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第三章 寄り道
ak
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ak
あっきぃが足を止める。 視線の先、小さな空き地に 花が広がっていた。 柔らかい光の中で、 色とりどりに揺れている。
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ak
嬉しそうに笑う。 その顔を見た瞬間、 胸の奥が少しだけ軽くなる。
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ak
そう言って、あっきぃはしゃがみ込む。 赤いずきんがふわりと揺れて、 その隙間から白い首筋が見える。 ――だめだ。 視線を逸らそうとするのに、 逸らせない。 このまま押し倒して、
ak
あっきぃが花を摘んで、こちらを見上げる。 無邪気に笑う顔。 その一瞬で急に現実に戻され、 妙に胸が締めつけられる。
pr
短く返す。
ak
少しだけ考えて、指をさす。
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ak
pr
あっきぃの顔がぱっと明るくなる。
ak
差し出される小さな花。 思わず受け取ってしまった。
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ak
当たり前みたいに言う。 その言葉に胸の奥が じんわり暖かくなる。
pr
何も言えなくなる。 そのまま花を持っていると、 ふいに、あっきぃが笑った。
ak
pr
そっぽを向く。 その瞬間。 ぴく、と耳が動いた。
ak
pr
ak
あっきぃが身を乗り出す。
ak
pr
ak
――かわいい? 生まれて初めて向けられる言葉に 思考が止まる。
ak
pr
即答する。 けれど。
ak
伸びてくる手。 避けようとしたのに、一瞬遅れる。 細い指先が、ふわっと耳に触れた。
pr
びく、と体が跳ねる。 耳が反射的に伏せる。
ak
楽しそうな声。
pr
低く言うのに、力が入らない。 触れられた場所から じんわり熱くなる。
ak
嬉しそうに撫でる。 俺の耳に優しく触れる指。 ――まずい。 これは、まずい。
pr
なんとか絞り出す。
ak
ぱっと手が離れる。 その瞬間。 今度は、尻尾が揺れてしまった。
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ak
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ak
あっきぃが笑う。 楽しそうに、ほんとうに楽しそうに。
ak
pr
でも、否定しきれない。 耳も、尻尾も、勝手に反応している。 隠そうとしても、抑えきれない。
ak
あっきぃが少しだけ近づく。 今度は、さっきよりゆっくりと。
ak
pr
ak
まっすぐ見てくる。 透き通ったその目に、 ほんの少しだけ不安が混じる。
pr
答えに詰まる。 正直やだった、わけじゃない。 むしろ――
pr
ぽつりと零す。
ak
pr
ぶっきらぼうに言う。 でも。 あっきぃは少しだけ驚いた顔をして、 それから、ふわっと笑った。
ak
その一言が、やけに優しく響く。
ak
――。 胸の奥がまた、じんわり温かくなる。 さっきまでのざわつきとは違う。 もっと、静かで、やわらかい感覚。
pr
誤魔化すみたいに言う。
ak
あっきぃが立ち上がる。 摘んだ花束を大事そうに抱えて。
ak
花を抱えたまま、すぐ目の前まで来る。 顔が近い。 花の隙間から覗く可憐な笑顔。
pr
短く答える。 本当は、花なんて見えていない。 俺が見ているのは、 その笑顔だけだ。
ak
pr
ak
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ak
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それを聞いて、あっきぃは笑った。
ak
――いつか。 その言葉が、妙に引っかかる。 そんな未来が、本当にあるのだろうか。 分からないのに。
pr
小さく呟く。 すると、また尻尾が揺れた。
ak
pr
ak
楽しそうな声。 その隣を歩きながら、思う。 ――こんな時間が、 ずっと続けばいい。 本気で、そう思ってしまった。 それがどれだけ危険なことか、 分かっているのに。 それでも。 手放したくないと思ってしまうほどに、 その笑顔は、あまりにも簡単に 俺の心を満たしてしまっている。