突然だが
世の中には聖人という言葉がある
聖人とは
人のことを真に思いやれる人のことだ
それに対して僕は声を大にして言いたい
「そんな人間はいない!」と
なぜそんなことが言えるのか
それは
僕が
人の心を読めるからだ
別に相手の思っていることが 事細かに分かるわけではない
ただ近くの人の感情から何となく読めるのだ
喜び
苦しみ
殺意
親に言われたが僕は他の人より『感受性』が強いらしい
相手の感情を読み取ってそれを『共有』するぐらいには
そんな僕は生まれた時 大声で泣いた
あの時は考えもしなかったが
周りの赤ちゃんの呼吸ができない苦しみが
伝わっていたのだろう
その後も度々相手の感情が伝わって
いきなり泣きだしたり 怒りだす僕に疲れたのだろう
10才の時
僕は捨てられた
まぁそれから2年がたち
僕は今 師匠という人に世話になっている
学生が好きな日である休日
僕は電話で師匠と話していた
颯
颯
颯
颯
そう師匠に文句を言うと
師匠はあることを僕に言った
颯
颯
師匠の言葉を聞くや否や
僕は部屋を飛び出し
師匠のもとへと馳せ参じた
師匠の家の前に着き
颯
颯
颯
そう僕がインターホンを押し言うと
結月
インターホンからの師匠の声を聞く
颯
ドアノブを握って開けようとすると
颯
普通に開いた
結月
結月
颯
師匠の部屋へ入る
師匠の部屋
颯
結月
颯
結月
結月
颯
颯
颯
結月
颯
颯
そう、何故か 師匠だけは僕の能力?の効果を受けない
結月
颯
だから師匠と話すのはとても楽しい
この時だけ僕は子供になれる
結月
結月
颯
結月
結月
颯
結月
結月
颯
颯
颯
結月
結月
結月
結月
颯
僕が母を探す理由
それは
颯
結月
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
颯
結月
颯
結月
結月
颯
結月
颯
結月
結月
少し昔のことを思い出す
私はある人から造り出されたロボットである
私という物が生まれたのは3年前
私を造るのに時間がかかったのか
主人の目の下には隈がある
しばらく時間がたつと
私を造った主人が話しかける
「私はな」
「一人の子供がいるんだが」
「その子は相手の感情が分かるんだ」
「そしてその感情を自分のことの様に感じるんだ」
「それでな」
「私はあの子のことを愛している」
「愛しているんだが」
「もうあの子は感情を読むことがトラウマになっている」
「感情を持つ私にはもうどうしようもないんだ」
「だからなお前に任せる」
「あの子のことを頼む」
主人は泣きそうになりながら私に話しました
そうして私は1年間 主人に色んなことを教えてもらいました
そして
「今日私たちはあの子、颯を捨てる」
「お前は颯を拾って育ててくれ」
「分かりました」
「あとな、もし颯が」
「私のことを探しだしたら」
「死んだと言っておいてくれ」
「私たちは遠いところへ引っ越すよ」
「それが颯のためだ」
「頼んだぞ結月」
私は聞いたことのない言葉に首を傾げる
「すいません主人、結月とは?」
「ん?ああ、言ってなかったか」
「結月は颯が女の子だったらつけようとした名前だ」
「大切にしてくれよ」
そう言って主人は微笑みます
ロボットの私ですら無理をしてると分かりました
ですが
「分かりました」
そう言って私は主人と別れました
そうして私は颯を拾いました
結月
結月
結月
結月
結月
ねえ主人
結月
OUSER様主催 言の葉コンテスト 『馳せ参ずる』で参加させて頂きました
コメント
4件
コートさん! 〝馳せ参ずる〟でのご参加ありがとうございます! 母親替わりのロボットと感受性豊かな主人公のお話…😳 設定からまず好きでした…笑 実は、最初結月は母親の死を伝えようとしていたんじゃないかって思ってしまいました…🤔 結月は機械で心を持たないから、主人公は心を読み取ることが出来なかったけれど、身近な誰よりも温かな心を持っていたりして…😌