テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

先程までとは違い、病院のベッドで静かに眠る恋人に、不安を覚えた。 まるで死んでしまったかの様に 本当に静かに、 ビクともせず寝ている。

たまに胸に耳を当て、 呼吸を確認しては安心するの繰り返しだ。

早く起きろよ...ばかすお...

医者の話を聞くに、 命に別状は無いらしい。 あるとすれば、 バース性の問題。 蘇枋はa βである俺には感じられない 何かを感じたのだろう。

そういえば蘇枋は、あの女を見た瞬間に動きが鈍くなったな。 あまり働かない頭でぼんやりとそう考えた。

蘇枋はaの方でも上位の物らしい。 今まで、Ωの誘惑にも顔色1つ変えずにニコニコ聳え立っていたのに。 どうして今回は反応してしまったのか。 何も分からないフリをした。 そうでは無いことを信じて。

先程までピクリとも動かなかった筈の 毛布が、微かに擦れて動く音がした。 閉ざされていた綺麗な 蘇芳色の瞳が、 こちらに微笑みかけるように 優しく微笑んだ。

蘇枋っ!!

蘇枋

おはよう桜君。

蘇枋

寝坊しちゃったかな、笑

力なく笑う蘇枋に、 飛びつきたい気持ちをグッと押え、 今の状況を軽く伝える事にした。

多分、お前が倒れたのは...

蘇枋

うん、大丈夫。わかってるよ

蘇枋

心配かけてごめんね、

ベットに倒れていた体を 重そうに起こした後、 蘇枋は真剣そうな顔で俺に向き直った。

蘇枋

今から君に酷い事を言うかもしれない。それでも、俺の事嫌いにならないでくれる?

嫌いにならないで。そういう聞き方は、ちょっとずるいな、そう思った。 蘇芳色の瞳は、 今までの強さがあって、 とても甘い色ではなく、 少し寂しそうに揺れていた。

お前性格わりぃ

蘇枋

うん。ごめんね。

こいつずっと謝ってるな。 なにか話す度にずっと謝る自分の恋人に、一発殴ってやろうかと思ったが、 今の弱々しい姿を、 後々笑ってやろう。 そう思って、手を出さなかった。

謝んなよ。

あと、俺がお前を嫌いになる事なんてねぇよ。世界が滅んでもな。

蘇枋

熱烈な告白だね。それを聞いて安心しちゃった。笑

なっ!!!こ、告白なんて!!

蘇枋

うんうん桜君は俺のこと大好きだもんね~

あぁ、これは何を言ってもこいつのペースに呑まれるだけだな。 そう思って、 暑くなった顔をそっぽに向けた。

蘇枋

ふふっ、笑

蘇枋

さて、桜君の可愛いも補充できた事だし、本題に戻ろうか。

お前がズラしたんだろ!! そう叫ぼうとして、 また話題がズレそうになるかと思い直し、叫びそうになった言葉を飲み込んだ。

蘇枋

今日助けた女性、桜君は覚えてる?

あぁ。そいつもここに入院してるらしい。

蘇枋を病院に連れて言ったあと、 回らない頭で、 自分のクラスメイト達に、メッセージを送り、町の事を頼んだ。 そのあと楡井からメッセージが来て、 女性も命に別状はないらしい。

蘇枋

その女性は、きっとΩだ。

まぁ、そうだろうな。
ここの病院にいるって事は。

この病院は第二の性を持ったヤツらが来ることが多い病院らしい。 だから、蘇枋もその女もこの場所で入院している。

蘇枋

今まで俺にΩの誘惑が効かなかったのに、その女性にだけ反応したのはきっと、

あぁ、聴きたくないな。 聴いてしまえばもう、 以前の関係に戻れなくなる様な気がするから。

蘇枋

俺の運命だからだ。

覚悟はしていたはずなのに。 答えはもう、とっくの前に知っていた筈なのに。 俺の頭の中は、真っ白に染って言った。自分の嫌いな半分の髪の様に。

『 』一緒に痛い。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

496

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