今日
母さんが死んだ
父さんに殺された
酒に溺れた父さんは
逮捕されてからもずっと
「俺じゃない、俺は悪くない」
って言い続けてるらしい
そんなの許されるの?
母さん…
会いたいよ…
母さんの血が染み付いた家には帰りたくない。
そんな思いからか、私はずっと外で生活するようになった。
澪
寒いな…
もう11月も終わる頃。 町はライトアップの準備が進んで、 明るかったり暗かったり。
「こんな不ぞろいな時期の方が、 ピカピカなクリスマスなんかより ずっと素敵じゃない?」
母さんはそんなことをよく言っていた
お葬式をあげることも出来ず、私は 小さなお墓を路地裏につくっていた。
澪
母さん、寒いね。ごめんね。
お墓と言っても頑張ってキレイに 磨いただけの大きな石。
でも、それが唯一と言っていい 心の支えになっていた。
澪
ん、なにこれ。
母さんの「お墓」の隣に 何か落ちている。
澪
羽根ペン…?
昔の映画とかに出てくるような、 万年筆の頭に羽が着いたペン。
澪
母さんからの贈り物…の訳ないか。
澪
…
でもやっぱり気になって、結局持って家に向かうことにした。
何か母さんの書きかけのものがあるんじゃないかって思ったから。