春海暗
春海暗
春海暗
春海暗
そこを踏まえてご覧下さい!
春海暗
プルルルルルッ…
夜中。みんなが寝静まる頃
電話がかかってくる
いふ
「〜…♪」
君の声と共に聞こえる音色
こんな時間に普通に会いに行くなんて許されないことだ。 でも 君が電話をかけてくれれば 許されるから。
今日も、君からの電話を待つ
ないこ
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
ないこ
ないこ
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
ないこ
さっき、君から電話がきた
「今日も来れる?」
美しい音色と共に聞こえる 優しい声
「すぐ行く」
それだけ言うと 電話を切った
いふ
俺が声をかける前に 気づかれる
いつもだ。君はいつも 俺にすぐ気づく
ないこ
君の手が美しい音色を奏でる
傍に座って じっと聞いていた
ないこ
いふ
手を止めずに話す君 ずっと鍵盤から目は離さなかった
ないこ
ないこ
ないこ
いふ
いふ
ないこ
ないこ
いふ
音色にのって君の声は 美しく聞こえる
鍵盤を見る目は 悲しそうだった
いふ
ないこ
流石に親が心配するだろうと 君と決めた約束の時間
夢のような時間が 覚める時
いふ
いふ
ないこ
くるっと、君に背中を向ける
「帰りたくない」 そう言いたくても 言えなかった
美しい音色が響き渡る中 一気に身体が重くなった
ドコッ…バキッ…
ないこ
成績を落とした
なら、されることは1つ 殴られる
完璧になりなさいって 怒られる
ないこ
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
ないこ
謝り続けて 返事だけして
もう、疲れた
プルルルルルッ…
ないこ
君からの電話
親にバレないように 静かに応答する
「〜…♪」
いふ
プツリと切れた電話 いや、切った
いつもは美しく聞こえる音色が 今日はやけに悲しく聞こえた
あいにく、親は家事やなんやらで気づいていない
俺はこっそり 君に会いに行った
いふ
ないこ
いふ
音色を奏でる手は止めない。
でも今日は片手だけ広げてくれた
いふ
ないこ
ゆっくりと君の傍に行く。 そっと抱きしめられた
いふ
ないこ
ないこ
ないこ
叶うはずのないことを 口にする
君は 奏でながら 俺を撫でた
いふ
ないこ
いふ
初めて、目が合った
吸い込まれるように その瞳を見つめる。
チュッ…
優しく唇を塞がれた
舌で弄ばれて いくつかの塊が 喉を通って
より鮮明に 君の音色が聞こえた
ないこ
唇が離れると 自然と涙が出てくる
もう、時間だ 君と約束した時間
いふ
ないこ
ないこ
初めて、我儘を言った
でも君は 受け入れるように 俺を腕の中に抱いた
いふ
いふ
ないこ
君の腕の中 美しく音色と 優しい声が すぐ近くにある
瞼が重くなってきた
深く…深く… 音色が響く 眠りに…夢に 落ちていく
夢のような時間に 溺れていった
いふ
腕の中で眠る君
部屋中に 俺の音色が響く
ないこ
いふ
いふ
俺の音色に溺れて
深く…深く… 音色で不安がかき消されるくらい ずっと…
いふ