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私の妄想。 天京戦争であったらいいよねっていう お話です。 敵地(の陣営が入院してる病院)に突っ込んでいくタイプの小峠さん。

小峠は、久我の入院している病院に来ていた。ちなみに、この事は組には内緒である。病室の場所を確認してから、小峠は廊下を迷わず進む。 そして数分すれば、あっという間に久我の病室前の扉へと辿り着いた。 彼は大きく深呼吸する。 そして、彼は扉を開けた。

小峠

………失礼、します。

病室に居たのは久我と六車、そして最強戦力の一角を担う一条。 一同は敵側である天羽組の人間が来たことに幾らか動揺していた。 しかし、その中でも一条は驚くほどに冷静だ。 一条はその、深い闇を宿す瞳を小峠に向けた。

一条

天羽組の小峠か。

小峠

……はい。

小峠が答えた瞬間、一条は小峠へ掴みかかった。 元々、病室に入った時にそうする方が明らかに得策なのだが、一応本人確認のひとつはしてくれるらしい。 と言っても、今の状況は小峠にとってはかなり危機的だった。

一条

今、俺ら京極組とお前らの天羽組は戦争中だ。一体、何をしにきた?

一条の圧に、小峠は思わず怯む。 しかしそれも一瞬の事で、小峠は冷静に一条の目を見据えた。

小峠

…話をしに来ました。
組には極秘で。

一条

嘘だろ

小峠

いえ、本当です。

小峠の口調は知らず知らずのうちに敬語に変わっていた。 まるで、敵味方関係なく話し合いたいというように。 ふと、話を聞いていた六車が 口を開いた。

六車

一条、そのぐらいにしとけ。

一条

……

一条は小峠から離れる。 両者の張り詰めた緊張感がほんの少し 和らいでいく。 それを合図とするように、六車は小峠に話し掛ける。

六車

それで…お前は一体何を言いに来た?

六車の瞳には、やはり敵だということからか軽蔑的な情が入り混じっていた。 久我は相変わらず黙ったままだ。 つい先日、小峠とは交戦したばかり。 口を開けばどんな罵倒の言葉が出てくるのか彼自身分かりもしなければ、未だ自分が刺した傷が治りきっていないであろう小峠が、たった一人で敵陣に突っ込んで行くなど想定外。 困惑するのも当然だ。 その事を理解しているのか、小峠は久我に少し視線を送った後、話し始めた。

小峠

…何で、北岡を殺したんですか。

久我

…………は?

小峠の問いに、長らく心の内に秘めていた久我の怒りが爆発した。 久我は小峠に向かって怒鳴る。

久我

そんなの…お前んとこの舎弟がうちのシマを荒らしたからだろ!?
それであんた達が逆上して…こっちの身にもなれよ!!

怒鳴った衝撃で、傷が突っ張ったようで、 久我は顔を顰めた。 天羽組に対する罵倒。 それだけで小峠が怒る理由にはなっただろう。 だが、彼は驚くほどに冷静だった。

小峠

俺には全く分からない。
北岡は、他人のシマを荒らすような人間じゃなかった。

一条

…何が言いたい?

小峠

……この戦争をしている意味が

もう分からない。

そう言った小峠の目には光が宿されていなかった。

小峠

北岡が本当は何をしていたのか、それは俺にも分からない…もう当の本人は死んでるんだから。

六車

北岡は俺らのシマを荒らした。
だから殺しただけだ。

さも当たり前のように六車は言った。 確かにそれは、当たり前の事ではあるのだ。 渡世では、他人のシマを荒らす人間には 死が訪れる。 それは、小峠にだってよく分かっていた。

小峠

……もし、北岡があんた達のシマを荒らしたんだったら、死ぬのだって当然だって思う。けれど…それでも俺の舎弟です。
そんな事はしないという保証はできるし、信頼していた。どちらにせよ、俺…

久我

…………!

小峠の表情を見た久我の目が見開かれる。

小峠

……アイツと…話ぐらい、させて欲しかったなぁ……

小峠は泣いていた。 普段は凛としているその瞳からは絶えず涙が零れ落ちる。 だが、その中でも彼の口には微かな笑み。 触れればすぐに消えてしまいそうなぐらい、儚い彼の表情。 久我は、小峠とかつての自分を重ねた。 母に置き去りにされたかつての自分。 それは、舎弟を失った今の小峠とよく似ている境遇だったのだ。 久我は、小峠に優しく話しかけた。

久我

何か…俺によく似てる。境遇も、行動も。

小峠はその言葉を聞き、にっこりと笑った。

小峠

…何だか、そんな気がする。

小峠

『久我くん』。
あの時、傷付けてごめん。怒ったりしてごめん。凄く強かったし、尊敬してる。

……敵同士じゃなかったら、もう少し色々話せてたかな。

小峠


この渡世に生きているのだから、こんな事が我儘だと分かっていて…けれど、誰かに話を聞いてほしかった。敵側の人間が来たんだから、驚いたよな…

そして、小峠は扉へと手を掛けた。 彼が扉を開ける直前、一条が声を掛けた。

一条

……信じたいんだったら信じれば良い。

『何が』とは言わなかったが、小峠にはその意味がよく分かった。 そして、小峠は一礼してその場を立ち去った。 気づけば外は暗く、時計の針は9時を差していた。 だが、彼は帰る気になれず廊下のソファーへと腰掛けた。 誰も通る人間は居ないからこそ、その静寂は彼を優しく包みこんだ。 信じたいんだったら信じれば良い。 小峠は、一条の言葉を反復した。

小峠

…俺の一番言って欲しかったこと、知ってたんだ。

再び彼の目から涙が零れ落ちた。 それは、彼が流した涙の中で最も心を打つものだった。 信じたいから、信じよう。 俺の舎弟は、世界一 幸福であったと。 そしてそんな舎弟に恵まれた俺は、 本当に幸せだったのだと。

文章が雑いな…

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