いつもと変わらない日常
何気ない会話
毎日出会う友人
どれも永遠と続くものだと思っていた
だけど
そんなものは脆く
そして後戻りは
決してできないものだ
彼はたった一日で僕の隣から消え去った
これは7年前の…
僕らが学生だった頃のお話
ガタン
ガタンガタンゴトン
ほとけ
学校の通勤
いつもと変わらない
僕が乗り
そして彼と出会う
ガタンゴトン
音を崩すことなく
一定のリズムで走り続ける
この電車もいつもと変わらない
僕はなぜかこの時間がとても長くそして無音に感じる
次は〇〇〜〇〇です
ほとけ
いつも彼が待っている駅だ
プシューーー
ドアが開く
それと同時に彼が僕に近づいてくる
目の前に人影が現れた
顔をあげると…
初兎
ほとけ
さっきまで無音だった空間が一気に明るくなる
自然に笑えて
何より楽しい
初兎
ほとけ
初兎
何気ない会話
僕に取ってはこの時間が何よりも幸せだった
ほとけ
ほとけ
いつも通り学校に着き
いつも通りの授業をした
何気ない日常
いつもと変わらないこの日々を
僕は気ままに過ごした
……いや過ごしていた
2時限目を終え休み時間に突然起こった
パリーン!!
4階からガラスの割れる音がした
しかも結構大きめの
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
先生
先生が半ギレで4階を見に行こうとした
その時
キャァァァァァァァァァァァ!!!!
その次に何発かの銃声音が聞こえた
バンッババンッバンッ
ほとけ
先生
初兎
クラスメイト
女教師の悲鳴が聞こえた
クラスメイト
全員がパニック状態になっている
全員が一斉に騒ぎ先生の指示が聞こえない
その時放送が流れた
不審者が現れました。直ちに校舎から出なさい
ここは2階
今すぐ走って逃げればまだバレずに逃げることができる
でも急がないともう手遅れになる
先生
その一声で全員が一斉に外に出ようとする
僕はその反動で後ろに押された
ほとけ
みんなが走って1階に向かった
追いかける暇もなく上から足音が聞こえる
不審者だ……!!
僕はとっさにロッカーに隠れた
そっちにはいたか!
こっちにはいなかった!そっちはどうだ?
こっちもだめだ。もう逃げられたのかもしれないな。
〜〜〜〜〜〜〜。
〜〜〜〜〜!〜〜〜〜〜〜〜。
不審者の話し声
周りは何も見えず
僕の周りは真っ暗
暗闇の恐怖と外で何が起きているか何もわからない恐怖
体の震えが止まらなかった
ほとけ
見つかったらどうしよう
追い詰められたらどうしよう
考えただけで余計震えが止まらない
恐怖で息が荒くなる
ほとけ
ほとけ
耐えきれず涙が溢れてきた
だんだんとあいつらの足音が遠くなる
行った…?
ほとけ
不審者が離れたことで緊張が解けホッとしたのか
涙が溢れた
ポロポロ、ポロポロと溢れてくる
止まらない
止まらない
止めたくても止まらない
僕は泣き続けた
どうやら不審者が現れたらしい
俺は担任からの指示で校舎から逃げている
泣いている者もいれば顔が青ざめ今にも倒れそうな者もいる
俺はどちらかといえば後ろの方で
全員いるか確認しながら走っていた
初兎
初兎
……え?イムくん……?
初兎
イムくんが教室に取り残されたかもしれない
初兎
ダッダッダッダッダッダッ
気づいたときにはもう体が動いていた
クラスメイト
先生
クラスメイト
初兎
俺は担任やクラスメイトの声を無視してイムくんを探しに行った
幸い不審者は反対側の階段から降りたらしく俺は見つからずに自分たちの教室に行くことができた
初兎
だれも………いない?
イムくんももう逃げたのかな…?
グスッ……ヒクッ……
初兎
うぅ……グスッ
初兎
俺は泣き声のするロッカーに近づいていった
僕は不審者が離れてからずっと泣いていた
泣きたくなくても涙が溢れて
ほとけ
止めたくても止めれなくて
泣き続けたせいかだんだん頭が痛くなる
誰か………早く助けにきて……!
