そろそろオーディションで決まった子達
きちゃうからさ

面接官

もう帰っていいよ、おつかれ

リカ

…はい、ありがとうございました

扉を開けて、部屋を出る

外の待合室に、 綺麗な女の子が立っていた

リカ

あ、すいません…どうぞ

あまね

……

彼女は、美しいけれど 冷たい視線を私に向けた

あまね

少し、聞いていたけれど

あまね

あんまりにもくだらなくて、
笑えもしなかったわ

リカ

え…

あまね

私のしてきた努力を、
侮辱された気分よ

リカ

…そんなつもりは

あまね

そうでしょうね

あまね

せいぜい楽しく『ごっこ』遊び
続けるといいわ

リカ

ごっこなんかじゃ……!

そう、本気でアイドルになりたい

テレビの向こうの輝きに 少しでも近づきたくて

毎日本気で努力してきた

今回のオーディションだって、 本気でやった

だからこそ、私は選ばれたんだ

私だけは……

あまね

そう

あまね

私なら、断ったりしない

あまね

たとえ友人を失ったって、
自分の夢を殺したりしない

リカ

わ、私だって諦めた訳じゃ!

くるみ

すいませーん!遅れましたー

くるみ

って、なんだあ

くるみ

もしかして、
同じオーディションの合格者?

リカ

……

あまね

……

くるみ

あれ、なんかお邪魔した系?

リカ

あの、お2人は別々のチームでオーディション受けたんですか

くるみ

そーだね、話すのは初めてだね

くるみ

2人ともオーディション会場にいたから
顔は覚えてんよー

よく見てるんだな…… 私は緊張で他の子なんて見る余裕なかった

でも、ということはこの2人は チームの仲間を見捨てて ここに来たってこと……?

くるみ

クールなキミは歌が超絶上手かったよね!
声量あるしー、高音ちょーやばかったし

くるみ

そっちのキミは三人組だったよねー
ダンスのキレ凄かったけど経験者?

リカ

あっ、ありがとうございます…
一応ダンススクールに通ってて

くるみ

あーやっぱ?

くるみ

他のふたりがやばかった分
余計上手く見えたかも(笑)
あれ作戦?

リカ

えっ

あまね

あぁ……思い出したわ

あまね

あの両手にお荷物ぶら下げた人、
アナタだったのね

リカ

そんな…2人だって、一生懸命…

あまね

あのねえ

あまね

そんなこと、
ステージに出たら関係ないのよ

あまね

歌が下手で
ダンスが下手で
でも一生懸命頑張ってるから?

あまね

だから何だっていうの?

リカ

それは……

くるみ

まー頑張るのとか当たり前だし?

くるみ

結果できてないなら意味なくなーい?
みたいな(笑)

リカ

……

くるみ

てか、もう集合時間ギリギリだし!

くるみ

早く入ろーよー

あまね

その子はいいのよ

くるみ

えっ、なんでー?

あまね

ここに来たのは、断るためだそうよ

くるみ

あ、そーなん?

くるみ

なーんだ、せっかくダンス教えてもらおうかと思ったのに

くるみ

え、てかもしかして一緒に受けた友達気にしてる系?

リカ

……あなたは気にならないんですか
一緒に受けた人のこと

くるみ

えーまあ気にならないことないけどさー

くるみ

でも仕方ないじゃん?
くるみの方がすごかったから選ばれた
それだけじゃん?

くるみ

しょーじきさー

くるみ

あのダサい2人、早く見限った方がくるみはいいと思うけどな

くるみ

下手な人の傍にいると楽なのわかるけどさ
それ以上うまくもなれないよ?

リカ

そんな、私そんなつもり

あまね

そうかしら

あまね

あなた、気がついてなかったとでも言うつもり?

あまね

あの2人はどう考えたって、あなたよりも技術は劣っていた

あまね

あなたほどの実力のある人が、
一緒に練習していてそれに気が付かなかった訳、ないと思うけれど

リカ

……

あまね

さて、そろそろ行かないと

くるみ

じゃーねー!

2人が入っていった扉を 私はしばらく見つめていた

私は事務所のロビーのソファに座ったまま 動けずにいた

そう、本当はずっと前から気がついていた

アイミとユナは私より歌も踊りも下手だ

私よりも後からはじめたのだから それも仕方のないことかもしれない

2人は私ほど 本気ではなかったのかもしれない

リカ

下手な人といると上手くなれない……

そうなのだろうか

確かに2人と練習するようになってから 2人に合わせて休憩が増えた 甘いものを食べることが増えた 練習をサボって遊ぶことも増えた

そして、2人とも私より下手だから こうして遊んでも私が1番でいられた

学園祭で3人でダンスを披露した時も たくさん褒めて貰えた

クラスメイトも、先生も、親も リカは絶対アイドルになれるねって

一方で、ダンスのレッスンでは叱られることが増えていた

前はもっと簡単に覚えられた 覚える時間もあったし、 体もよく動いた

リカ

そっか

邪魔してたんだ、今まで 邪魔だったんだ、2人が

ずっとあの2人が私の両足にしがみついて、離さないで

私のことを飛べない鳥にした

リカ

さっきのお話、
なかったことにしてください

気がつくと私は、そう言っていた

ユナ

…ごめん、今なんて?

