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突然だが

世の中には聖人という言葉がある

聖人とは

人のことを真に思いやれる人のことだ

それに対して僕は声を大にして言いたい

「そんな人間はいない!」と

なぜそんなことが言えるのか

それは

僕が

人の心を読めるからだ

別に相手の思っていることが 事細かに分かるわけではない

ただ近くの人の感情から何となく読めるのだ

   喜び

苦しみ   

殺意

親に言われたが僕は他の人より『感受性』が強いらしい

相手の感情を読み取ってそれを『共有』するぐらいには

そんな僕は生まれた時 大声で泣いた

あの時は考えもしなかったが

周りの赤ちゃんの呼吸ができない苦しみが

伝わっていたのだろう

その後も度々相手の感情が伝わって

いきなり泣きだしたり 怒りだす僕に疲れたのだろう

10才の時

僕は捨てられた

まぁそれから2年がたち

僕は今 師匠という人に世話になっている

学生が好きな日である休日

僕は電話で師匠と話していた

え?

こっちにこい?

いや、今日は休日じゃないですか

訓練は休みですし仕事も・・・

そう師匠に文句を言うと

師匠はあることを僕に言った

え?!

分かりました!すぐ行きます!

師匠の言葉を聞くや否や

僕は部屋を飛び出し

師匠のもとへと馳せ参じた

師匠の家の前に着き

師匠!

僕です!颯です!

開けて下さい!

そう僕がインターホンを押し言うと

結月

まったく、もう開いてるよ

インターホンからの師匠の声を聞く

え?

ドアノブを握って開けようとすると

あ、

普通に開いた

結月

「あ、」じゃないよ

結月

さぁ入って入って

お邪魔します

師匠の部屋へ入る

師匠の部屋

うわ~、やっぱお洒落ですね!

結月

褒めても何もでないよ

いえ、本心ですから!

結月

...そうかい

結月

ところで颯、『あれ』の調子はどうだい?

あれ?

ああ、感受性のやつですね

生憎まだ、制御はできていなくて

結月

そうか...

でも不思議ですよね

師匠の心だけ読めないなんて

そう、何故か 師匠だけは僕の能力?の効果を受けない

結月

まぁ、私だからな

どういう理屈ですか...

だから師匠と話すのはとても楽しい

この時だけ僕は子供になれる

結月

まぁ、雑談はこのくらいにして

結月

颯、お前の母の話だが

っ...

結月

・・・

結月

まだ見つかっていない

へ?

結月

いや、だから

結月

まだ見つかっていない

・・・

何ですかそれ?!

師匠が僕の母について分かったことがある
って言うから馳せ参じたのに!?

結月

すまない

結月

だが颯

結月

なぜお前は母を探すんだ?

結月

復讐でもするのか?

・・・

僕が母を探す理由

それは

会いたいからです

結月

会いたい?

はい

僕の母は機械技師でした

だから家事は父に任せていて

母は自分の仕事に熱心でした

だから僕には構ってくれませんでした

ですから!

僕は母に

お母さんに!

ぎゅーってハグしてもらったり

遊んでもらったり

今までの分甘えたいんです!

気持ち悪いと思われるかもしれないけど

僕は親の愛情を沢山もらいたいんです!

だから

この能力を制御できるようになって

もう大丈夫だよ!って

言うんです...

結月

そうか...

はい

結月

私は引き続き颯の母を探す

結月

次はちゃんと探しだすからな

はい、お願いします

結月

じゃあそろそろ帰りなさい

分かりました

結月

じゃあね

結月

・・・

少し昔のことを思い出す

私はある人から造り出されたロボットである

私という物が生まれたのは3年前

私を造るのに時間がかかったのか

主人の目の下には隈がある

しばらく時間がたつと

私を造った主人が話しかける

「私はな」

「一人の子供がいるんだが」

「その子は相手の感情が分かるんだ」

「そしてその感情を自分のことの様に感じるんだ」

「それでな」

「私はあの子のことを愛している」

「愛しているんだが」

「もうあの子は感情を読むことがトラウマになっている」

「感情を持つ私にはもうどうしようもないんだ」

「だからなお前に任せる」

「あの子のことを頼む」

主人は泣きそうになりながら私に話しました

そうして私は1年間 主人に色んなことを教えてもらいました

そして

「今日私たちはあの子、颯を捨てる」

「お前は颯を拾って育ててくれ」

「分かりました」

「あとな、もし颯が」

「私のことを探しだしたら」

「死んだと言っておいてくれ」

「私たちは遠いところへ引っ越すよ」

「それが颯のためだ」

「頼んだぞ結月」

私は聞いたことのない言葉に首を傾げる

「すいません主人、結月とは?」

「ん?ああ、言ってなかったか」

「結月は颯が女の子だったらつけようとした名前だ」

「大切にしてくれよ」

そう言って主人は微笑みます

ロボットの私ですら無理をしてると分かりました

ですが

「分かりました」

そう言って私は主人と別れました

そうして私は颯を拾いました

結月

懐かしいですね

結月

拾ってから師匠呼びされるとは

結月

最初は考えたこともありませんでした

結月

颯は元々の家に住んでいます

結月

やはり家族が恋しいのでしょう

ねえ主人

結月

私はちゃんとやれていますか?

OUSER様主催 言の葉コンテスト 『馳せ参ずる』で参加させて頂きました

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