シン
あなたが坂下さんですね
坂下
きみは…?
シン
僕は間宮シンといいます
シン
城岩中学校の生徒で、あなたの後輩です
坂下
はあ…
シン
そして、上野先生の親戚でもあります
坂下
…………
坂下
それで、俺に何の用?
シン
単刀直入に訊きます
シン
なぜ井上さんに嫌がらせをするのですか
坂下
……っ
坂下
何のことだか、わからないな
シン
とぼけてもムダですよ
シン
あなたのやっていたこと、すべて見ていましたから
坂下
目的は何だ?
坂下
まさか俺をゆする気か?
シン
違います
シン
あなたを止めるために来ました
シン
それが先生の望みだったから
坂下
くだらないっ
坂下
知ったような口を利くなっ
シン
いえ、実際に知っているんです
シン
先生から、何度も井上さんやあなたのことを聞きましたから
シン
井上さんが先に告白して
シン
あなたはそのすぐ後に告白した
シン
先生は迷いつつも
シン
先に告白してきた井上さんと交際するようになった
坂下
そこまで、知ってるのか…
シン
あなたは、今も先生のことを忘れられないでいる
シン
だから、タイムカプセルからあんな手紙が出てきて
シン
復讐しているんでしょう?
坂下
ああ、そうだよ
坂下
誰があんなことをしたか知らないけど
坂下
何の目的もなく、手紙をすり替えるわけがない
坂下
だから、井上を問い質したんだ
坂下
本当に井上が先生を殺したのかって
坂下
あいつは否定していたけど
坂下
歯切れの悪い答え方だった
坂下
後ろ暗いことがある証拠だよ
坂下
きっと、直接手を下していないにしても
坂下
先生の死にあいつは関わっているんだ
坂下
だから、俺は復讐している
坂下
先生の無念を晴らすために
シン
そういうことだったんですね
シン
先生は生前、こう言っていました
シン
「井上くんと坂下くん」
シン
「彼らが真っ当な道に進めますように」って
坂下
どういうことだ?
シン
先生は事故死する前にも
シン
あなたたちのことを気にかけていたんです
シン
私のせいで、普通の恋愛ができなくなっていたらどうしようって
坂下
…………
上野先生
あの…そんなこと言ってないけど…
トウコ
先生、静かに
上野先生
どうせ聞こえないじゃない
上野先生
それに、目の前で嘘を言われると…
上野先生
ちょっと居心地が悪いというか…
トウコ
お気持ちはわかりますけど
トウコ
今は坂下さんを説得するための重要なときなんです
トウコ
シンの気を散らさないようにしなきゃ
上野先生
はーい…
シン
ええと…
シン
とにかく、先生は復讐を望んでいません
シン
だって、先生の死は間違いなく事故なんですから
坂下
タイムカプセルから出てきた手紙については?
坂下
先生の筆跡で、「私は、井上くんにころされた」ってあったんだ
坂下
あれをどう説明するんだよ
シン
それについても、先生から聞いています
シン
あの手紙の意味は…
シン
…という事です
坂下
そういう意味だったのか…
坂下
先生は、すべてお見通しだったというわけか
坂下
やっぱり、先生はすごいな…
坂下
それに比べて、俺は…
坂下
ずっと先生の幻影を追ったまま
坂下
全然成長することなくここまで来てしまった
坂下
それに、見当違いな復讐までして…
坂下
俺、最低だな…
上野先生
坂下くん…
上野先生
そこまで私のことを想ってくれてたんだ…
上野先生
もし、もしも…
上野先生
井上くんじゃなくて、坂下くんと付き合っていたら
上野先生
私、こうはならなかったのかな…
トウコ
…………
上野先生
ま、今さらだけどね
上野先生
でも、嬉しいな
上野先生
私のこと、ここまで想ってくれる人がいたんだから
坂下
ありがとうな、きみ
坂下
おかげでこれ以上罪を重ねることはなくなった
坂下
まずは、井上に謝らないとな
坂下
警察に突き出されるかもしれないけど
坂下
それも仕方ない
シン
そうですね…
坂下
その前に、先生のお墓に行ってくるよ
坂下
見当違いなことをしてごめんなさいって
坂下
きっと届かないだろうけど…
坂下
今度こそ、先生の望んだとおり
坂下
真っ当に生きようと思う
上野先生
坂下くん…
上野先生
聞こえてるよ
上野先生
そうだね、真っ当に生きて
上野先生
そして来世があるのなら
上野先生
今度は、良い巡り合わせになるといいね
先生は坂下の隣に立ち、彼の手に触れた。
生身の人間と幽霊、手をつなぐことはできないが
それでも先生は嬉しそうだった。
先生は満足げに微笑み
やがて消えていった。
次回5話は明日5月7日(火)の16:00に更新!







