テラーノベル
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どうやって帰って来たのか思い出せない。
それだけおれにとっては衝撃的な事だった。
いつも通り、元貴んちに行って、 ゲームをして、 昔の話で笑いあって…
何か悪い事をした?
元貴に見せられた携帯の画面の文字が忘れられない。
“もう来ないで”
なんで?
どうして?
その言葉ばかりが頭をループする。
元貴が声を失った日。
元貴を心配する気持ちとか、 バンド活動の事とか、 色々頭に浮かんだけど、 正直、チャンスだと思ってしまった。
今までも、誰よりも元貴の側に居てきたけど、 もっと近くに居れるチャンスだって。
罰なのかも。
元貴は声を失って苦しんでるのに、 おれの身勝手な想いを優先してしまっていたから。
すごく自分勝手だった。
元貴の声はいつ戻るのかは分からない。
もしかしたらもうこのまま戻らない可能性だって…
そうなったら、おれはもう元貴に会えなくなる…?
若井
もう、なんでもいい。 仲間じゃなくていい… 親友じゃなくていい… 友達じゃなくていい…
なんでもいいから、 元貴に会えなくなるのだけは絶対に嫌だ!
元貴はもう本当におれに会いたくないの?
じゃあ、なんで携帯を持つ手が震えてたの?
じゃあ、なんで今にも泣きそうな顔をしてたの?
なんでおれはあの時の元貴から離れてしまったんだろう。
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