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教室の一番奥――窓際の席に座る琉來(るく)は、静かに文庫本を開いていた。 誰かが机を動かす音、段ボールを引きずる音、スプレーのキャップが外れる音。周囲の空気が“文化祭モード”に切り替わっていくのが、音でわかる。 でも、琉來はその波に乗らなかった。乗る気もなかった。
琉來.
そう思いながら、ページをめくる手を止めた瞬間、声がした。
凛.
不意にかけられたその声に、肩がピクリと反応する。顔を上げると、目の前にしゃがみこんでいたのは、凛(りん)だった。
凛.
琉來.
琉來は少しだけ眉をひそめた。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
凛は机の横にぺたんと座り込んだ。教室の隅で、人気者の凛が床に座る光景に、何人かがチラッとこちらを見ていた。
琉來.
琉來は本を閉じて、小さく問う。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
凛は壁にもたれて、天井を見上げた。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來は言葉に詰まり、視線を外す。
琉來.
凛.
琉來.
凛は少し考える素振りを見せてから、言った。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
沈黙が落ちる。 でも、不思議と嫌な空気ではなかった。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
凛がふっと笑ったそのとき、教室のほうから誰かが呼ぶ声がした。
凛.
凛はすっと立ち上がり、ちらっとこちらを見る。
凛.
琉來.
その返事に、凛は嬉しそうに笑った。
凛.
そう言って、凛は騒がしい教室へと戻っていった。 るくは再び本を開いたけれど、もう文字は頭に入ってこなかった。
琉來.
知らない感情が、胸の奥で少しだけ騒いでいた。
ここまで読んでくださり感謝です! 次回あらすじ ⬇ 『準備室の隅で、ふたりきり』 放課後、ふたりで過ごす準備室。 静かな空間に、ふと漏れる言葉が、距離を近づけていく──
次回も楽しみにお待ちください!