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希死念慮

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希死念慮

1 - 希死念慮

♥

150

2020年07月19日

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こんばんは

僕のお話を少しだけ

聞いて欲しいんだ

……いい、かな?

あっ、僕の名前はキシ

じゃあ話始めるね

僕には

生きた家族が居たんだ

とても楽しかった

仲良く共に食事をして

休日では遊びに行って

僕の夢をバカにしなかった

そんなある日、弟が

行方不明となった

その日は僕の誕生日だった

僕たち家族は

探しまくった

探して探して探して

…………

なのに見つからなかったんだ

なんでだ?

誘拐されてるのなら

電話が来る、金が目的なのかもしれない

なのに、電話も来なければ

弟が見つからないんだ

キシ

お母、さん

お母さんはある日から

おかしくなったのだ__

息を荒くして

何かを吸っているところを

見てしまった

時と場合によって違った

煙が出る、細い棒を吸っていた

お菓子のようだった

僕は、1度だけ1度だけ

お母さんに聞いたことがあった

___________

キシ

それ……なぁに?

そう聞くと

…少しだけ、少しだけ

楽になれるのものだよ

母は辛そうに笑って

白い粉とその細い棒を

集めて、僕の前で捨てたんだ

キシ

…楽になれるんじゃないの?

そう聞くと…

……お母さんが

こんなのでごめんね

そう言って、右目から涙を

流して、両目から流していた

あまりにも辛そうに悲しそうに

泣くもんだから

僕まで辛くなり、泣いてしまった

お母さんは足に力が入らなくなり

ストン、としゃがんでいた

僕は、お母さんの背中を擦りながら

静かに涙を流していた

───────────

その日の、翌日…だったかな

……

お母さんは腹から血を流して

車に轢かれたんだ

その時は狂ってしまいそうだった

僕が、楽になるものを

捨てるようなことを言ったから

弟がいなくなったせいで

きっとぼーっとしていたんだろう

四人家族は2人家族になった

僕が中学校から帰っても

誰も出向くれてこなかった

「失って気づく」

この言葉は僕を表してるのかな

当たり前だったんだから、無視していればよかった

僕はそんな気持ちを忘れたかった

その一心で友どちと遊んでいた

公園でブランコに乗っていると

ベンチに座るサラリーマンが居た

涙を流していた

何故か「助けたい」と思い

声をかけ、顔を上げると……

見覚えのある顔だった

キシ

……?

だけど思い出せない

…どこかで会ったのだろうか

…お留守番しとけ、っつったろ

声を聞いて気づいた

お父さんだった

こんなに太っていただろうか

僕は弟が亡くなってから

違う、いなくなってから

お父さんの顔を見た事がなかった

やく3年ほどだろう

気づけば僕は中学三年生だった

電話でしか話さなくて

声しか知らなかったんだ

お父さん……

うぜぇんだよ…失せろ

その声はとても低くて

僕は「ごめんなさい」と

謝って、友達にも謝って

家に帰った

10時間ほどだったあと

お父さんが帰ってきた

僕はもう眠れない

眠る怖さに気づいてしまった

そしたらお父さんは

僕を殴ったのだ

キシ

ッいた……

痩せ細ったからだの僕

太ったからだのお父さん

何もかも変わってしまった

お前が悪いんだよ……

“アイツ”みてぇな顔しやがって!

アイツ……?

そう思うと、顔面を殴られた

キシ

ッいたいよ、いたいよお父さん…

もしかして、弟のことだろうか

兄弟なんだから似ている

当たり前。

二度と俺に気持ちわりぃ顔を

見せるんじゃねぇぞ

…な、んで……

僕はお父さんの横を通って

家を出ていった

空は明るくなってきていた

僕はひたすらに走った

そこで初めて

生きているんだ、と思い

“あそこ”に行くのは辞めたんだ

キシ

あッ……

キシ

もう帰らないと…

僕は5時のチャイムで気づいた

キシ

ごめんね……

キシ

…また、ね

「またね」

たったその一言を言うの

喉が酷く焼けるように痛くなった

この作品はいかがでしたか?

150

コメント

11

ユーザー

その…希死念慮ってどういうものなんですかね…( (場違いで申し訳ないです、初コメ失礼します🙇)

ユーザー

主人公の名前をずっと「キジ」と読んでた僕はきっと桃太郎が読みたいんだろう←

ユーザー

キシ 藤井聡太の葬儀トレーニング♪。.:*・゜♪。.:*・゜

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