テラーノベル
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僕は、気づいたときにはもうそこにいた。
暗くて、狭くて、生ぬるい。 僕は裸で浮かんでる。
たまにどこからか声がする。それは優しくてどこか懐かしい。
そして僕が、ここはどこなんだろうと思った瞬間に 足元から光が見える。
その光が来ると、僕は暴れる。光の中から出てくるものに抵抗するんだ。 でも無理やり何かが入ってきて、その瞬間酷い痛みに気をやられる。
そしてまた、気づけば 暗くて、狭くて、生ぬるいいつもの場所に浮かんでる。
痛みも何もなくなっている。だけど記憶だけは残ってて。
光の見える先に行きたいのに。行こうとしたら殺される。 これはもう何千回、何万回、何億回と繰り返し続けただろう。
これが無間地獄というものなんだろうか。
それでも繰り返していくうちに少しづつ、僕の気持ちは この意味の無い痛みや苦しみから『逃げたい』より 僕が何故ここにいて、ずっとこうなっているのかを『知りたい』に変わっていった。
しかし、ある時この地獄に終わりの鐘が鳴らされた。
その鐘を鳴らしたのは、僕を憐れんだ神様でもなく、閻魔様でもない
たった一人の小さな少女だった。