リカ

……

ユナ

なんて言ったって聞いてんの!

アイミ

ユナちゃん!

ユナ

アイミは黙ってて!!!

リカ

オーディションの話受けることにした

ユナ

そうじゃない、そこじゃないよリカ

ユナ

だって、
元々応援するつもりだったんだから

アイミ

リカちゃん…さっきのこと、
本気で言ってるの?

リカ

2人には悪いと思ってるけど

リカ

もう、練習とかやめた方がいいと思う

リカ

だって、どうせ本気じゃないんでしょ

リカ

時間の無駄じゃないかな
そういうの

リカ

2人には他に向いてることあるよ

ユナ

……ずっとそんな風に思ってたんだ

ユナ

自分だけ選ばれたからって
偉くなったつもり?
何様なわけ?

リカ

私の方が才能があったから選ばれた
それは事実でしょ

ユナ

だからって、
ウチやアイミが本気じゃなかったとか
言う権利なくない!?

ユナ

ウチだってバイトもあったけど
時間作って必死にやったし

ユナ

アイミだって運動苦手なのに、
ウチらと同じ練習メニューこなして
頑張ってたし!

アイミ

ユナちゃん、もういいよ…

ユナ

よくない!

リカ

頑張ってるって言われても

リカ

そんなの、言い訳だよ

リカ

成果ないなら意味ないじゃん

ユナ

……!

アイミ

ユナちゃん!!

ユナに叩かれた頬がじんと痛んだ 何も言わずにユナをみた

ユナ

あんたのせいで人生の時間無駄にした

ユナは泣きながら怒って 背を向けて去っていった

アイミがその後を追いかけていった 一瞬、私の方をみて 複雑そうな顔をした

リカ

自由になった……

リカ

アイドルなんだ……私…

リカ

アイドルになれるんだ…

アイミ

ユナちゃんまって!

ユナ

……

しばらく走った後、 ユナちゃんが立ち止まった

きっと、私がもう疲れて息切れしているのに気がついてくれた

アイミ

ユナちゃん…

ユナ

アイミはどう思ってるの

アイミ

ユナ

ホントのこと言って

アイミ

リカちゃんは、ホントに才能あるよ

アイミ

絶対アイドルになれるって思ってた

ユナ

…うん

アイミ

私、運動神経ないから

アイミ

2人について行こうと思って、
練習のためにずっとダンスとか
歌とかビデオにとってたの

アイミ

初めて自分の歌とダンスをビデオで見た時
私、びっくりしちゃった…

アイミ

想像してた何倍も
酷い出来だったんだもん…

ユナ

……

アイミ

みんなの前で披露した時も

アイミ

気を使って褒めてくれてるのがわかった

ユナ

うん

ユナ

リカはすごいよ

ユナ

わかってたよ、私も

ユナ

それでも、3人でなら
上手くやっていけるって

ユナ

何より3人ならすごく楽しくて

ユナ

上手いとか下手とか
そんなこと、どうでもよかった

アイミ

うん

アイミ

やっぱり、本気じゃなかったのかな
私…楽しくて、それでいいやって

ユナ

それって、悪いことなのかな

ユナ

だって、楽しかったじゃん

ユナ

何がダメなわけ?

ユナ

頑張ったじゃん

ユナ

最初より、ウチもアイミもめっちゃうまくなったよ!

ユナ

リカの足でまといにならないようにって
3人並んでできるようにって…

アイミ

うん……

ユナ

頑張ってたのに……

ユナ

なんなんだよ

ユナ

なんなんだよぉ…

ユナちゃんはそのまま 泣きながら地面に座り込んだ

私はそっとその肩を抱いて 一緒に泣いた

ユナ

…… アイミ

アイミ

なに?

ユナ

ウチもアイドルになるよ

アイミ

…うん

ユナ

絶対なるよ

アイミ

うん

ユナ

努力すればなれるって
足でまといなんかじゃないって

ユナ

絶対にわからせてやる

アイミ

うん

アイミ

私も

アイミ

私も一緒にやるよ

アイミ

アイドルになる

これが

私がアイドルになると

初めて口にした日でした

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