結局俺の後ろの席だったそいつ―石蕗茉冬(つわぶき まふゆ)は、何故か俺によく懐いた。
人懐っこいのかと思ったが、クラスの中では目立つ存在ではなく、俺の他に仲の良さそうな友達もいないようだった。
…いや別に?俺だって仲良いわけじゃないけど?? 勝手に懐かれてるだけだけど???
…だけど―
石蕗 茉冬
毎日、大切そうに、優しく俺を呼ぶ声に、俺は小さな幸せを感じている。
石蕗 茉冬
椿生 朔
石蕗 茉冬
椿生 朔
石蕗 茉冬
石蕗 茉冬
椿生 朔
石蕗 茉冬
…いやお前が言うか。
文化祭か…
ここの高校は珍しく毎年行われているけど、そういう行事にも全力で挑んできたことがない俺にはまあ関係の無いことだった。
椿生 朔
石蕗 茉冬
椿生 朔
石蕗 茉冬
うわ、ますます俺には関係ないような企画だな…
椿生 朔
高校生にはかなりウケそうだな…とぼんやり考えていると、唐突に茉冬は言った。
石蕗 茉冬
椿生 朔
椿生 朔
石蕗 茉冬
いや女の子はわかるよ男女逆転なんだから…ってそんなことはどうでもいい。
椿生 朔
石蕗 茉冬
石蕗 茉冬
目立つ存在じゃないと思っていたけど、やっぱりイケメンだってことは周りも認識あったんだな…と、冷静に思ってしまった。
椿生 朔
馬鹿なのか。なんでこんなこと聞いてんだ俺は。別に誰だっていいだろ。
石蕗 茉冬
椿生 朔
東城 真緒…学年でも有数のいわゆるイケメン女子。クラス委員長を務めており、多分こちらも女子のファンが推したのだと思う。
石蕗 茉冬
椿生 朔
なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えながら、俺はいつもの帰り道を後にした。