テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ある日、家に帰ると、両親がリビングで倒れていた。 ありえない量の血を流しながら。 その真ん中に、見たことのない男が立っていた。 両親を殺された。それを見た瞬間、私の胸を占めたのは、悲しみではなかった。 心の底からの、深い、深い「安堵」だった。
幼い頃、両親は私にとても優しかった。私も二人が大好きだった。 昔、お父さんに仕事について尋ねたとき、お父さんは優しく笑って言った。
るなの父親
幼かった私は意味が分からなかったけれど、なんだか誇らしかったのを覚えている。
けれど、数年前――たまたまお父さんのパソコンを開いてしまったあの日、私の世界は地獄に変わった。 画面に映っていたのは、異能力者の感情を殺し、人間兵器にするための残酷な人体実験の映像だった。 泣き叫ぶ子供たち。冷酷にデータを取る両親。 ――ゴミを、改良している。 あの言葉の本当の意味を理解した瞬間、猛烈な吐き気が私を襲った。 それからは、優しく微笑みかけてくる両親の顔を見るだけで、吐き気がした。 なるべく関わらないように。早く自立して、この家を出よう。 そう決めて必死に生きていたある日、最悪の事態が起きた。 私にも、異能力が発現してしまったのだ。
水瀬涼香
それからの毎日、心休まる日なんて一瞬もなかった。 親の目を盗み、能力を必死に隠し、怯えながら今日まで生きてきた。
――そして今、目の前で、その両親が血の海に沈んでいる。 男は、リビングの入り口に立ち尽くす私に気づくと、わずかに身をひるがえした。姿を消すつもりだ――そう悟った瞬間、気づけば声が出ていた。
水瀬涼香
男の足が、止まった。 振り返った目に、警戒と、わずかな苛立ちが浮かんでいる。値踏みするように、男は低く言った。
???
その言葉に、迷いはなかった。 目の前には、両親の亡骸。手にはまだ乾いていない血の匂いが漂っている。普通なら、悲鳴を上げて逃げ出す場面のはずだ。 けれど私は、男の目をまっすぐに見て、はっきりと答えた。
水瀬涼香
男は少しの間、値踏みするように私を見つめていた。本来なら、目撃者として片付けるか、無視して立ち去るところだったのだろう。 けれど――自分の親を殺した人殺しを前にして、怯えるどころか、ついてこようとする。どこか頭の狂った少女。 その様子に、何かを見出したのか、男はふっと口の端を上げた。
シヴァ
短く、名乗りだけを寄越す。 その素っ気なさが、なぜか今の私には心地よく感じられた。
水瀬涼香
少女は、そう答えた。 両親を失った日。同時に、新しい名前で生きていく道が、ひらけた日でもあった。
#異能力パロ
茉優斗
27
コメント
1件
第1話、読み終わりました…🥀 両親の死に「安堵」する涼香の気持ち、すごく重くて苦しかったです。でも、それまでの幼い頃の思い出や、パソコンで見てしまった真実があるからこそ、その感情が自然に感じられました。自分の親を♡♡♡た男に「連れて行ってください」とすがるシーン、心臓がギュッと締め付けられました…。シヴァという男も、ただの殺人鬼じゃなくて、何か感じるものがあって涼香を受け入れたんだろうな、と。 新しい名前で生きていく道——これからどうなるのか、すごく気になります。続き、楽しみにしてますね。