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夏の煙

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夏の煙

2 - 乾いた咳をする男

♥

6

2021年08月28日

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うぁ

夏の朝は呻きから始まる

あいつの話本当だったのか

ん?待てよ 味が2種類? 価格が550円? 全種類8ミリ?

おかしい、全てが合わない 俺はまた分からなくなった

しかし、深く考える余裕はない 二日酔いに夏の暑さが 追い討ちを掛ける。

ひと口の水が飲みたい

家に居ると心が廃れて行く気がした どこかへ行こう

俺の1番の話し相手 仕事の事や腹が立った時 こいつに愚痴をこぼす。

俺は運転が好きだ 何を考える訳でもない 自分の世界がここには在る

長渕剛の JEEP を流した

俺は26だが古い歌が好きだ 昔の歌には深みがある それはロックにしてもポップ でも同じ事が言える

昨日の飲み会でこう語ると 冷笑された。

昨日、苛立っていた原因はコレだった 思い出し笑いと共に 煙草に火をつけた

しばらく辺りを流した 変わらぬ街の風景

運動会でもないのに 道で競走が始まる小学生

やはり俺はこの街が好きだ そう思い 三本目の煙草を吸った

オレンジ色に包まれた 俺を赤信号が捕まえる

ふと、歩道を見ると 乾いた咳をする男が 立っていた

その男は俺をじっと見る 俺は堪らず口火を切った。

おじさん、どうしたの?

乾いた咳をする男

ちょっといいかね
あんたに話があるんだ。
ゴホッ

俺はあんたに話はないがな

もしかしたら竜崎と 繋がっているのかもしれない 話を聞く価値はある

乾いた咳をする男

そうかい。

おい!ちょっと待ってくれ

どこかに車を停めてくる

そう言うと男はニヤリと笑った

後続車がクラクションを鳴らした 信号はいつの間にか青になった

クラクションと煙草の灰が 長く伸びていた。

乾いた咳をする男

おい、こっちだ

乾いた咳をする男

もっと早く歩けねぇのか愚図が

さっきとは口調がまるで違う。 咳も出ていない 慎重に話を進めよう。

あんたは誰なんだ?

なぜ俺を知っている?

乾いた咳をする男

俺は早川だ

早川

それは今は言えない。

どういう意味だ?

早川

今は言えん。
言葉が分からねぇか?

早川

解らせてやってもいいんだぜ?

遠慮しておくよ

早川

それでいいんだ

要件を聞こうか?

これ以上、回りくどい話をして 煙に巻くのは逆効果だ

こういう奴には単刀直入が一番効く

早川

仕事をしてもらいたい

仕事?

早川

あぁ、
なに難しい話ではない

早川

街のハンパな奴を始末するだけだ

バカバカしい
第一、俺は今働いてる

早川

あーそれか
ほら、これ見ろ

………

俺は言葉を失った

解雇通知書が俺の前に 放り投げられた

何度もその書面を見た 確かに俺の会社の 社長の名前と印が在った。

目の前がぐらりと歪んだ 腰から砕けて アスファルトに座り込んだ

暫く経って早川がこう答えた

早川

そう落ち込むな

早川

俺はお前のとこの社長と
繋がりがあってな

早川

今日ここで渡せと頼まれた
それがあの人の意向だ。

冗談じゃねぇ

お前何を企んでる?

早川

そう深読みするな

早川

お前は俺の仕事を手伝えばいい

やる訳ねぇだろ

新しい職を探す

早川

腰が抜けてる奴が言うには
強い台詞だな

痛いとこを突いてきやがる

早川

なら、こう言うとどうだ?

早川

俺はお前の親父は生きている。

なに?

ブルーになった俺の心に 朱色の雫が落ちた

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