木の葉が擦れる音。
微かに聞こえる蝉の声。
風鈴の音。
道端に小さく咲く花。
誰かの笑い声。
僕を照らす、橙色の光。
僕の太陽だった彼は、少し前に、遠い場所へ行ってしまった。
もう、会えない君。
でも、もしかしたら。
そう思いながら、君を想った。
青橙 「なつのはじまり、きみとさよなら。」
13年前
女の子1
青
女の子1
青
青
女の子1
青
女の子1
青
女の子2
女の子1
女の子2
女の子2
女の子1
女の子2
女の子1
青
先生
先生
女の子2
先生
女の子2
先生
青
女の子1
青
女の子3
男の子1
先生
青
先生
青
青
その時は、ただひとりで遊びたかっただけだった。
でも、「優しい言い方」というのが分からなかった。
だから、きつい言葉で言ってしまって。
みんなから責められた時は、なんでそこまでするのかもわからなかった。
その時から、周りの人から注目されることが苦手になった。
たぶん、トラウマっていうものになった。
その出来事からしばらくの間、僕はちょっとしたいじめにあった。
ものを隠されたり、仲間外れにされたり。
よくあるいじめだった。
でも、結構辛かった。
そのせいかもしれないけど、
人と話すことも苦手になった。
それから、8年の時が経ち…
先生
先生
先生
青
青
みんなの視線が、僕に集まっている。
青
青
青
青
みんなに気付かれないように、自分の胸を叩き、深呼吸する。
青
青
先生
青
先生
先生が、どこか残念そうな顔をする。
先生
青
女子生徒1
女子生徒2
青
青
そう思いながら、自分の席に戻った時。
トントン
ふいに、右隣から肩を叩かれた。
少しぎょっとして右を向くと。
男子生徒
青
橙色の髪で、緑色の目をした男子生徒がいた。
男子生徒
青
青
青
男子生徒
謎に僕の心の中を探ろうとしてくる。
青
青
男子生徒
青
少し話している間にも、自己紹介は進んでいたらしく。
先生
橙
橙という名前が呼ばれた後、すぐに右隣の席の男子生徒が立ち上がった。
青
隣の席の男子生徒__橙は、緊張した素振りなど全く見せずに、
橙
橙
そう自己紹介した。
途端に、今まで全く聞こえなかった拍手が沸き起こる。
みんなが手を叩く中、僕はひとりだけ、ぽかんとしたまま彼を見つめていた。
青
青
青
みんなの前で、彼みたいに話す自分を想像していた時。
橙
橙
青
青
青
橙
橙
青
青
橙
青
咄嗟に聞かれて、思わず心の声をそのまま言ってしまった。
青
橙
橙
橙
青
橙
青
青
青
青
全員
青
青
橙
青
青
__こうして、僕は橙くんと会った。
次の日
橙
青
橙
青
青
橙
青
橙
青
橙
また次の日
橙
青
橙
そう言いながら、橙くんは僕の肩に手を回してきた。
青
橙
1週間後
青
橙
青
橙
青
青
橙
青
橙
青
橙
青
青
最初のうちはちょっとめんどくさい奴だと思ってた。
けれど______
1年後
橙
青
青
青
橙
橙
青
青
橙
青
橙
橙
青
青
橙
橙
青
橙
青
橙
橙
橙
青
橙
青
1年後には、お互いに「青ちゃん」、「橙くん」と呼び合う仲になっていた。
出会った日から、1年間だけでも、橙くんと色んなことがあった。
まず最初に、意外と良い奴だったってこと。
僕がうまく喋れなくても、ちゃんと言葉にするまで待ってくれたり。
僕が人と話すことが苦手になった理由も、ちゃんと受け止めてくれたり。
橙くんはどう思っているか分からないけど、僕は親友だと思っている。
小説とかだと、『僕は、おかげで〇〇が平気になった…』とか来るけど…
ほんとに、そんな感じだった。
大勢の人の前で話すこと、人と話すことが苦手ではなくなった。
まぁ、ちっちゃい頃は近所の子とよく遊んでたし。
遊ばなくなったのは、小学校に上がってからだった。
橙
橙
青
橙
青
橙
橙
青
橙
青
先生
先生
女子生徒
先生
男子生徒
青
橙
青
橙
青
青
先生
青
青
青
男子生徒
青
青
女子生徒
先生
橙
青
橙
青
…こんな日が、ずっと続くと思ってた。
でも、やっぱり『別れ』という言葉は消えなくて…
さらに1年後
先生
先生
青
女子生徒1
女子生徒2
全員
先生
先生
青
青
青
…珍しく、橙くんが休みだった。
今までずっと、休まなかった橙くんが。
その時僕らはもう高校3年生で…
みんな、志望校に入るために、受験勉強に必死だった。
橙くんも、その一人で。
他の人より何倍も頑張っていた。
青
その日はちょうど、スマホを忘れてしまっていた。
だから、直接会って話を聞く以外、理由を聞く方法は無かった。
一度家に帰って連絡するっていう方法もあったけれど、その考えは無かった。
男子生徒
青
青
男子生徒
男子生徒
青
青
ピンポーン
橙母
橙母
青
青
橙母
橙母
青
そういうと、橙くんのお母さんは一度家の中に消えた。
しばらくの間、外で待っていた。
暑い夏の日だった。
橙母
橙母
青
橙母
そう言って、橙くんのお母さんは、僕を家の中に招き入れた。
そのまま、橙くんの部屋に通された。
青
青
橙
___僕を呼ぶ声は、酷くかすれていた。
青
よく見ると、目元が赤く腫れていた。
橙
転校することになったねん…
青
橙
橙
青
青
夏休みが始まるのは、7月21日。
橙くんの誕生日の、1週間前だった。
橙
橙くんは、寂しさを隠すように笑ってみせた。
でも、声はかすれていて。
青
橙
橙
青
7月の、上旬に起きた事だった。
悲しかった。
あとちょっとしか一緒にいられないなんて。
青
青
青
最後に泣いたのは、2年前。
橙くんに、過去の話をした時の事だった。
2年前
青
橙
青
橙
青
青
青
青
青
青
橙
橙
青
橙
橙
青
青
橙くんが、僕の頭を撫でていた。
青
橙
青
青
青
橙
青
青
結局、その日の夜は全く眠れなかった。
青
今度は僕が休んだ。
次の日
橙
青
橙
その時は、そのぎこちなさが、何となく嫌だった。
その後は確か、今まで以上に遊びまくってた。
どうせなら、今までやってこなかったこと全部やってやろうと思って。
やりたかったことを全部やって、学期の最後の頃には、お互い疲れてた。
そして、ついに____
別れの日が、やってきた。
橙
青
引っ越しのトラックが、どんどん荷物を積み込んでいく。
橙母
橙
橙
また、いつか
青
橙
青
その時、橙くんの頬に、一筋の雫が流れた。
橙くんが、僕に初めて見せたものだった。
橙
橙くんが、静かに手を振った。
僕は、その倍に手を振ってやった。
なつのはじまり、きみとさよなら。
橙くんを乗せた車が、だんだん小さくなって、見えなくなるまで手を振った。
それから、僕は大人になって、配信者になった。
きっかけは、紫さんという人から誘われたこと。
そこから、『歌い手グループ』というものになって___
今日は、メンバーがひとりずつ、自己紹介をする日だった。
青
紫
青
みんなの声を聞いて、なんとか覚えようと頑張った。
紫
紫
橙
昔にも聴いたことがある、懐かしい声だった。
コメント
22件
続きってありますか?