カツッ
ほとけ
足……音…?
カツッカツッ
どんどん近づいてくる
ほとけ
カツッカツッカツッ
バレた…?バレた…?バレた…?
なんで…??
音立ててないのに…?
ほとけ
ガチャッ!!!
ガチャッ!!!
ほとけ
…………………?
襲って…………来ない……???
初兎
しょ………ぉ……さん…………????
しょうさん…?
なんで…?なんで…?
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
立ち上がろうとしたその瞬間
足音がした
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
初兎
突然初兎ちゃんが黙り込んだ
ほとけ
初兎
喋りだしたかと思えばすごく真剣な顔をしていた
いつも名前を呼ばれているのに今はすごく緊張感を感じる
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
ほとけ
ほとけ
初兎
初兎
ガシッ
ほとけ
初兎
初兎
初兎
ほとけ
初兎
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
その眼差しは真剣そのものだった
ほとけ
初兎
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
僕は小指を初兎ちゃんの小指に絡ませた
すると初兎ちゃんも絡み返してくれた
初兎
ほとけ
ゆーびきった
初兎
ほとけ
初兎
ほとけ
ダッダッダッダッダッダッ
初兎ちゃんが走っていった
僕も生き延びるために走った
走り続けた
初兎ちゃんとの約束を破らないためにも
走って
走って
走り続けた
気づいた時にはもう出口だった
ほとけ
校庭にクラスメイト他にも全校生徒がいた
先生
先生
ほとけ
クラスメイト
クラスメイト
ほとけ
ほとけ
ギュウッ
ほとけ
クラスメイト
クラスメイト
先生
ほとけ
みんな…………無事で…良かったぁ……
しょうちゃん………そろそろ帰ってきたかな…?
ほとけ
クラスメイト
ほとけ
ほとけ
クラスメイト
ほとけ
先生
クラスメイト
先生
先生
クラスメイト
先生
クラスメイト
それから僕はクラスメイトに家まで連れてもらったらしい
校舎から出てからの記憶が無く
思い出そうとしても思い出せない
初兎ちゃんと約束をしてから
出口まで走り続けたところまでしか思い出せない
一体何があったのだろう…
そして僕はいつものように電車に乗っていた
次は〇〇〜〇〇です
ほとけ
初兎ちゃんがいつも待っている駅だ
…………………?
あれ?
来ない?
ほとけ
ほとけ
僕はそう思い込んで学校に行った
学校に着いて初兎ちゃんを待つ
来ない
……来ない
……もうそろそろ遅刻になっちゃうよ?
いくら待っても来なかった
ガラガラガラガラ
ほとけ
なんかいつもより深刻な表情をしている気がする
どうしたんだろう…?
先生
クラスメイト
クラスメイト
ざわざわ
ざわざわ
先生
その一言でクラスの雰囲気が重たくなった
先生
先生
初兎くんが…入っていた。
ほとけ
その一言を聞いた途端
周りの
人の声
風の音
足音
全てが無音になり
時が止まったような感覚に陥った
ほとけ
先生
ほとけ
先生
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
ほとけ
ほとけ
ほとけ
その日はクラス全員で泣いた
泣き続けた
授業をやる余裕も無ないほど泣き続けた
それから1年後
僕は高校を卒業し大学生になった
いままで住んでいた街から離れ
あの思い出の詰まった電車も乗ることはなくなった
だけど一年に一度
あの事件が起きた日に僕はその電車にのり
花のお供えに行くことにした
今日がその日
僕はいま住んでいる家から近い駅もあるのだが
僕は学生のとき毎日乗っていた駅から乗った
ほとけ
ガタン
ガタンゴトン
この揺れ、音、景色
全てが懐かしかった
次は〇〇〜〇〇です
ほとけ
初兎ちゃんがいつも待っている駅だ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
彼に会い
そしていつものように笑いかける
今までとなにも変わらない
いつも通りの日常だ
今までも…………この先も………………
𝑒𝑛𝑑
コメント
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……神ですか? いや、神ですね……( ◜௰◝ )目から水が止まりません