オレは信じていた。
あいつは絶対にオレを見捨てたりしないと。
たとえ粘着物質に引っかかっても。
なのに あいつは___ゴキ夫は
「俺も潰されたくないから」___そう言って、去って行った。
粘着物質まみれのオレを残して。
オレは見捨てられたんだ。
ここは 死後の世界と言うやつだ。
死んだら天国か地獄に直行する物と思っていたが、そうでもないらしい。
オレが今いる場所は控え室的な場所だ。
死んだ者はまず、大抽選会に参加させられる。
抽選で当たった者は、第2の人生を生きることが許される。いわゆる「転生」だ。
そしてなんと! オレは その抽選で見事当たった!!
オレは カサカサと地面を高速で這う。悲鳴をあげて飛びのく亡者たち。
オレ
オレ
オレ
係員は木の箱に右手を突っ込み、くじ引き宜しく紙片を掴み出した。
紙片を一瞥した係員は 何を思ったか吹き出した。
オレ
オレ
オレは首を捻りながらドアを開けた。
オレ
ドアの向こうは スーツ姿の人間がたくさん動き回っていた。
どこかのオフィスのようだ。
一体何の? 周りを見渡したオレは信じられ無い物を目にした。
オフィスの壁に飾られた額縁の文字には墨でデカデカと
ゴキブリ撲滅!
世界一の殺虫剤を!!
オレ
「御気太(ゴキタ)!サボってんじゃねえ!」
「ゴキブリ撲滅の為に頭を働かせねえか!」
どうやらオレは殺虫剤を扱う会社員に転生したようだ。
前世はゴキブリだったオレが!
オレを裏切ったあいつはゴキブリ。 今のオレはそんな奴らを撲滅する会社員。
オレは オレは
「御気太!早く働け!」
オレ
オレはこの会社に全てを捧げる!
さてこれからどうしよう
コメント
6件
まさか、こんな形で物語が続くとは···!!(笑)
おぉ…! (´^ω^`)ブフォwww
なんという皮肉... どんな人生を歩んでいくのか気になります✨