PM8:30
文音
ありがとうございました〜
田沼
ありがとうございましたー
最後の客を見送り、扉を閉めた
田沼
今日は1日ありがとうね、水田さん
田沼
疲れたでしょう?
田沼さんが私にそう問いかけると、私の口は勝手に動いていた
文音
はい…やっぱりメイドカフェ勤務も大変ですね…
文音
ものすごく疲れました…
文音
まあ、でもなんだかんだいってクセ強客ばかりで見ていて楽しかったですね
そう答えると、田沼さんは嬉しそうにしていた
田沼
そう言ってくれて嬉しいわ…
帰り支度をしながら田沼さんの話を聞く
ものすごく慣れない環境なのになぜか落ち着く、不思議だ
田沼
良かったら今度は客としても来てみてほしいわ
田沼
きっと水田さんなら他のクセ強客に負けないわよ
文音
そ、そうですか…?
私がクセ強客?いや、こんな凡人がクセ強なわけない
学生時代はクラスではほぼ空気で連絡先も2人くらいとしか交換できていない
今もまだ陰キャの名残がはっきりと残ってしまっている
こんな空気みたいな存在がクセ強? いや、そんなわけないだろう
田沼
はい、これ
今日のお給料ね
今日のお給料ね
文音
ありがとうございます!
封筒に何枚も札が入っているのはすぐに分かった
田沼
じゃあ気をつけてねー
文音
はーい
少し寂しいが、店を出た
向かう先はただ一つ
我らの楽園【エデン】─────
キュインキュインキュインキュイン
うおよっしゃああああああああああ
文音
チッ…こっちさっきから全然当たんねぇっつーのに…
文音
隣ばっかり当たりやがって…
押せえええ!
文音
おらおらおらおらおらおらァァ!!
文音
チッまたハズレ…
ま、まあここまではまだ本気出してないから?
ココから本気出させて貰いまぁ〜す
文音
大丈夫大丈夫、まだあるまだある…
貰った封筒を漁る
しかし、手に触れるのはさっきまで札束が触れていた空気のみ
文音
は…?え…?
チッ…
15万全部溶かしちまったぜあああああああああああああああああああああああ
文音
はあ…またバイト探すか…
1日メイドカフェ店長をしたら変な客しかこなかった件 END







