色褪せた記憶。〚完結〛

まあ、いずれ会える…か。

おれが教室に入るのを躊躇っていると

ドアがガラガラと音を立てた。

慌ててその方を見ると、

先生の様な人が立っていた。

教室に入った途端

クラス中の視線がおれに集った。

なんやこれ…、

メッッチャ気分ええやん…ッッ！！？

突然のことすぎて頭が追いつかなかった。

どんな楽しいクラスなんだろう

少しでも期待したおれが馬鹿だったかもしれない。

このクラスの人は皆、

最低なのかもしれない。

知りたくなかったかもしれない。

こんな事実に、

学校への道中、

シャオロンにまた、「 大先生 」

と突然呼ばれて、結構びっくりした。

やっと思い出したのか

と期待を抱いたのも束の間、

まだ思い出せていなかったらしい。

俺は、特に彼奴に関して不安ではなかった。

人と話すのが得意ないわゆる陽キャって奴だし、

実際、記憶喪失って聞いても

あまり危機感が持てなかった。

「　彼奴ならどうせコロッと思い出すだろう　」

と言う、絶大な信頼があった。

思い出すまで、俺達みんなで

サポートすりゃぁいいって

馬鹿ほど呑気なことを考えてた。

どうせいつか、また彼奴と

アホ　だの　馬鹿　だの

言い合えると思ってた。

でもそれは、俺とシャオロンの関係の妄想。

周りの奴はそんな簡単じゃない。

ロボロ、大丈夫かな、

そんな思考が今日1日、

ずっと頭の中でグルグル、グルグル渦巻いていた。

頭の隅っこに居座っている

彼奴の記憶の不安には

目を向けないように、現実逃避をしていた。

そうじゃないと、いつか可笑しくなりそうだったから。

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