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これは農達リージョンが、実達と出会う少し前のお話。

まだ変わらぬリージョン達の日常を語った前日譚である。

─────ここは上界。

日本の土地に根付く伝統を司る神である、リージョン達が住まう世界だ。

早速この世界に暮らすリージョン達の何気ない日々を覗いてみよう。

会議場

ここには6人のリージョン達が集められていた。

開口一番に訊いたのは宮城県の魚水 夏織(うおみず かおり)。

魚水 夏織

なしたって(どうして)突然あづめられだんだ?

それに答えたのは福岡県の福地 伎梅(ふくち あやめ)。

福地 伎梅

うちだって何も聞いとらん。

すると、部屋に誰かが入ってきた。

船渡 はこね

待たせたわね。

現れたのは、ここに東京を除く7大都市を集めた、神奈川県の船渡 はこね(ふなと はこね)だ。

船渡 はこね

今回は集まってくれてありがとう、皆。

煮雪 マタ

いいのよ、私達いつも暇なんだし。

そう言ったのは北海道の煮雪 マタ(にゆき また)。

厳島 美鳩

それで、なんでうちらを集めたん?

広島県の厳島 美鳩(いつくしま みはと)は早速本題について訊く。

そして、はこねは真顔で言った。

船渡 はこね

突然だけど、東と西に別れて戦をしてみたいの。

全員

………は?

堺 弥栄

待て待て待て!!突然何言ってんだお前?

尾張 あゆち

そうだって!頭おかしなったの!?

焦る大阪府の堺 弥栄(さかい やえ)と愛知県の尾張 あゆち(おわり あゆち)。

船渡 はこね

……23番、ちょっと言い過ぎじゃない?

尾張 あゆち

そりゃそうやろ!?

船渡 はこね

まぁ、私の言い方が悪かったわ。

船渡 はこね

東と西に別れて対決をしてみたいの。

厳島 美鳩

対決?

煮雪 マタ

というと?

船渡 はこね

皆暇でしょ?だから戦い合って盛り上げようと思って。

福地 伎梅

まぁ、よかばってん……、

福地 伎梅

あーた、裏があるんじゃなかと?そがんこと提案するタイプやなかやん。

堺 弥栄

確かに。

船渡 はこね

……ほんとに40番は鋭いわね。

福地 伎梅

経緯ば説明してくれん?

それは少し前のこと。

東京の部屋

この国の首都、東京都こと東野 京(ひがしの みやこ)は水晶を眺めていた。

その水晶は“龍の水晶”といい、日本の首都のリージョンが取り扱える権利を持つ。

東野 京

………。

すると、障子越しに声が聞こえた。

船渡 はこね

13番、入るよ?

船渡はこねが障子を開く。

ガラララ……。

船渡 はこね

また水晶見てるの?

東野 京

えぇ……。

東野 京

やはり下界の事が心配で…。

この水晶は現状の下界(人間世界)の様子を見ることが出来る。 そのため、京は昔から日本政府の様子や世論、大きな事件、他国との比較などの幅広い分野で日本を見ていた。

船渡 はこね

13番は心配性なんだから。

船渡 はこね

そんなに気にしてたら体に悪いよ。

東野 京

私は大丈夫ですよ。我々リージョンは人とは違いますから…。

東野 京

死ぬことだってほぼありませんし。

船渡 はこね

それはそうだけどさ…。

はこねは苦笑いで返す。

船渡 はこね

でも13番、ここ何年かは前よりずっと水晶の様子ばかり見てるじゃない。

船渡 はこね

たまには休んだ方がいいよ?

東野 京

でも、近年の日本は国内の政治的にも、国際的な立ち位置も、何もかもが危ういのです。

東野 京

もう二度と手遅れにはしたくない。だからちゃんと人間たちを監視しなければ…。

船渡 はこね

………。

船渡 はこね

(このままじゃ13番が精神的に追い込まれるかもしれない……。)

船渡 はこね

(どうにかして13番の意識を別のものに逸らさないと…。)

船渡 はこね

(でも、どうやって……?)

その時、はこねに名案が浮かんだ。

船渡 はこね

(そうだわ…!)

船渡 はこね

というわけでこの案を提示したのよ。

厳島 美鳩

そういうことね…。

魚水 夏織

おめが真顔で言うがら本気で戦するのがど思ったっちゃ!

船渡 はこね

それはごめん。

船渡 はこね

それで、皆……やってくれる?

煮雪 マタ

13番の為ならいいわよ!

厳島 美鳩

過度な攻撃がなしなら構わん。

福地 伎梅

いつも13番には助けられとるけんね。

魚水 夏織

おらも!

堺 弥栄

久しぶりに楽しめそうや!

尾張 あゆち

ほんなら決まりだがね。

船渡 はこね

ありがとう、皆。

船渡 はこね

じゃあ、詳しくルールを決めたらまた連絡するわ。

そうして皆は解散した。

続々と会議場を後にする。しかし1人、その場に残り、考え事をするリージョンがいた。

福地 伎梅

(ん……待てよ、何かが引っかかる……。)

福地 伎梅

(13番、あーたはなんで下界の様子ばずっと見とると?)

福地 伎梅

(なんで人間ば監視する必要があると?)

福地 伎梅

(……こいは調べてみる必要がありそうね。)

リージョン

土地に宿る伝統文化の神。日本の言霊信仰や八百万の神の信仰の一環で生まれた存在のひとつ。

リージョンは日本のような特殊な信仰下でしか生まれないため、国外には存在しない。

また、国や市町村規模のリージョンも存在しない。

その歴史は古く、弥生時代には既に大元となるリージョンは生まれていた。一昔前まではリージョンの事を伝統神と呼んでいた。

以前リージョンは下界に降りては人間と関わることもあったが、ここ100年程は全く下界に降りていない。

人間とは違い、死ぬことはほぼない。容姿も生まれた時と変わらない不老の存在だが、名前や服装、口調や能力などの多くの特徴が時代と共に変わることがある。

リージョンの姿は何故か10〜15歳ほどの年頃の娘しかいない。

一部の機能を除いては、人間と同じ仕組みで生きているため、疲労を感じたり、精神疾患で病む可能性もある。

軽い怪我から体がバラバラになるほどの人間では確実に死んでいる状態でも、しばらく経てば完治する。

しかし、人間と同じくらいの痛みは感じる。そのため、体がバラバラになるほどの大怪我をすれば、死ぬ以上の痛みを感じることになる。

人間はリージョンの命運を変えることが出来る。

晴れのち曇り、今日はケの日。〘リージョン改革 前日譚〙

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